愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

野田政権と自民党に圧力を、国民に敵対する経団連提言を無批判的に報ずるマスコミの意味を考える!

2012-05-12 | 日記
消費税国会が始まった。相変わらず小沢政局報道に終始するマスコミには辟易するが、これは狙いがある。「決められない政治」というコピーで政治不信を煽り、結果的に自民党化した野田民主政権と消費税増税では推進勢力の自民党を叱咤激励するという狙いと脅しだ。それは野田首相と野田毅税調会長の本会議の茶番的質疑をみるとよく判る。以下、「朝日」の記事をまとめてみた。

野田毅氏(自民)  ようやく消費税の議論が始まった。私事になるが、大平正芳首相時代の一般消費税議論や、地元での1万人反対集会でわら人形を作られ燃やされた中曽根康弘首相時代の売上税、竹下登首相や山中貞則先生の下で奔走し成立に涙を流した消費税を思い起こす。我々は税制改革の推進勢力だ。

野田首相  日本国を思い汗と涙を流されたお話を尊敬の念を持って伺った。教訓と叱咤を胸に刻み、社会保障と税の一体改革を、政治生命をかけてやり抜く覚悟を貫いてまいる。税制改革の推進勢力であるという力強いご主張を伺った。

野田毅氏  だが、民主党政権下で税制改革の議論を進めるにはハードルがある。国民の理解、党内政局、政策理念という壁だ。党内政局では、消費増税への反対勢力が党内で大手を振っている。小沢一郎元代表の党員資格の復活に際して、少なくとも消費増税賛成への約束を取り付けたのか。説得できる見通しはあるのか。

野田首相  丁寧な議論と決定を積み重ねた。国民に責任を持ち、政権を担う与党として大変重い党議の決定だ。所属議員全員がこの決定を尊重する義務を国民に対して負っており・・・

野田毅氏  代表として党をまとめ、6月21日の会期内に消費増税関連法案を採決する覚悟を。

野田首相  今国会での成立に向けて説得し、全党が一致結束して対応することを確信し、全力をあげる決意だ。

野田毅氏  政策理念では、一体改革にバックボーンを感じない。経済界、マスコミ、自民党支持層の上前をはねようというさもしい党利党略的発想だ。

首相  民主党と自民党との前には大河が横たわるように見えるが、国民は橋を架け双方が歩み寄ることを求めている。改革の大義を同じくする限り必ず乗り越えられると確信する。

どうだろうか。以下思うことをメモしてみる。

1.まず小沢政局、民主党内の争いの奥深いところに、国民の要求と運動があることを、いっさい報道しないマスコミと自民・民主の姿が見えてこないだろうか。

2.野田毅氏の消費税に関する「私事」だが、これで国民生活と日本がダメになったことをいっさい反省していないのだ。しかも野田首相も、だ。そればかりか「尊敬の念を持って伺った。教訓と叱咤を胸に刻み」「政治生命をかけてやり抜く覚悟を貫い」てと言ってしまったのだ。

3.これほどマスコミが「消費税を決めろ、決めろ」とわめいているのに、世論は、反対が多数であり、内閣支持率は危険水域をはるかに超えてしまっている。まさに強弁だ。

4.だが、こうした驕りがあるのは、マスコミや経団連の応援があるからだ。また自民党に対して「大河を渡るための架け橋になれ」と国民が求めていると「錯覚」しているのだ。それにはそれなりの理由がる。これは「世論」は政局に対して不満をもっているのだ、消費税そのものには反対していない、仕方ないものだと野田首相は見ているのだ。

5.こうした状況を利用して野田佳彦首相は、自民党に対し「同じ解決方法を志向している。今成さなければ改革実現はこの先もない」「渡るべき川は広くない。必ず乗り越えられる」と述べた(「東京」)。

6.こうした「読み」は、実は、改めて二大政党政治の破綻を国会の場で自ら語ってしまったことを意味している。自民も民主もどっちもどっちなのだ。同じ穴のムジナなのだ。

7.小沢氏も消費税そのものには反対はしていない。一つは、政権交代の際の公約に増税はないこと、現在の情勢では国民生活を破壊することになる、という理由で増税に反対しているのだ。これそのものは間違いではない。

8.だが、小沢氏がこうした見方をする理由は、選挙に勝てないという理由からだ。議席が減れば、小沢氏が求める国家改造ができなくなると言っている。橋下市長にお株を取られていると。戦術、手段として消費税増税に反対しているのだ。

こうしたなかで、経団連が「最後通牒」を突きつけた。以下の記事だ。マスコミは小さくしか取り上げなかった。何故だろうか?

消費税10%超と法人減税を提言  経団連  「朝日」(12日)7面
 経団連は11日、成長戦略の実行と財政再建の断行を求める提言をまとめた。デフレ経済から脱却して安定的に成長するため、今は40%程度の法人実効税率を20%台に下げることや、消費増税、規制緩和、経済連携協定の推進などを求めた。 消費税率は2015年に10%に上げた後も、さらなる引き上げが必要と指摘。消費税率を段階的に19%に上げ、法人実効税率を25%に下げ、規制緩和なども進めると、25年度の経済成長率は実質で2・2%、名目で3・2%になると試算した。 経団連は、野田政権が6月をめどにまとめる「日本再生戦略」に、今回の提言を生かすよう働きかける。

経団連「財政赤字放置なら2025年でもデフレ」sankeibiz  2012.5.12 05:00
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120512/mca1205120502004-n1.htm
 経団連は11日、政府に対し、成長戦略と財政再建の断行を求める提言をまとめた。経団連が求める法人税の引き下げなどを実施せず、財政赤字が放置されれば2025年になってもデフレ脱却は難しい、との試算を盛り込んだ。提言では、法人実効税率をアジア並みの25%まで下げ、消費税率を最終的に19%に引き上げることなどを求めた。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の締結や、内需掘り起こしのための農業、医療、街づくり分野の改革も求めている。

消費税率「2025年度に10%台後半に」 経団連が提言 日経2012/5/11 19:42
http://www.nikkei.com/news/category/article/g
 経団連は11日、日本経済の成長促進に向けた政策提言を発表した。国税と地方税を合計した「法人実効税率」を現行の約35%から20%台に引き下げることや、消費税率を10%台後半に引き上げることを盛りこんだ。環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に早期に参加することも求めた。 経団連の試算では、各国との経済連携が進まない「現状放置ケース」では、実質国内総生産(GDP)の伸び率が今後1%前後で推移。政府債務残高は2025年度に名目GDPの5倍近くに膨らむ。経済連携が進み、消費税率を引き上げる「改革推進ケース」では、25年度に実質GDPが2.2%に高まり、政府債務残高も名目GDPの約2.5倍にとどまる。

ニュース詳細 経団連“成長戦略と財政再建を” 5月12日 8時3分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120512/k10015070551000.html

K10050705511_1205120804_1205120806
経団連は、成長戦略と財政再建が遅れれば日本は産業の空洞化が進んで世界での存在感が確実に低下するとして、法人税の実効税率の引き下げやTPP=環太平洋パートナーシップ協定の早期締結などを政府に求める提言をまとめました。提言によりますと、財政再建と成長戦略の実行を先送りした場合、GDP=国内総生産の実質の伸び率は今後1%前後の低い水準で推移し、税収の低下などで財政が破綻するリスクが大きくなるとしています。また、人口減少による市場の縮小でさらに産業の空洞化が進んで、世界の中での日本の存在感は確実に低下するとしています。このため提言では、企業の競争力を高めるため、法人税の実行税率を現在のおよそ35%から20%台にまで引き下げることや、アジア地域の成長を取り込むため、TPP=環太平洋パートナーシップ協定を早期に締結するなどの成長戦略を着実に実行すべきだとしています。また成長戦略と同時に財政再建も断行すべきだとして、消費税率を10%台後半にまで引き上げるよう求めています。さらに、こうした成長戦略と財政再建を着実に実行していけば、政府が目標としている実質で2%、名目で3%の成長が可能になるとしており、経団連は、今回の提言を政府の国家戦略会議がまとめる「日本再生戦略」に反映させるよう働きかけることにしています。


どうだろうか?消費税をアップさせ、国民に負担を求めながら、「法人税は減税しろ」だ。そして「TPPを締結しろ」と。まさに「脅し」だ。経団連の主張をそのまま報道しているのは、野田政権を応援する国民を増やそうとするマスコミのスタンスが透けて見えてくる。マスコミが経団連のイデオロギーを垂れ流す装置となっているのだ。非正規・契約労働を増やして大儲けしている経団連は「身を切る」対象にはならないのだ!全く不思議だ。これについての疑問の声は多数派にはならないのだ!

だが、マスコミが、この提言を大きく報道しなかったのは、それなりの理由があるからだ。そもそも国会最終盤で経団連という親分が出張ってきたわけだが、これを大々的に取り上げても、良さそうなのだが、そうすると、局面が変わるからだ。国民世論と運動は怖いのだ。その理由を述べてみよう。

かつて89年の千葉県知事選挙にあたって現職の沼田知事に対して共産党推薦候補が真っ向勝負したことがあった。消費税・金権腐敗・コメ輸入自由化で追い詰められていた自民党竹下政権を応援する経団連会長の鈴木永二氏が「千葉県民は共産党推薦候補を選ぶことはない」と発言。これは経団連が千葉県知事選挙に乗り込んできたことを意味すると同時に千葉県民を愚弄する発言として県民の怒りを買い、いい勝負になったのだ。だが、その後の天安門事件で、一気に局面が変わった。

今回も竹下増税の時と同じ構図だ。決まらない政治にイラついた経団連が出張った。自民党化した野田民主党政権と増税では同じ自民党に渇を入れたのだ。「早く決めないと大変なことになるぞ!」と脅したのだ。

そういう意味で経団連の要求と国民の要求との熾烈な対立が、ここにきてハッキリしたというべきだろう。まさに階級闘争の現局面がニョキニョキと現れてきたのだ。だからこそマスコミを使って「脅し」というイデオロギー攻撃に出てきたのだ。

ギリシャの局面も、国民の動向を無視した政局報道に終始している。「緊縮」政策という名の、いわゆる「新自由主義」政策にノーを突きつけた国民の選択が日本に押し寄せてこないように必死なのだ。

このことは、逆に言えば、国民の運動と世論の優位性を示しているのだ。世界的にみれば、いわゆる「新自由主義」路線は窮地に追いやられている。南米、欧州、そしてアメリカの「99%運動」「オキュパイ・ウォールストリート」だ。

今や世界各地で広がってきた「富裕層に課税を!」「TAX ME」は、日本でも無視できなくなるだろう。また、そうしなければならない!そこが現局面の争点だ。

この提言をきっかにして「オキュパイ・ナガタムラ・ケイダンレン」の声をあげよう!

「内部留保は労働者・国民が作り出したものだ!それを国民に還元しろ!」の声をあげよう!

明治の農民たちの心意気「竹槍でドンと突き出す二分五厘」を!今こそ!


集めたるケイダンレンの民の富想い起こせよ血汗涙を