ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

文学は無名の状態を目ざす

2019-02-22 11:07:16 | Word

新しい詩集を出して、後悔と期待がないまぜになっていて、あまりよろしくない心理状態になる。

ひどく、つまらない。いや、これでいい。様々な波が寄せては返す。

このフォスターの言葉に救われるほどに、私は優れた詩人でもなくて、また悲しい。

言葉よ。届け。


母、美しい老いと死  アンヌ・フィリップ

2019-02-11 13:44:52 | Book

 

訳者 吉田花子

著者 アンヌ・フィリップ(19171990

 

一人暮しの母親は、一度目の卒中で倒れ、パリのアパルトマン暮しの娘との狭苦しい同居生活になじめず、

フランスの地方の老人ホームにもなじめず、結局住み慣れた自宅で一人暮らしを始める。

二度目の卒中では、ついに一人暮らしはできず、娘は母親の近くに住む従姉妹の助けを借りながら、

母親を自宅で看取るまでの、淡々と書かれた介護の記録です。

時には、食べ物も咽喉を通らない母親に「ワイン」や「シャンパン」をわずかに飲ませる

娘の心遣いに、新鮮な驚きと感動すら感じる。

自宅の病床にいたまま、死を前にして、ドクターやナースが訪問するということは、

今の日本の医療では考え難い状況ですが、この事実は注目に値する。

その後の埋葬の手続き、お葬式のやり方に至るまでも書かれています。

 

すでに、父母の介護の後に、お葬式までやらねばならなかった私自身、身につまされる

思いでした。そして「死」というものが私に遠いものではないという時が来ています。

埃だらけの家で、一人暮らしを続けた母上に、自分が重なる日が来るかもしれない。

 

子供を育て、家族の世話に追われ、老親の介護と看取り、

今は、病んでいる夫との暮しだが、いつか一人になる。

その時、私も恐らく「一人暮らし」を望むだろう。アンヌの母のように。

 

 (1998130日 晶文社刊)