海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

辺野古埋め立て代執行可能

2011-12-14 23:49:57 | 米軍・自衛隊・基地問題

 12月14日付県内紙の1面トップは、米上院の軍事委員会が在沖海兵隊のグアム移転の関連予算を、国防権限法案から全額削除することで合意したことに関するものである。普天間基地の辺野古「移設」が一段と困難になったという見方が広がる一方で、その記事の横には、仲井真知事が辺野古沖の公有水面埋め立てを承認しなかった場合、地方自治法に沿って国が代執行できるという政府答弁書が閣議決定された、という記事が載っている。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185164-storytopic-53.html

 いざとなれば、知事や沖縄県民の意思を無視してでも、国の代執行で辺野古の海を埋め立て、新基地建設を強行できる。そういう政府の強硬な姿勢が答弁書には打ち出されている。知事の埋め立て権限などどうでもいい、となれば、政府の沖縄県に対する姿勢も変わってくるはずだ。無論、だから政府が思い通りに事を進められるというものではない。知事や県議会、名護市長や名護市議会をはじめ県内の各首長・市町村議会、県民の圧倒的多数が反対している中で、政府が辺野古「移設」を強行すれば、政府と沖縄の全面対決ということになる。政府にそこまでの覚悟があるか。

 更迭された田中聡前沖縄防衛局長の後任に真部朗地方協力局次長が決まった。真部氏は今年8月まで沖縄防衛局長の座にあり、前々局長の再任用という異例の人事である。事務引き継ぎを遅滞させず、あくまで環境影響評価書の年内提出を強行する、という日本政府の姿勢を示したものだろう。オバマ大統領に米国議会への説得材料を与えるため、野田政権はよけいに年内提出に前のめりになっているようだ。

 田中前局長の暴言の一つに、政治家は分からないが審議官級の間では、来年夏までに具体的進展がなければ、普天間基地はそのままになる、というのがあった。普天間基地の県外・国外移設や無条件返還という沖縄の声は無視し、辺野古「移設」強行か普天間基地の固定化か、という二者択一を迫る。沖縄県民をもてあそぶような防衛省官僚の傲慢さは、沖縄防衛局長の首が替わっても変わらない。そうである限り、沖縄の反発はさらに高まるだけだ。

 

 


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