年金削減廃止老いも、若者も安心して暮らせる世の中にみんなで声をあげれば世の中変わる

消費税5%に、自・公政権退場、核兵器廃止・自然・再生エネルギーで原発ゼロへ・憲法9条コワスナ。

年金運用損失 なぜ公表を遅らせる

2016-04-08 14:08:58 | 年金
東京新聞より転載

【社説】

年金運用損失 なぜ公表を遅らせる

2016年4月8日

 公的年金の積立金を運用する独立行政法人(GPIF)の二〇一五年度の実績は大幅な赤字となる見通しだ。安倍政権が株式比率を倍増させた分、損失も膨らんだようだ。速やかに公表してほしい。


 GPIFは国民から拠出された厚生年金、国民年金の保険料積立金百三十兆円超を運用している。


 年金運用に詳しい民間の専門家の試算によると、一五年度は約五兆円の損失が出たという。リーマン・ショックがあった〇八年度以来の大規模な水準で、GPIFが自主運用を始めた〇一年度以降、三番目の赤字額となる見通し。世界的な景気減速の影響だ。


 試算では、損失内訳で最大は外国株式で三兆六千億円、その次が国内株式の三兆五千億円。逆に、国内債券は二兆六千億円の黒字となり、損失を一部穴埋めした。


 安倍政権は一四年十月、国内債券が六割を占めていた資産構成割合を変え、国内外の株式比率を24%から50%に倍増させた。株式運用は市場が好調な時は収益も大きいが、その分、もちろんリスクも高い。積立金は国民の“虎の子”の財産であり、長期的に安全かつ確実に運用するべきお金だ。


 民進党の試算によると、従前の資産構成割合であれば、一五年度に損失は発生しなかった。


 そもそも、資産割合の変更については十分な議論も、国民への説明もなかった。安倍晋三首相は一四年初め「日本の資産運用は大きく変わる。成長への投資に貢献するだろう」と国際会議でアピール。アベノミクスの成長戦略を後押しする狙いがあったのだ。


 国内株式の比率を1%上げるだけで、一兆円超の資金が市場に流れる。株価を底支えする思惑があった、とみられてもしかたない。


 厚生労働省は「運用状況は長期的に判断してほしい」と繰り返す。損失発生により、すぐさま今の受給者の年金額に影響があるわけではないが、損失が膨らむ一方なら、将来の年金給付が減る恐れは否定できない。株式運用比率を再度、見直すべきではないか。


 加えて、不可思議なのは、GPIFによる一五年度運用成績の公表日がいきなり「七月二十九日」に設定されたことだ。


 例年、七月上旬には発表されていた。今年は同月に選挙がある。野党は「参院選後に公表を先送りする『損失隠し』」と批判する。そうみられてもしかたあるまい。国民には投票の判断材料の一つとして、選挙の前に一五年度運用実績をぜひ、公表してもらいたい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿