海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

岡田外相来沖と日米閣僚級作業開始

2009-11-17 20:19:02 | 米軍・自衛隊・基地問題
 今日17日に普天間飛行場の移設問題を話しあう日米閣僚級作業グループの第1回会合が開かれている。日本側の出席者は「嘉手納統合案」を主張する岡田外相や辺野古沿岸部への現行案推進を主張する北沢防衛相なのだから、期待するものは何もない。アメリカ側の出席者はルース駐日大使、グレグソン国防次官補らであり閣僚ではない。だから「閣僚級」と誤魔化しているのだが、アメリカ側のやる気の程度がうかがえる。アメリカ側はすでに結論を出していて、日本側の国内調整にお付き合いしているだけではないか。
 オバマ大統領は14日の「アジア政策演説」で〈共同の作業グループを通じて、沖縄の米軍再編問題で日米両政府が合意した事項の迅速な実施に向け合意した〉(琉球新報11月15日付朝刊)と述べている。鳩山首相は作業グループに異なった解釈を示しているが、現行案の微修正というアメリカ側の”落とし所”が結論として出てくるのは目に見えている。仮に岡田外相の唱える「嘉手納統合案」が採用されても、沖縄で大きな反対運動が起こるだけだ。
 15・16日に岡田外相が来沖したのは、日米閣僚級作業の開始を前に、地元無視という批判を回避するアリバイ作りだったのだろう。それにしても、来沖中の岡田外相の発言は酷かった。〈辺野古、普天間の文字はマニフェストにない〉とした上で〈個人の候補者が自身の判断でマニフェスト以上のことを言うのは、珍しいことではない〉と居直った。
 また、県外移設に7~8割が反対する沖縄県民の民意を認めながら〈その結果、グアム移転、基地の一部返還が頓挫するかもしれない。普天間の危険な状況が残る可能性がある。そこまで含めての県内移設反対かどうか、そこまで詳しく聞いたアンケートはないのではないか〉とパッケージ論を持ち出して恫喝を加え、世論調査に疑問を呈した。
 さらに、県外、国外移設を具体的に検討したか、という問いには〈私の頭の中には具体的なものはない〉と検討していないことを明らかにし、鳩山首相の〈最低でも県外…〉という発言についても、マスコミの報道の仕方が悪くて〈誤解〉を生んでいると述べている。
 まったく言いたい放題だ。岡田外相の発言によれば、民主党の候補者が選挙前に言ってきたことは二枚舌であり、有権者を欺くものであったということになる。鳩山首相はもとより、沖縄選出の玉城デニー議員や端慶覧朝敏議員も選挙対策で〈マニフェスト以上のこと〉を言っていたにすぎないということか。岡田外相は文書化されたマニフェストを強調するのだが、それなら〈嘉手納統合案も再検討します〉とマニフェストに書いてあったのか。御都合主義も大概にしてほしい。パッケージ論を持ち出して恫喝を加える発言にも、自公政権とどこが違うのかと思った人も多いはずだ。
 いったい岡田外相はどこまで本気で「嘉手納統合案」を実現しようと考えているのか。そのうち、「嘉手納統合案」は沖縄に強い反対の声があり断念せざるを得なくなった。現行案の微修正は、仲井真知事や島袋市長がこれまで沖合移動を求めており、沖縄県民の民意を反映していると判断できるので容認したい、と述べて、主張を転換するのではないか。その際には沖縄の「民意」が御都合主義的に利用されそうだ。
 MV22オスプレイの配備について、メディアも自治体首長らも岡田外相に問うていないが、そういう具体的な問題を問うことで沖縄が負わされようとしている危険と負担の大きさも鮮明になる。県内か、県外かという大きな議論だけでなく、岡田外相の「嘉手納統合案」の具体的な内容とその問題を、メディアは明らかにしてほしい。普天間であれ嘉手納であれ辺野古であれ、これまで何度も墜落事故を起こしているオスプレイが沖縄上空を飛んで、「危険性の除去」も「負担軽減」もあり得ない。

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