海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

宮森小学校への米軍機墜落から52年

2011-06-30 16:09:34 | 米軍・自衛隊・基地問題

 1959年6月30日、旧石川市(現うるま市)の住宅街に米軍のジェット戦闘機が墜落し、宮森小学校に突っ込んだ。小学生11人、一般住民6人の死者を出すという大惨事となった。その日から52年目を迎えた。同小学校では毎年追悼式が行われている。

http://www.qab.co.jp/news/2011063029027.html

 沖縄にとってこの事故はけっして過去のものではない。肉親を失った家族や当時の教師、同窓生、地域住民にとって生々しい記憶としてあるだけでなく、米軍機の墜落によって新たな犠牲者が生まれることへの不安に、沖縄県民は今もさらされ続けているのである。52年前に事故機が飛び立った嘉手納基地は、常駐機に加えて外来機も頻繁に飛来し、爆音と墜落の危険は増すばかりだ。
 さらに、日部両政府は来年秋以降、沖縄にMV22オスプレイを配備することを打ち出している。菅政権は、辺野古への「移設」が進まなければ普天間基地は固定化される、と脅しをかけている。沖縄の「負担軽減」も普天間基地の「危険性の除去」も完全に空文化し、あまつさえ菅政権はそれに反省の色もなく居直りを決め込んでいる。

 1959年はヤマトゥでは砂川事件で伊達判決が下された年である。翌年には日米安保条約の改定に対する大規模な闘争が起こった。その後、日米両政府は米軍基地の沖縄への集中化を進め、ヤマトゥでの反基地闘争を沈静化していった。ヤマトゥでは現在、福島第一原発の事故によって自分たちの生活が脅かされるにいたり反原発運動が盛り上がっている。しかし、米軍基地問題に関しては、大方は相も変わらず他人事のようだ。
 MV22オスプレイの配備に対して、事故の多さから安全面での不安と爆音問題が取り沙汰される。それは当然なことではあるが、同時にもっと取り上げられるべきなのは、航続距離や輸送能力の向上によって在沖米軍基地の侵略・攻撃能力が上がることだ。日本の防衛のために沖縄の米軍基地があるかのように言われるが、朝鮮、ベトナム、イラク、アフガニスタンで米軍が何をしてきたかを見れば、沖縄の基地は侵略のための出撃拠点と兵站拠点の役割を果たし、さらに殺戮の技能を上げる訓練の場としてあったのだ。
 殺される側からすれば、沖縄は「悪魔の島」だったのであり、MV22オスプレイの配備は、悪魔の翼がより強力になるということだ。米軍基地から派生する事件や事故の被害を拒否するだけでなく、基地を容認することで加害の立場に立つことも拒否する。そういう運動を大きく作り出すことは、沖縄県民だけに課せられた課題ではないはずだ。「沖縄問題」という問題はない。あるのは日本(ヤマトゥ)問題である。


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