あだち蒸気機関車館

5インチライブスチーム模型や蒸気機関車に関する資料などを保存、展示する私設博物館

セミの声

2018年07月23日 | 館長のひとり言
7月に入ってすぐに梅雨明けし、その後は毎日暑い日が続いていますが、最近になってようやくセミの声を耳にするようになりました。夏になるのが早すぎて、セミも出てくるタイミングがよくつかめなかったのではないかと思います。
ところで、セミをパソコンで漢字に変換すると「蟬」という字とともに「蝉」という字にも変換できます。
この漢字は常用漢字ではないので、右側の「單」の部分は通常は「単」と省略しないのが普通ではないかと思います。
旧字体の漢字(これが本来の漢字ですが、)のうち、常用漢字については、その全部もしくは一部を簡略化して書いてもよいことになっています。
たとえば、澤→沢、驛→駅、譯→訳、釋→釈のように、高校までに習う常用漢字では、基本的に右側を尺という字に簡略化した字を習います。
一方、古代史に出てくる銅鐸の「鐸」や数学に出てくる演繹法の「繹」などは、省略をせずに習います。これは、これらの字が常用漢字ではないので、右側の部分を勝手に「尺」などと省略してはいけないものと理解してきました。
そこで、件の「セミ」という字を手元の国語辞典や漢和辞典で調べてみると、やはり「蟬」と書かれており、「蝉」という字は載っていません。
いろいろと調べてみたのですが、どうもワープロやパソコンで用いられている日本工業規格(JIS)の第一水準、第二水準の漢字では、常用漢字以外の漢字であるにもかかわらず勝手に簡略化した漢字を登録してしまったことが原因のようです。JISのせいで、漢字を間違って覚えてしまうことになるのではとちょっと心配になります。
同じように、常用漢字ではない籔(やぶ)も薮と簡略化した漢字にも変換できるようになっていますが、薮という漢字は辞書には載っていません。「蝉」や「薮」という文字は、漢字ではない一種異様な文様ということになるのでしょうか。
ややこしい話ですが、そういう話などは我れ関せずとばかりに、セミの声がやかましい今日この頃です。