海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

火に油

2010-03-05 14:32:47 | 米軍・自衛隊・基地問題
 今日(5日)付けの琉球新報朝刊の1面トップは、〈辺野古現行計画を断念〉という見出しが躍っている。

〈政府は米軍普天間飛行場移設問題に関し、2006年に合意したキャンプ・シュワブ沿岸部への現行移設計画を断念する方針を米側に伝達した。同時に、これまでのキャンプ・シュワブ陸上部に加え、米軍ホワイトビーチから沖合の津堅島の間を埋め立てる案についても本格的な検討に着手した。複数の日米外交筋が4日、明らかにした〉

 辺野古現行計画断念を政府が米側に伝達したという記事に、本来なら名護市では喜びの声が上がるところだろう。だが、代わりにキャンプ・シュワブ陸上案が出ているのだから、喜びどころか一息つく雰囲気もありはしない。
 それにしてもだ。やれキャンプ・シュワブ陸上だ、津堅島沖合だ、あるいは伊江島だ、下地島だ、と過去に議論されて消えていった話が、よくもまあ次から次に出てくるものだ。それらと比較検討した最終案として辺野古が決まったのだから、最終案よりも実現可能性が低いことは誰にでも分かる。それをあえてやろうとすれば、辺野古以上の無理が生じるし、反対運動もその分大きくなるというのも自明のことだ。
 あえて沖縄に基地を固定化しようという政府の姿勢は、時間の経過とともに沖縄内の怒りや不満を高めているだけであり、新たな地名が出るたびにそこから反対の声が広がっていく。5日付琉球新報には津堅区区長の次の言葉が載っている。

〈津堅区の玉城盛哲区長は「全く聞いていない話で断固反対。(98年の)前回のやり方と似ており、政府は本命が決まっているのに選択肢をあれこれつくって、いかにも選んでいるかのように見せているんじゃないか。パフォーマンスのために津堅島が軽々しく扱われている」と指摘した。「政府から正式な形で出てくるとなれば大変だが、今はあえて騒ぎ立てて島を混乱させるようなことは避けたい」と冷静に構えた〉

 実に賢明な発言であり、政府の意図は津堅区の玉城区長にすでに見抜かれている。琉球新報1面に載った津堅島の写真には、海底のモズク養殖の様子が写っている。豊かな漁場である海を埋め立てることは、漁民の生活の糧を奪うことであり、島に新たな混乱を生み出すことだ。〈政府から正式な形で出てくるとなれば〉島民だけでなく、沖縄県民全体が黙ってはいない。
 5日付琉球新報には、「県内移設」に反対する意思を示すため、超党派による県民大会を開催する調整が沖縄県議会で始まったことも報じられている。辺野古現行計画を断念せざるを得ないのに、それでも沖縄県内での「移設」=たらい回しにしがみついている日本政府は、一日一日火に油を注ぎ込んでいることを自覚しているのだろうか。

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1 コメント

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あんやいびさ! (ちんさ)
2010-03-06 07:29:06
朝ぬNHKぬニュースや政府がまた沖縄視察すぬ事いちょーしが、また沖縄に移設すん考えぬヤマト政府やいびーがすら、うったぁや今上天皇陛下がうちなー、アメリカに売たんばーやびん。ゆぬ考えそーびん!なぁ、あんやら、うちなーやヤマトぬ国から独立さんねー、いちまでぃんうったーかいうせーらってぃ、核基地うちなーぬままやいびーん!あんせーないびらん。
県民大会まぎーくさびら!民主党ヤマト政府や信用ないびらーん!民主党ぬ沖縄国会議員たーやむる議員やみーびせーれ!
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