海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

辺野古新基地建設の先兵として沖縄県民排除の前面に立つALSOK(綜合警備保障)

2014-08-01 22:01:14 | 米軍・自衛隊・基地問題

 現在、キャンプ・シュワブのゲート付近は、民間警備会社大手のALSOK(綜合警備保障)が警備を担当している。沖縄防衛局が仮設ゲートを設置してからは、その開閉はALSOKが行い、開けた部分には二重に立ちはだかったり、スクラムを組んだりして県民を排除している。3枚目の写真の黒づくめの男がリーダーらしく、沖縄防衛局や警察と連絡を取りながら動きまわり、警備員たちを指揮している。

 すでに何度も指摘しているように、米軍への提供区域はALSOKが並ぶ後ろにある「殺人鉄板」からさらに奥の、オレンジのラインが引かれた地点からだ。つまり、ALSOKは本来なら県民が自由に立ち入りできる場所から、県民を閉め出しているのだ。沖縄防衛局の指示を受けて、民間警備会社が沖縄県民を排除する前面に立っている。

 ALSOK(綜合警備保障)の創立者である村井順は、1935年に内務省に入省し、戦後は国家地方警察本部初代警備課長、内閣情報調査室初代室長を務めた経歴を持つ。社員には警察・自衛隊退職者が多いことでも知られていて、政府・防衛省の肝いりでキャンプ・シュワブゲートの警備を任されているのだろう。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%9C%E5%90%88%E8%AD%A6%E5%82%99%E4%BF%9D%E9%9A%9C

 

 ゲート前に立っているALSOKの警備員たちは、各県から来たヤマトゥンチューばかりである。ウチナンチューを雇うと本音では反対の人もいて、警備に手心を加えるとでも政府・防衛省は考えたのだろうか。あるいは、そもそもやりたがるウチナンチューの警備員少なくて、数を確保できなかったのか。日焼けして顔が赤くなったヤマトゥンチュー警備員たちは、車が出入りするたびに人間ゲートとなって、スクラムを組んだまま観音開きに動いている。

 中には、休みには海で泳げる、と観光気分できた警備員もいたかもしれない。だが、実際に目にした沖縄の基地の現実、連日の激しい抗議行動に戸惑っている警備員もいるのではないかと思う。仕事だからと割り切って心までロボットにならずに、なぜ沖縄でこういうことが起こっているのかを自分の頭で考えてほしいものだ。そして、沖縄の歴史についても学んでほしい。インターネットで関心のあることだけを読んですませるのではなく、沖縄の近・現代史について書かれた本をしっかりと読んでもらいたい。

 そして、自分がやっていることの意味をじっくりと考えてほしい。強盗から企業を守ったり、犯罪者から人を守ったりするなら、警備員として仕事に誇りを持てるかもしれない。しかし、いまALSOKの社員たちがやっていることは、辺野古の美しい海を破壊し、新たな基地の建設によって、沖縄県民を苦しめるものだ。ヤマトゥに住む自分たちが安全に暮らすために、沖縄県民は基地の負担に苦しんでもいい。ALSOKの警備員たちは、それで自己納得できるのか。

 写真や動画が簡単に撮られてインターネット上に残る時代だ。キャンプ・シュワブのゲート前で沖縄県民を排除している映像を、いつか子どもたちが見るかもしれない。その時、ALSOKの警備員たちはどう説明するのだろうか。ALSOKはこれまで、オリンピックの金メダリストを広告に使って企業イメージをよくして来たと思うが、今回のキャンプ・シュワブゲートの警備でそれも崩れるだろう。

 


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