海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

「県内移設」に反対、抗議を

2010-02-18 23:57:04 | 米軍・自衛隊・基地問題
 17・18日と稲嶺進名護市長が東京へ行き、就任のあいさつを兼ねて与党幹部や鳩山首相らと面会している。17日の与党検討委員会を前後して、国民新党と民主党が普天間基地の「移設」先としてキャンプ・シュワブ陸上部を画策していることが取りざたされている中で、「海も陸上も含めて造らせません」という稲嶺市長の発言や行動が全国ニュースで流れたのは、この上もないタイミングであり、大きな意義がある。

 国民新党が提案しようとしている陸上案は、キャンプ・シュワブ内に1500メートルの滑走路を建設するというものだ。ヘリが離着陸するだけならヘリパッドでいいはずで、国民新党の案はMV-22オスプレイの配備が前提となっている。住宅地上空の飛行を回避するという名目でV字型滑走路を打ち出した自公政権もひどかったが、国民新党は海上で訓練するという嘘を取っ払って住宅地上空を堂々と飛行させようというわけで、よりいっそうひどい。
 海を埋め立てないから環境に配慮しているかのようにも言っているが、1500メートルの滑走路を建設するためにキャンプ・シュワブ内の山を切り崩して土地造成することで、ヤンバルの自然がどれだけ破壊されるか。リュウキュウヤマガメやカラスバトなどの天然記念物をはじめ貴重な動植物が生息する森が失われ、赤土流出による海洋汚染も問題になる。

 テレビのニュースを見ていると、下地幹郎議員が18日にキャンプ・シュワブに土地を持つ名護市の軍用地主会会長らを引き連れて北沢防衛大臣と面会している。17日の与党検討委員会でキャンプ・シュワブ陸上案が提案される予定だったことを考えると、本来はそれに合わせて面会を設定していたのだろう。すでにそこまで下地議員は根回しを進めていたわけだ。
 軍用地主会の便宜を図って関係を深めることで、沖縄の基地問題にかかわる下地議員の影響力が増す。同時にそれは下地氏自身や国民新党、そうぞうの議員たちの選挙の支持基盤を広げることにもなる。

 宜野湾市の伊波洋一市長は、在沖海兵隊の大半がグアムに移駐すると主張している。「県外・国外移設」という公約を鳩山民主党に実行させることが問われているとき、あえて「県内移設」を進めようとする下地議員の行動は、すでに書いたように沖縄の基地利権を牛耳ろうとするものにしか見えない。
 国民新党および下地議員が主張するキャンプ・シュワブ陸上案、嘉手納基地統合案などの「県内移設」に反対し、抗議することを呼び掛けたい。

参考までに

http://www.kokumin.or.jp/shozaichi/

http://db.kosonippon.org/statesman/statesman_info.php?id=1325



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7 コメント

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即時撤兵 (トリニティー)
2010-02-19 00:53:32
 賛同致します。

テニアン島市長は丸呑みの覚悟があるようです。まず普天間の兵隊は、率先して自国の安土にでも撤兵していただきましょう。

政権が内紛を演じながら、国内・県内移設へと民意を誘導しています。一番槍を担いだのが、ついでに自らも利権にあやかれる売島汗の下地氏の魂胆かと。「時の人」にでもなるおつもりなのでしょう。

社民党内にも混乱に乗じた撹乱の動き。すべての狡猾の蠢動にスイッチを入れたのが、名護の有権者の勝利です。マスコミが正常に機能すれば、すべての議員の魂胆や腹心がすべて暴露されるはずです。これで有権者は「誰が本物なのか」を見極められます。チャンスです。

何があっても全体状況の改善は間違いありません。それぞれの言動・行動に注視の時。選挙結果だけは絶対に覆せませんから。勝利の後の名護市民の本当の団結が問われていると感じております。
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テニアン島について (目取真)
2010-02-19 04:54:36
トリニティーさんへ。

先に紹介のあったブログは拝見しました。

去年の5月にサイパンとテニアンに行きましたが、テニアン島はとても小さな島です。
普天間基地の全体が移設することは不可能です。
あくまで訓練機能の一部がテニアンに移るということです。
去年の5月の時点でテニアンでは、普天間基地のグアム移設で現在ギンネムの林になっている米軍施設が、訓練場として利用される計画が出ているということで、社会資本の整備や経済効果に期待する声が住民の間にあると、現地のガイドが話していました。

テニアンは「玉砕」の島です。
多くの沖縄人・日本人・米国人・現地の人が戦争で亡くなりました。
山野にはまだ拾骨されない遺骨が残されています。
グアム島も同じです。
戦争・基地・経済が絡んだ様相は沖縄と似ていて、そのことを思うと気持ちが曇ります。。
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宜野湾HPに新資料UP (京の京太郎)
2010-02-19 15:19:26
 2月18日に国会において伊波市長が与党国会議員等にグアム移転問題の説明をおこなったときの資料が新たにアップされています。
 伊波市長が求めていることは、普天間基地のグアムへの移転の要求ではなく、「これまでのグアム移転にかんする日米合意の実態の検証」の要求です。これまでのグアム移転に関する日本政府の説明が、米軍が進めているグアム移転計画と実態が違うということへの説明と合意内容の検証を求める内容です。
 
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ムネオ日記より (満腹ボクサー)
2010-02-19 23:06:19
ムネオ日記(1/25)に、こう書いてありました。
>ゲーツ国防長官やキャンベル国務次官補の押しつけ的、強圧的な発言に、沖縄県民はきちんと「ノー」と言ったのである。
>私は沖縄県民の側に立って、厳粛な名護市長選挙の結果を尊重し、沖縄県民の声を守って行きたい。

下地さんの選挙区に、新党大地から対立候補を立てたらいいのではと思いましたが、鈴木さんに期待しすぎかな?
沖縄のことなど何も分かっていないヤマトンチューの戯言に過ぎないのかもしれませんが、アイヌ民族を先住民と認めさせた鈴木さんに、今度は沖縄のために働いてほしいと期待しております。
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お礼 (目取真)
2010-02-20 00:27:32
今日の京太郎さん、情報提供ありがとうございます。
伊波宜野湾市長が言っているのは、米軍のグアム移転計画の実態を明らかにし、司令部だけでなく実戦部隊もグアムに行くのだから、県内移設は必要ない、ということだと私はとらえています。
グアム移転の事実を明らかにすることと、グアム移転を要求、あるいは主張することとの違いを、認識する必要があると感じています。
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今、日米安保の検証を (京の京太郎)
2010-02-20 09:21:12
今年は改定安保50年と言われますが、今一度日米安保体制下でなにが行われてきたのかを勉強しなおさなければと思います。
ベトナム戦争で北爆のキッカケとなったトンキン湾事件も米軍のでっち上げだったことが現在明らかになっています。イラク戦争でも米国が危機をあおった、あるとされた大量破壊兵器などどこにも存在しませんでした。アフガンでもタリバン政権は、ビンラディンが9/11の首謀者という証拠を米国が提示すれば、犯罪者として身柄を引き渡すとの交渉があったと聞いています。この半世紀、世界の平和を破壊し思うように戦争を仕掛けてきたのが米国であり、それに追従して金儲けをしてきたのが日本の姿だと思います。
「普天間基地の移転先探し」の日替わり報道ばかりですが、日米安保50年の変遷経過で、いつのまにか「日米同盟」と称されている「アンポ」の現実をこそ0ベースで、今更ですが勉強し直したいと思います。

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010年安保(ぜろじゅうねんあんぽ) (宮坂亨)
2010-02-20 22:32:41
「日米安保無効訴訟」に関わっている者です。
安保条約を改定した岸信介がCIAに買収されたエージェントであり、これは国際法に違反しており、日米安保条約は無効だという訴えをしています。現在、東京高裁・横浜地裁が舞台となっています。

http://www.cscreate.net/anpo_mukou/index.html

「どうするアンポ」というDVDが出来ました。

http://anpo50.seesaa.net/

春に北溟社から僕の第一歌集『010年安保(ぜろじゅうねんあんぽ)』(解説俵万智、解説福島泰樹)が刊行されます。
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