い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

九十三段

2020-09-30 | 階段
晴れやかな空からもらう元気
リセットされた活力が
清々しさを運んでくる

しかめっ面の悩みを捨てて
変わらない後悔を忘れて
涙はぎゅっと絞り出す

風を包んで乾いた心の
熱い吐息がしわを伸ばす
はためく白さに感謝して

もう一度顔を上げたなら
満面の笑みの雲たちが
あの面影を映し出す






九十二段

2020-09-29 | 階段
本当はただの臆病者で
挨拶の端っこのような言葉を
ぐるっと見回してあれこれ考える

次々と変わる会話に相づちを打っても
破れそうな心が鈍い音を鳴らす

違うセリフが押し寄せて
聖徳太子を崇めるように
真っ直ぐな姿勢のまま
頭の中に封じ込めた

かみ砕いた言葉の中から出た答え
先入観と疑惑を取り除け

九十一段

2020-09-28 | 階段
これからの事
たった十分でさえ分からないけど
気にも留めず考えもせず
一日の終わりに思い返すこともなく
消し去ってしまう時間が多すぎて

今を生きる感覚をどうやって知ろうか
押しつぶされ踏みつけられても
塗り固められた土台の隙間を見つけ
根を張り葉を出す雑草の呼吸が揺れる
しなやかにしたたかに大地を彩る



九十段

2020-09-27 | 階段
鏡の中の反対の世界
反射の眩しさに目がくらむ
ぼやけた枠の本当の姿
望む思いが姿を決める

膨らんだ憧れが願望を取り込み
手の届かない場所まで上がったら
現実の踏み台を飛び越えて
引力さえもバネにする

生まれながらに翼を持ち
飛ぶことが生きる証のモノでさえ
反対側の世界を目指し
命を削り旅をする

八十九段

2020-09-26 | 階段
時間の長さがイコールじゃないのは知っているけど

すべての始まりを見守ってくれた

あらゆる悲しみを泣いてくれた

恥ずかしくなるほどの喜びを見せて

悔しさに歯を食いしばり痛みに耐えた

一緒に過ごした時間を想いに換算するのは

規定通りの方程式では永遠に解けないのだから

イコールの次は誰も知らない

八十八段

2020-09-25 | 階段
この思いに名前を付けるなら

灰色の雲が泣いて泣いて空の蒼に溶ける様に
陽射しに見透かされて透明な明日が生まれたら
膝をついた痛みも忘れて差し伸べられた手を
掴んでもいいのだろうか

ひとり飛び立つことを夢見て
助走の意味を知らずにいた
一日かかる一歩の大きさと
一年かかる一段の高さを
曖昧で不安定な目隠しで計る

根気が根を張るための信念の大地を
潤すだけの小さな涙だとしても
同じ瞳に映る光に見つめられ
希望と夢と憧れの
愛する呼び名を付けてみる

八十七段

2020-09-24 | 階段
待ち合わせ場所でその時を待つ

そんなふうにラインがツナガルなら
普段使いの言葉が見られるなら

繋がっているはずの同じ空の下
そこにいるという条件だけで
胸の奥の燃料が静かに熱を帯びる
それこそが真実の思いだと
あちらこちらで諭されながら

仲間外れの寂しさと闘い
花いちもんめの手を繋ぐ
同じ速さの歩幅を探り
手を振りほどき駆け出すべきか
両手を任せて空を仰ぐべきか




八十六段

2020-09-23 | 階段
大人の目で出会った人は
判別が難しい

好き嫌いで分けるのではなく
損得を足した優越感だったり
マイナスの印象だけ塗り込んだ
偏った煩わしさもある

鐘が鳴るという運命の出会いでも
継続の罠が張られ何度でも立ち止まる
苦があるから楽を感じるのだと
濾過した心が試される

費やした時間を読み込んで
紐解く心の難問を
笑い飛ばしてくれるなら
つられてほころぶ花になる

八十五段

2020-09-22 | 階段
爽やかすぎる空気の中で
濁った気持ちは似合わない

向かい合う難しさに
下を向いたら涙が落ちる

脳裏に浮かぶ笑顔だけ
信じて今は前を向く

エールの声が通り過ぎても
追い風に身を任せ

おぼつかない足取りも
踏ん張りなおせばまた一歩

八十四段

2020-09-21 | 階段
はっきり言ってしまえば
好みと言うものはどうしようもなくて
十人十色より繊細に
細胞レベルで判断してしまう

見た目から入る第一印象は
脳内が感じるあざやかな映像で
自分だけが知るであろう
希少価値が上乗せされる

まばたきの一瞬で変わってしまうほど
モロイ即効性があるとしても
ハマってしまう幼さを認め
しあわせと呼べる今が好き