海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

新型コロナウイルス対策とウクライナ情勢を利用した改憲のもくろみ

2022-03-11 23:59:27 | 生活・文化

 この2日間は確定申告の対応に追われていた。情けないほどの収入しかないので、領収書を整理して必要経費を出し、源泉徴収された分から少しでも取り戻そう、という努力なのだが、本来は、給与所得者だって必要経費を要求する権利を行使できるようにすべきなのだ。

 給与からいろいろ天引きされていても、自分で計算して交渉するのは面倒くさいので楽でいい、という考えに陥るのは、政府や企業に都合のいい論理を刷り込まれているからではないか。そう自問することすらできなければ、うまく飼いならされて国畜、社畜で終わってしまう。

 などと考えながら作業を行っていたのだが、税務署に行くと待ち時間が長く、多くの人が一室に座っているので、新型コロナウイルスの感染が気になる。

 窓はほんの少ししか開けられていないので、自分の番が来る直前まで外や玄関口で待機し、雑誌を読んだリ小説のメモを書いたりして過ごした。

 メディアはウクライナ情勢の集中豪雨的報道に追われているが、新型コロナウイルスの新規感染者は今も大変な数だ。沖縄では今日744人の新規感染者が出ている。1年前、2年前ならこの数字にどういう反応を示していただろうか。慣らされてしまうことへの警戒を忘れたくない。

 新型コロナウイルスの主な感染経路が空気感染であり、何よりも重要なのは換気である。そういう認識がもっと広がっていれば、税務署のコロナ対策も変わっていたのだろうが、厚労省の医系技官、感染研の問題が取りざたされるのはほんのわずかで、この国には自浄作用を生み出す力もない。

 憲法9条を変えたい、緊急事態条項を入れたい、と考えている勢力が参議院選挙に向けて、ウクライナ情勢を利用し世論工作を行っている。国防を強化しなければ大国の侵略を許す。分かりやすい単純化された論理だ。

 しかし、琉球・沖縄のように大国のはざまで生きてきた国・地域からは違う論理が見えるはずだ。他国に軍事的脅威を与えず、政治・外交的には中立を基軸にし、経済・文化・人的交流の拠点化を目指す。これから沖縄が発展する道はどこにあるのか、を考えなければならない。

 戦争は外交の失敗の結果である。プーチンの独裁体制、ロシアの問題を論じると同時に、ウクライナは何を失敗したのか、も考える必要がある。

 今日は3月11日で、東日本に地震が襲った時刻に合わせて名護税務署でも黙祷が行われた。

 

 


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