或る夜の出来事

（１９３４／フランク・キャプラ監督／クラーク・ゲイブル、クローデット・コルベール、ウォルター・コノリー、ロスコー・カーンズ、アラン・ヘイル、ウォード・ボンド／105分）

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　３４年のアカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、そして脚色賞をとった作品で、この主要５部門を独占したのはこれが最初らしい。この次は７５年の「カッコーの巣の上で」とのことだ。

　ニューヨークの銀行家の娘エリー（コルベール）がパイロットと恋に落ちるが、父親は『あいつは虫が好かん』と結婚に反対。娘をマイアミに連れて行ってクルーザーに軟禁状態にするも、エリーはガードマン達の隙を見て海に飛び込み、脱出、恋人の待つニューヨークへ夜行バスで向かう。
　ピーター・ウォーンは新聞記者。たまたまエリーの乗ったバスに同乗し、隣席となるもお互い気の強い者同士で、最初は口喧嘩が絶えない。エリーの父親が新聞に出した捜索広告を読んで彼女の事情を察したピーターは、無事にニューヨークに着くまで協力する代わりに、この事を記事にすることを許してもらう。
　こうして、二人のニューヨークまでの旅が始まるが、途中でバスが立ち往生してモーテルに泊まったり、エリーの事に気付いた乗客を避けるため、バスを降りてヒッチハイクをしたりする。一緒に行動するうちに、ピーターもエリーもお互いのことが好きになるが、なかなか本心が打ち明けられない。明日はニューヨークに到着するという前夜、ついにエリーはピーターに告白をするのだが・・・。

　去年の末に買った１コインＤＶＤの一つで、それまでＴＶ放送で２回くらい観ていたが、やっぱり面白い。
　クラーク・ゲイブルは５年後の「風と共に去りぬ」のレット・バトラーと同じく口ひげを生やしているけど、こちらではコミカルな演技も見せていて、レットより親しみやすい。ピーターは見た目より女性に優しく、料理もするし、エリーに躾のようなこともする。
　　
　映画ファンにはお馴染みの、元祖ラブコメと言っていい作品だが、よく考えると主演の二人のキスシーンはありませんでしたな（パイロットとエリーのキスシーンはあったけど）。その割に、ふんわかとした気分になるのは、夜行バスでピーターが眠っているエリーに胸を貸したり、ヒッチハイクの途中で川を渡る時、ピーターがエリーを担いだりと、スキンシップのシーンが沢山あるからでしょう。勿論、モーテルでの“ジェリコの壁”越しのやりとりも・・・。

　そして、何度観ても車をヒッチするシーンは笑ってしまう。ここでは、コルベールの脚線美を見ることが出来る。後ろ姿も美しいです。

▼（ネタバレ注意）
　終盤の結婚式の場面で、飛行機でやって来る婚約者。あの飛行機は面白い形をしてましたな。一人乗りの単葉プロペラ機で、変わっていたのは、機体の中央にヘリコプターのプロペラのような物が付いていること。まさにヘリコプターのように回っていて、ＣＧなどない時代だから、本当にああいう乗り物があったんでしょうな。

　ラストは、「卒業」に引き継がれたような、結婚式会場からの花嫁の逃亡となる。
▲（解除）

　前回の「傷だらけの栄光」の２０年以上前の作品で、キャプラは人間の描き方が甘いと言われているが、私には５０年代の映画よりキャプラ映画の登場人物達の方がすんなりと入ってくるのは何故だろう？ “キャプラコーン”大好きです。

　原題は【It Happened One Night】。

　ゲイブルが下着をつけずに、素肌にＹシャツを着ていたのがカッコイイということで、この映画の後流行ったらしいです。

・お薦め度【★★★★★＝大いに見るべし！】