海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

国民新党沖縄県支部への申し入れ

2010-02-28 02:30:44 | 米軍・自衛隊・基地問題
 26日は午前中は高江に行き、午後からは那覇に移動して、新基地問題を考える辺野古有志の会・ティダの会による国民新党沖縄県支部への申し入れに参加した。以下に申し入れ書を引用したい。

             普天間基地の「沖縄県内移設」反対に転換することを求める申入れ

 普天間基地の「移設」先として、国民新党が「キャンプ・シュワブ陸上案」「嘉手納基地統合案」を考えていることが、連日マスメディアにおいて報道されています。
 私たち名護市民は、普天間基地の辺野古「移設」問題が起こって以来、13年余にわたって、市民を分断・対立させるこの問題に苦しんできました。去る1月24日に行われた名護市長選挙において、辺野古には海にも陸上にも基地は造らせません、と主張する稲嶺進氏が当選し、これで分断・対立が解消されると市民は歓喜の声をあげました。
 しかし、国民新党が「キャンプ・シュワブ陸上案」を持ち出すことにより、市民の中には再び不安と怒りが生じています。「陸上案」は、貴重なヤンバルの森を破壊し、住宅地上空を米軍のヘリコプターやMV22オスプレイが飛行するものであり、爆音被害や墜落事故の危険から過去に見送られたものです。そのような案をどうしてわざわざ持ち出し、名護市民と沖縄県民を新たな対立と混乱に導こうとするのでしょうか。
 せまい県土に日本の75パーセントの米軍専用施設が集中する沖縄の状況は異常です。既存の基地内だからキャンプ・シュワブ陸上部への「移設」が容易だと考えるのは、沖縄がおかれたこの異常な現実を無視し、沖縄島北部への基地機能集中と住民生活破壊をもたらすものであり、断じて許すことはできません。
 私たち新基地問題を考える辺野古有志の会およびティダの会は、国民新党が名護市民・沖縄県民の民意を尊重し、「キャンプ・シュワブ陸上案」、「嘉手納基地統合案」を取り下げ、普天間基地の「沖縄県内移設」反対に方針を転換することを強く求めます。
 以上、申し入れます。

 申し入れ書の宛先は国民新党党首の亀井静香氏、沖縄県支部長の呉屋宏氏、国民新党政調会長兼国対委員長の下地幹郎氏の三名である。
 前日25日に東京で下地氏のパーティが開かれていて、それに出席するため呉屋支部長は留守だった。そのために下地氏の政策秘書・渡慶次氏が申し入れに対応したのだが、他に支部役員はいないのか、という問いに、国民新党県支部といっても実質的に下地氏と呉屋氏の二人でやっている、という返事が返ってきて驚かされた。
 秘書という立場では責任を持って答えられない、話を聞いて下地議員に伝えたい、ということだったので「キャンプ・シュワブ陸上案」や「嘉手納基地統合案」について問い質すことはできなかったが、参加した会員から下地氏の主張に対する怒りや批判、これまで13年余にわたって新基地問題で苦しめられてきたことや反対運動を続けてきた思い、辺野古の基地被害の現状、沖縄戦の体験などが語られた。



 写真は地図や写真資料などを使ってキャンプ・シュワブ陸上部で行われている射撃訓練や、ヘリの飛行訓練、廃弾処理の実態や騒音被害、振動による建物のひび割れなどの被害について説明しているところ。
 テレビや新聞などで普天間基地のキャンプ・シュワブ陸上部への「移設」が言われると、キャンプ・シュワブ基地や辺野古の実態を知らない視聴者や読者は、既存の基地内に「移設」するんだから現行計画よりもいいんじゃないか、と考えてしまうかもしれない。
 しかし、キャンプ・シュワブ陸上部ではすでに上記のような訓練や廃弾処理が行われていて、住民生活への被害がもたらされているのである。この上、住宅地上空をヘリやオスプレイが飛行するようになればどうなるか、推して知るべしだ。これまで「海上案」や「沿岸案」に賛成してきた住民も「陸上案」に反対し、久辺三区で「陸上案」反対の意思表明がなされているのも当然のことなのだ。
 にもかかわらず国民新党が「キャンプ・シュワブ陸上案」や「嘉手納基地統合案」を与党三党の検討委員会に提案しようとするとき、その中心となっているのが下地氏であることは言うまでもない。沖縄選出の国会議員として、下地氏がそのような主張を行うことで、あたかも沖縄で「県内移設」が可能あるかのような幻想がヤマトゥの市民や政治家、官僚に作り出される。「県内移設反対」で沖縄がまとまろうとしているとき、それを内側からぶちこわそうとする下地氏の行為は許し難い。
 国民新党や下地氏に対して、「キャンプ・シュワブ陸上案」「嘉手納基地統合案」への批判や抗議行動、「県内移設」反対への転換要求を、個人や団体でどんどんやっていく必要があるのではないか。一人の議員の暴走によって、「県内移設」への流れが加速させられてはたまったものではない。



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1 コメント

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Unknown (さとし)
2010-03-01 18:50:15
管理人さん、はじめましてです。
国民新党がキャンプ・シュワブ陸上案に傾いたのは、やはり米国の恫喝があったと見るべきでしょうか? それと併せて国民新党は検察・警察の取り調べの可視化、弁護士立ち会いの取り調べの義務化に反対してると聞きました。これが本当であれば、米軍の被害に遭っている沖縄県民は声を挙げるべきです。何故なら、可視化や弁護士立ち会いが無いことを理由に、米国は被疑者をなかなか引き渡さないからです。米国は日本の法律の足下を見ているわけです。こういう不条理がこれからも起きないよう、可視化法案も速やかに成立をすべきですし、沖縄・叉は日本全土に将来、基地を無くす方向で話を持っていくべきだと思います。日本に米軍基地があるかぎり、対等な日米同盟など成立しません。互いに頑張って真の平和を取り戻しましょう。
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