海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

県民をだまし、ごまかし、出し抜く。沖縄防衛局のいつものやり口。

2015-05-08 13:31:15 | 米軍・自衛隊・基地問題

 今週は親戚の法事があって海上抗議行動は休んでいたのだが、8日は資材が搬入されるとの呼びかけがあって、午前1時頃キャンプ・シュワブのゲート前に行った。深夜にもかかわらず220名余の人が集まり警戒態勢を取ったが、工事関係車両は現れず、いったん解散した。

 人が少なくなった時を見計らって資材を搬入するのが沖縄防衛局のやり口である。車で仮眠を取って午前6時過ぎからゲート前の監視・抗議行動に参加した。午前7時過ぎに工事関係車両20数台が連なってゲート前にやってきた。大型トレーラーやダンプカーも含まれていて、第2ゲート前にいたメンバーが車両を止めて運転手に抗議した。

 県警の私服刑事や機動隊が抗議する市民を排除したが、市民は歩道を走って車両に追いつくと、前に立ちはだかって抗議をくり返した。

 鹿荷役(鹿児島荷役海陸運輸)の空の大型トレーラーが2台、基地内に入っていった。その昔、運天港でアルバイトをしていた頃、よく鹿荷役の貨物船から物資を降ろしていた。県外に搬出する何かをキャンプ・シュワブから運び出すのだろうか。

 沖縄防衛局名護事務所が、飛散性の高いアスベストは県外で処理する、と言っていたことを思い出したが、実際にどうなのかは分からない。ゲートから出るときにどのような物資を積んでいるか、注目する必要がある。

 

 工事車両が入った旧ゲート前では機動隊とアルソックの警備員がスクラムを組んで阻止線をつくり、機動隊に押し倒された女性が地面に頭を打って救急車で搬送された。ゲート前で抗議している皆さんのなかには、機動隊や海上保安庁の暴力にさらされて、体のあちこちに傷を負っている人がいる。武道で鍛えた屈強な男たちがその気になれば、市民を「制圧」するのは簡単だろう。しかし、そうやって「国家の暴力装置」としてロボット化していいのか。

 すでに沖縄は、他の都道府県に比べようもないほどの過剰な米軍基地の負担を強いられている。まともな知性があれば機動隊や海保の職員もそのことくらいは分かるはずだ。普天間基地は危険だからといって辺野古に押しつければ、基地の危険性を沖縄県内でたらい回しにしているにすぎない。そのことに反対する民意を、名護市民・沖縄県民は民主主義のルールにふまえ、選挙でくり返し示してきた。

 その民意を踏みにじっているのは日本政府であり、キャンプ・シュワブのゲート前で行われているのは、強権的で理不尽な政府の仕打ちに対する抗議である。県民を代表して翁長雄志知事が海底ボーリング調査の中断を要求している。それさえ無視されている現実を前にして、沖縄県民は黙って泣き寝入りするわけにはいかない。

 機動隊と連携して、スクラムを組んで市民を排除しているのがアルソック(綜合警備保障)である。オリンピック金メダリストの吉田沙保里選手をコマーシャルに出してイメージアップをはかっているが、沖縄でやっていることは辺野古新基地建設を進める先兵だ。

 市民との板挟みになって苦しんでいる…、と言ったところで仕事が終わって地元に帰れば、辺野古のことも思い出話にすぎない。しかし、新基地ができれば名護市民、沖縄県民は何十年にもわたって苦しめられる。大成建設であれアルソックであれ、ヤマトゥの大手企業が基地建設で儲け、沖縄を食い物にする構図は1950年代から変わらない。

 最もたちが悪いのが県警やアルソックの陰に隠れ、後ろで糸を引いている沖縄防衛局だ。臆病なくせに尊大で、自分たちがいくら努力しても沖縄県民を納得させることができないのが分かっているから、県民をだまし、ごまかし、出し抜くことだけを考えている。自分は前面に出ず、アルソックやネットの隙間から様子をうかがっている沖縄防衛局員の姿の嫌らしさよ。

 


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