28
山里は 冬ぞさびしさまさりける
人目も草もかれぬと思へば (源宗千朝臣・みなもとむねゆきあそん(?~939)
山里の暮らしは寂しいものです。冬の寂しさはひときわ辛いものです。
訪問して下さる方もいない。草木も枯れます。
29
心あてに 折らばや折らむ 初霜の
置きまどはせる 白菊の花 (凡河内躬恒 おおしこうちのみつね 生没年末詳)
初霜がおりた庭では、どこに白菊の花があるのか?
当てずっぽうに折ってみようか。
30
有明の つれなく見えし 別れより
あかつきばかり 憂きものはなし (壬生忠岑・みぶのただみね)
別れの朝の辛さも知らず、有明の月が空にかかる。
その朝以来、あかつきほど辛いものはない。