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東日本大震災 仮設住宅の窮状/揺らぐ生活基盤の対策急務

2014-07-15 08:12:13 | 震災

河北新報より転載

社説

東日本大震災 仮設住宅の窮状/揺らぐ生活基盤の対策急務

 東日本大震災の災禍は発生から4年目の今なお、被災者の最低限の生活を脅かす。岩手、宮城、福島3県で約9万5000人の被災者が暮らす約4万4000戸のプレハブ仮設住宅を取り巻く環境が悪化している。
 プレハブ仮設住宅が直面する課題は大きく二つある。土台の腐食や傾きの進行といった建物自体の急速な劣化が一つ。さらに、民有地を借りて造った団地の契約期間の終了や入居者の転出による空洞化など、コミュニティー崩壊への不安だ。
 仮設住宅の入居期間は建築基準法で原則2年とされている。災害公営住宅など恒久住宅整備の遅れもあって今回、入居期間が特例で5年に延びた。ただ、応急住宅だけに構造は簡素で、快適な住環境や一般住宅並みの強度は求められない。このため、2年の枠を超えた住宅は次々と障害に見舞われている。
 石巻市では家屋の傾斜が見つかり、改修工事を実施した。別の仮設住宅ではカビが大量に発生し、国立医薬品食品衛生研究所は6月、住民の健康状況を調べる集団検診を行った。被害が著しい住宅では畳や天井板の交換を進めるという。
 岩手県は今夏、仮設住宅の入居期間が7、8年に及ぶ事態を想定し、延命に向けた試験修繕に着手する。秋に全戸点検を行い、老朽化の進展具合に応じて計画的な修繕に入る構えだ。
 仮設住宅団地の土地の貸借期間終了に伴うトラブルも顕在化してきた。宮城県内の場合、県内402カ所の仮設住宅のうち、民有地に建設されたのは166カ所。本年度中に47カ所で契約期限が切れるが、7割超で延長契約が結ばれていない。
 名取市内で最大規模の愛島東部仮設住宅(144世帯)では、宮城県と市が、明け渡しを求める土地所有者と移転に反対する住民の板挟みに陥った。結局市は、異例の用地買い取りを決断。その額は10億円前後に上る見通しだという。
 一方で、災害公営住宅の完成や自力再建による転居で仮設住宅の入居率は低下している。宮城県は5月末現在、82%で前年同月比で10ポイント以上減った。
 空洞化する仮設住宅の集約化に乗り出す自治体も出ている。空室が増えれば防犯上の問題はもとより、互助機能の崩壊、取り残されたことへの不安といった深刻な問題が生じる。入居者にとっては再度、近隣との人間関係を一から築かねばならず、ストレスは計り知れない。
 生きるのに精いっぱいな被災者に、次々と難題が降りかかる。国や自治体が取り組むべきは、住環境の悪化に伴う入居者の健康不安や精神的な苦痛に対処する施策の立案、実施だ。仮設住宅の見回りやコミュニティーづくりの支援員配置など地域を包括する対策が急務になる。
 国の集中復興期間は来年度で終わる。成長戦略に象徴される国富の追求が唱えられる中、多くの被災者は生活基盤すら固められないでいる。被災地の今を政治はもとより多くの国民もわがことと受け止めてほしい。被災地はなお非常時の中にある。

 

2014年07月01日火曜日

 



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