テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

冒険者たち

2004-07-02 | 青春もの
(1967/ロベール・アンリコ監督/アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカス)


 双葉十三郎さんが傑作と書いていたので見たが、それほどではない。氏の基準でいえば、65点か70点でよいのではないかと思っている。
 NHK衛星放送で(ドロン特集をやっていたんだろう)、「地下室のメロディー」の後にやっていて、録画していたもの。見ているうちにかつて見ていた事を思い出した。後半の撃ち合いの部分など。

 飛行機で凱旋門をくぐって、それをマスコミに売って一儲けしようとするマヌー(ドロン)とスポーツカーに載せる凄いエンジンを開発して、大会社からの特許の買い取りを狙うローラン(バンチェラ)、この二人が主人公。試験飛行の直前、ローランの自宅兼工場にレティシア(シムカス)がやってくる。廃車のボディなどを使ったオブジェを作っている、いわゆる前衛アーティストの彼女は、オブジェの素材を購入に来たのだが、人手が足りないので、急きょ試験飛行の手伝いをする。試験飛行は成功し、二人の男性に気に入られたレティシアは、オブジェの製作にこの工場の一角を貸してもらうことになった。ここが導入部。

 凱旋門の件は、誰かに騙されていた模様(この辺の事情はよく飲み込めなかった)で、決行日には大きなフランス国旗がはためいていて、くぐり抜け飛行は出来なくて、しかもマヌーは飛行免許まで停止になってしまう。
 騙したヤツをとっちめようとしたら、そいつが、コンゴ沖の海底にある富豪が飛行機もろとも墜落して、その時結構な金品も一緒に沈んだらしいという”宝の地図”話をする。
 マヌーとエンジン開発に失敗したローランと、オブジェの個展の評判が宜しくなかったレティシアの3人は、コンゴに宝探しに出かける。

(複葉機の曲芸飛行なんかが出てくるので、双葉さんは気に入ったんだろうか。)

 大きなヨットを借りて宝探しをしていると、一人の男が近づいてくる。最初は物取りかと思われたが、実はそいつは、件の墜落飛行機のパイロットだった。お宝の場所を教えるので、一緒に探そうという。
 しっかり場所を覚えていたので、飛行機もお宝も見つかった。しかし、そこにもう一組お宝を狙う連中がいた・・・。

 アラン・ドロン、リノ・バンチェラ、ジョアナ・シムカスの3人が、船の上で楽しく騒いでいるシーンは、クロード・ルルーシュ系列の描き方。「明日に向って撃て!」で、ニューマンキャサリン・ロスが自転車で遊んでいて、「雨に濡れても」が流れるシーンと同じ。しかし、何故かフランス映画のこの手の映像は、軽く感じられるなあ。
 意外と「明日に向かって撃て」はこれを参考にしたのかも知れない。

 前半は、ブツブツとカットが繋げてあって、映像にリズムがないと感じた。ストーリーがまとまっているので、最後までみれたが、人間の描き方が軽いですな。ジョゼ・ジョヴァンニの原作で、脚本もジョゼ・ジョヴァンニとロベール・アンリコピエール・ペルグリの3人で書いてる。

 ラスト、双葉氏によると、ギャング一味はあれで全滅したらしいのだが、機関銃まで持っていた連中のあれが全部であろうか。まだ、組織の上の人間がいるような気がするので、落ち着かない結末にも思えた。

 ジョアナ・シムカス、この頃は人気がありましたなあ。今は、どうしているんだろう。ネットで調べると、1945年カナダ生まれ。「冒険者たち」の他には「若草の萌えるころ(1968)」「オー!(1968)」などのアンリコ作品に立て続けに出て、1969年の「失われた男」で共演のシドニー・ポアチエと結婚した(ポアチエは再婚)。来年60歳になるんだね。

・お薦め度【★★★=一度は見ましょう】 テアトル十瑠

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