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「警察の捜査が、湯川さん後藤さんの危機的状況を引き起こした」〜ジャーナリスト・常岡浩介氏が会見

2015-01-23 09:31:23 | 日記
転載
• BLOGOS編集部
• 2015年01月22日 16:59
【全文】「警察の捜査が、湯川さん後藤さんの危機的状況を引き起こした」〜ジャーナリスト・常岡浩介氏が会見

常岡浩介氏(編集部撮影) 写真一覧
イスラム国に邦人が拘束された事件で、22日午後、日本外国特派員協会でジャーナリストの常岡浩介氏が会見を行った。午前中には同会場でイスラーム法学者の中田考氏も会見を行っている。
昨年、「湯川氏は身代金を取る材料にしない」と説明された
常岡氏:常岡浩介と申します。ときどき私に関してシャミル・ツネオカと報じられることもあり、あるアメリカ系のアナリストのウェブサイトではシャミルとコウスケはあまりにも似ている、なぜ二人いるのかと言われることもあるのですが、私はイスラム教徒でして、教徒としての名前がシャミルということです。 今日お呼び頂いたのは、イスラム国に2人が人質になっている事件で、私のお話を聞いて下さるということだと思います。

私は一昨年から数えて3回、イスラム国が支配している地域に入って取材したことがあります。後からわかったことですが、その地域に入って帰ってくるということは相当困難で、たくさんのジャーナリストやその援助者が拘束されたり、処刑されたケースもあります。

もともと私はイスラム国を取材しようと思っていたわけではなく、チェチェン紛争を取材していた経緯から、シリアで戦っているチェチェン人グループを取材しており、その中でチェチェン人がイスラム国のオマル司令官を紹介してくれたために、この人物と連絡が取れるようになって、イスラム国の取材ができることになるという、偶然的な幸運がありました。

そういう形なので、それほど重要な意味を感じないまま、連絡がつく状態になっていたところ、去年の8月ですけれども、この司令官から私のところにメッセージが届きました。「すぐにイスラム国に来てほしい」という内容でした。

そのときの彼の表現では日本人ジャーナリストと書いてありましたけれども、"私たちは湯川遥菜氏を拘束している。この人にはスパイの容疑がかかっており、裁判しようと思っているが、意思の疎通ができていない。彼は英語もアラビア語もできないので、日本語とアラビア語の通訳できる人を必要としている"。そして、残虐行為をしないこと、彼らの論理ですけれども、イスラム法に基づいて裁判を行ったという証明をしてくれる立会人、witnessを必要としている、ということでした。

この司令官の説明では、自分自身は湯川氏に会ったこともないんだそうです。しかし彼が従っている直属の上官が、湯川氏の処遇を決める権限を持っており、イスラム法に基づいて裁判を行うに通訳が必要であり、さらにジャーナリストを立会人にしたいと告げられたので、私のことを進言したそうです。そしてもう一人、通訳として、午前中ここで会見をした当時同志社大学にいらっしゃった中田考先生を推薦したそうです。

中田考氏(編集部撮影)写真拡大
私は中田先生と連絡を取り合いまして、そういう連絡を受けたことに二人とも驚愕しました。これは今すぐにでもイスラム国に行くべきだと一致しまして、9月3日には日本を出まして、5日にイスラム国の領域にトルコから入り、6日にイスラム国が首都だとしているラッカ市で、オマル司令官と再会しました。それまでもオマル司令官とは取材で何度か会ったのですが、ラッカ市で会ったのも、ラッカ市に入ったのも初めてでした。オマル司令官が、私と中田先生を招待したから実現したということでした。

オマル司令官に会って事情を聞いたんですけど、やはり彼は湯川氏について、身代金を取る材料にしないということ、見せしめのための処刑をしないというのがイスラム国の方針であると説明しました。あくまでも彼らの表現で言うところの人道的、残虐な扱いをしない、イスラム法に従った公正な裁判をすると言いました。そして湯川氏に会わせてもらえるとの説明を受けたんですが、待てど暮らせど連れて行かれない。 見ていますと、オマル司令官は無線機を使って自分の上官に連絡を試みているが返事が来ない。さらに運が悪くというべきか、ラッカ市にたいしてシリアのアサド政権による過去最大の空爆が加えられました。死者50人のうち、35人くらいが市民だったと、欧米のメディアで報道されたのを確認しました。

その後もオマル司令官は上官への連絡を試みていたんですが、空爆による指揮命令系統の混乱で連絡が付かず、9月8日、入国3日後になり、司令官から連絡が入りました。連絡の内容は、一週間待って欲しいということでした。

その1週間というのは、1週間後にアポイントメントを入れるということではなく、その間応対できないからとにかく待って欲しい、仕切りなおしてほしい、ということでした。中田先生の方は待てないので帰るとおっしゃいまして、アラビア語が堪能な中田先生がいないと裁判も行われないので、私も一緒に帰ることにいたしました。

ただ、1か月後に改めて来るので、湯川さんに会わせてもらえないか、中田先生はタイミングが合わないので、私が英語と日本後の通訳をするので、英語とアラビア語の通訳を用意してもらえないかと、こちら側から提言をしたところ、オマル司令官は、それは可能性がある、と言い方をしましたので、また訪れるという約束のもと、私たちは帰国いたしました。
警察の妨害がなければ、私は湯川さんに会えた可能性があった
一旦日本に帰りまして、10月7日に再びイスラム国に向かうということで準備していたんですけど、前日の夕方16時ごろ、日本の警察、公安部外事第三課の職員が家宅捜査令状を持って我が家を訪れ、私戦予備・陰謀罪の関係先として捜索し、そして関係物を押収しました。

私が取材の準備として荷造りをしていたカメラやビデオカメラ、パソコン、スマートフォン、ハードディスクといったものを全て押収しました。その際には現金、パスポートも一旦押収されました。機材を一旦失ってるもんですから、翌日からイスラム国に向かうこともできず、取材も不可能になっていまいました。

家宅捜索のもっと深刻な影響がありまして、それは私が持っていたイスラム国関係の連絡先なども押収されたために、取材源の秘匿が不可能にされてしまったということです。他の秘匿するだけではなく、取材源の保護も難しくなってしまいました。 ですから、例えば私がオマル司令官に連絡をすると盗聴される危険性が大きくなる。向こうの連絡先がわかっているということは、逆探知されて、発信元を突き止められて攻撃されることもありえる。

家宅捜索の7人が我が家を出て行った直後にイスラム国関係に連絡先を入れまして、連絡先、Facebookなどを破棄して下さいと言いました。捜査当局に押収されたので、あなた方に危険が及ぶ可能性がある。当面連絡もできなくなる、ということを伝えました。

その10月6日の家宅捜索の後、およそ3ヶ月にわたってイスラム国にこちらから連絡することができなくなりまして、イスラム国側が何を言っているかという取材もできなくなったまま時間が過ぎていました。そうした中、今週火曜日、脅迫ビデオのアップロードが行われ、これを見て驚愕しました。

私が3ヶ月前まで聞いていた話では、緊急の危険があるわけではないと聞いていました。イスラム国自身が、彼を身代金を要求したり、見せしめの殺害をしないと明言していたので、連絡ができなくなって3ヶ月が経っていたわけですが、それほどの危機感は持っていませんでした。ですからあのビデオをみて、状況がひっくり返っていることに驚いたのです。

9月にイスラム国に行った結果は、日本のメジャーなチャンネルで発表しています。私が湯川さんに面会する、裁判に立ち会う、彼を開放できるかもしれないということも報道しています。警察は私の再出発の妨害をして、湯川さんを助けられるかもしれない機会を奪ったということになります。機会を奪うかも知れないということを、警察は知っていたはずです。

警察は11月には私に電話してきて、"お前も容疑者である"と言ってきました。そういう捜査も聞いたことがありません。検察への送致もしていません。捜査は着手から3ヶ月経っているんですけれども、もちろん起訴されていない、警察が処理していないということです。はっきり言うと、私戦予備罪というのは過去に適用されたこともない事件でありまして、妥当性があるのかないのかも疑わしい事件で、警察は強行的に私たちの情報を奪っていったと言ってていいと思います

そして、もし警察が妨害をすることがなければ、私は湯川さんにイスラム国で会えた可能性があったと考えています。私たちは彼の裁判に立ち会って無罪にする見通しもありました。というのも、彼は自分の日記に"シリアでイスラム教に改宗した"と書いていました。イスラム法では、改宗した人間は、改宗前の罪が許される。ただ、イスラム国はそれを知らないまま、裁判を行おうとしていますので、彼がイスラム教徒になったということを証明すれば、裁判で無罪を取れる可能性がある、助けることができたかもしれない。 もしそうなれば、後藤健二さんは無理してイスラム国の圏内にはいることはなかった。 言ってみれば、警察の捜査が、湯川さん後藤さんの危機的状況を引き起こしたとすら言えると思います。

警察が私たちの取材の妨害をした代わりに何をしたのか。湯川さんが誘拐されていたのに、捜査を進展させたとは思えない。10月初めには後藤さんが拘束されていることも察知していたはずなのに、やっていたのはネットサーフィンだけでした。

72時間という期限が切られて初めて捜査本部が立ち上げられる。過去5ヶ月間、誘拐犯とのチャンネルが作れなかった捜査当局に、3日間で何ができるのか疑問です。この期に及んでも、私と中田先生を容疑者扱いしているからだと思うのですが、チャンネルになってほしいと言ってこない。外務省も同じです。邦人の命を救うつもりがあるのか、首を傾げざるを得ない。

私は警察の捜査は違法であり、私戦予備・陰謀罪は成立しないことが明らかであると言って、捜査に協力できません、取材源の秘匿も守らなければいけないと言ってきたのですが、邦人の命を助けるための活動は、捜査力とは別問題として、どんな協力でもしようという意思を持っています。必要であればイスラム国にも行こうと思います。それでインターネットに、自分は救出活動に協力する用意があると書いたところでした。 今の所、日本の捜査当局、外務省からの協力依頼、それ以外からの接触もない状態です。時間が迫る中、なぜ日本の警察や外務省に積極性が見られないのか、疑問です。

今回の事件についての説明は以上です。

質疑応答
ー今もイスラム国の司令官とコンタクトがあるのか。その場合、どのように交渉するのか。また、北海道大学の学生を送り込もうとしていたと報じられていることについては。

常岡氏:私も中田先生も、10月の時点まで、湯川さんのことで身代金を取らない、湯川さんを殺さないと聞いていたのに、現在正反対の要求が行われている。なぜそういうことになったのか。何かの理由があるのではないかと聞きただすつもりです。何か日本の政策に戻す条件はあるのか。

例えば今、話題にされているのは、脅迫ビデオの中で、安倍総理が2億ドルを拠出すると発言したことについて、十字軍への支援であって、イスラム国の女性や子どもを殺すのに使われると言っているが、本当に彼らがそう思っているのであれば誤解を解くためと説得ができるわけです。

もし彼らがわかっていてやっているのであれば、建前上イスラム法に従えば、わかっていないふりをしてイスラム国への攻撃に関与していない外部の人間を脅迫することは許されていないはずです。そうやって、彼らが10月まで言い続けてきたこと日本人を殺さないという状態にどうすれば戻すことが可能なのか、まず聞くということです。

次に、僕が北海道大学生を戦闘員として送り込もうとしていたという風に報道もされていましたし、警察はいまだにそう主張していますが、最初に学生に接触したのは僕でした。他に読売新聞や何社かが接触していますが、全てのメディア関係者が、彼にイスラム国に行く意思はなかったと判断しています。僕自身も3回会っていますが、彼にその意志はない、口では適当なことを言い続ける人とだと考えています。

彼はいまだにTwitterで毎日色んな話をしていますが、その内容に、シリアで戦う意思については発言していません。警察の捜査が入る前もそういうことは話していません。中には女性とセックスする話を延々と語っていますけれども、全くシリアと戦うような素振りはないわけです。本当に口からペラペラ喋っている人間であって、そういう一種の放言のようなことを、警察は捕まえて自分たちの手柄に利用しようとしていただけであって、捜査は架空のものであるとしか見られません。

また、司令官とのコンタクトがあるのか、という質問ですが、こちらからのコンタクトはしないようにしています。けれども、ほかに構成員で、エジプト人グループなどから、こちらは危ないからアドレスを削除をしろと言っているのに抜け抜けと連絡しているケースがあるので、警察の監視下にあるよと連絡しています。そのひとたちとはあまり重要な話はできていません。

ー72時間というデッドラインで、人質が生存し続ける可能性は。また、もし、何か悪いことが起こったら、イスラム国のせいだと思うか、日本政府のせいだと思うか。

常岡氏:状況はほとんど絶望的だと思っています。イスラム国はビデオで殺害予告をした人間を確実に殺害してきました。予告された後で助かった人はいないんではないでしょうか。助かったのは、ビデオの公開前にお金の交渉をして解放された人間に限られている。今回、お金の要求があったらしいですけれど、その後で予告が出ている。

ただ2億ドルを払うことは現実的でないので、相当絶望的な状況に陥っていると思います。ほとんど望みは少ないですけども、それでも助けられる方法があるとすれば、イスラム国と直接対話すること。直接対話できるチャンネルを私と中田先生が持っているのに、日本政府が活用しようとしない。これは最大の問題だと思います。

もし、最悪の事態が起こったら、誰が悪いのか。もちろんイスラム国に責任がありますし、その状況に対し対策することができるのにしなかった、日本の政府というよりも捜査機関、外事第三課は、第二の責任者として責められるべきところがあると思います。

ーお答えしにくいことだと思うが、身代金は支払うべきなのか、やはり毅然とした態度で臨むべきなのか。また、こちらから代案を提案する方法はあるのか。

常岡氏:身代金を払うべきなのか払うべきでないのかというと、僕の意見は払うべきではないです。払ったお金でイスラム国は活動していることがかなり明らかになっている。犯行が繰り返されるだけだと思っています。

他に手がないのか。こちらから提案ができるのかと言うと、いくつもできると思う。彼らが言っていたようにイスラム法廷を開いてくれればいい。そうすればこちらから証人を立てることもできます。完全無罪が取れないとしても、たとえば鞭打ち刑で許されるのであれば、首を切って殺されるよりましです。あるいはイスラム法に懲役刑はないかもしれませんが、懲役刑を出すなら、その場で殺されるよりはましです。そうやって、少しでも譲歩を引き出す手はあると思います。

ひとつには、イスラム国は本音と建前を使い分ける組織だと僕はみなしていますけれども、建前がある以上、彼らの建前を主張する戦い方もあると思う。イスラム法に従えばこうでしょと。そうすれば、少なくとも後藤さんを殺す必然性はないはずです。

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会見の終了後、会場を後にする常岡氏に、記者たちから次々と質問が飛び交っていた。常岡氏は、中田氏とも連絡を取り続けており、こちらから外務省などに問い合わせをすることも話し合うという。

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