海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

アメリカの属国の哀しき風景

2015-05-01 22:32:56 | 米軍・自衛隊・基地問題

 5月に入った。昨年7月にキャンプ・シュワブ・ゲート前での抗議行動に参加してから11ヶ月目に入る。

 1日は午前9時25分頃、松田ぬ浜からカヌー11艇で抗議行動に出発した。いつものようにキャンプ・シュワブの解体作業の様子を見ながら北上し、辺野古崎の岩場に入って休憩をとりながら状況を確認した。前日4月30日にスパッド台船の一つが長島の近くに移動している。新たな地点での海底ボーリング調査が始まっており、それに抗議するために平島と長島の間を抜け、大浦湾に出た。

 緑の航路標識をまわって長島の方に移動し、長島付近から沖の方に設置されているオイルフェンス沿いに並んだ。移動したスパッド台船からは掘削棒が下り、台船の上では数名の作業員がボーリング調査を行っている。抗議地点から台船までの距離が近くなったため、沖縄防衛局は大小のフロートとオイルフェンスを三重に並べて沖まで伸ばし、船やカヌーの通行を遮断している。

 

 小さなフロートやオイルフェンスが一つだけなら、苦労なく越えられるメンバーも多いのだが、さすがにここまでやられると簡単には越えられない。オイルフェンス沿いに並んでスパッド台船の上の作業員に、海底ボーリング調査をやめるよう声をあげた。抗議船からもスピーカーを使って音楽を流しながら抗議を続けた。

 アメリカ議会上・下両院で安倍首相が演説し、得意になっている。中国に対抗するためには米軍に助けてもらわねばならず、辺野古に新基地を造ってサービスに努めねばならない。思いやり予算もたっぷりつけて、沖縄で自由勝手に演習をし、休みにはリゾート気分で遊べる環境を保たねばならない。そのためには沖縄県民に我慢してもらうしかない…という安倍首相の本音が聞こえてきそうだ。

 美しい海に奇怪なスパッド台船やクレーン付台船が浮かび、海上保安庁のゴムボートや巡視船が米軍の子分のように海底ボーリング調査を守っている。ゲート前では沖縄戦を体験したお年寄りが、痛む足を引きずって抗議行動に参加しているというのに。実に哀しいアメリカの属国の風景だ。

 午前中、途中から1班は辺野古崎側に移動し、フロートを越えて6名が海保に拘束された。2班の5名は大浦湾の方で抗議を続け、平島で昼食をとったあと午後、1班と大浦湾で再び合流した。クレーン付台船がアンカーを引きあげていて、新たな地点でボーリング調査を行う用意をしているようだった。

 午後2時半すぎに全体で長島の間を抜けて辺野古崎側に移動した。長島の向かいにある兵舎の取り壊し作業が進んでいるのがよく見える。

 最近になって加わったメンバーもいるので、全体でフロート越えの練習をした。長島から辺野古崎にかけてもフロートが二重に張られていて、簡単には越えられないようになっている。1時間ほど練習をして9名が拘束されたが、平島の近くで解放された。午後5時過ぎに松田ぬ浜に戻ってこの日の行動を終えた。

 


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