サムライ左近法務事務所の事件帳

本業の法律事件の他、考古学、歴史学、戦国山城等を、その実証から紹介します。

信州の津金寺

2010-08-17 19:40:57 | Weblog


津金寺境内にある700有余の五輪塔群。
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おそらくこれほどの五輪塔が寺の境内にあるのは
長野県において津金寺以外に例を見ないであろう。
群を抜くような大きな五輪塔は少なく
一様に大きさがまとまり
各時代ごとの様相を呈していると言える。

境内はいつもきれいに手入れされているので
ここは「明るい霊気」と呼べるだろう。

津金寺の創建は大宝2年(702)
行基が戸隠権現の霊験により聖観音を
安置したのが始まりと伝えられている。

鎌倉時代に入ると東信一帯の有力者であった
滋野氏が庇護したことで寺運も隆盛し
津金寺談義所として
広く知られた存在となり信濃五山(天台宗)の一つに
数えられ天台宗最古の学問所としても名を
馳せるに至る。

その後、戦国時代にあっては武田信玄に庇護され
されたが武田家滅亡とともに
天正10年(1582)織田勢より焼失し
天正14年に再興される。

境内背後の裏山中腹には鎌倉時代に建立された
3基の滋野氏の供養(津金寺宝塔)があり
長野県県宝に指定されている。

「宝塔」とは
円筒や八角などの塔身に方形などの
屋根を被せ、さらに相輪を載せた仏塔を指す。
法華宗では、「妙法蓮華経」見宝塔品第十一に
基づき釈迦如来・多宝如来を脇士として本尊とする。

一方「五輪塔」とは
下から方形=地輪
円形=水輪
三角形(または笠形、屋根形)=火輪
半月形=風輪
宝珠形=空輪

によって構成され、
古代インドにおいて宇宙の構成要素・元素と
考えられた五大を象徴する。

天台宗・日蓮宗では上から「妙・法・蓮・華・経」の
五字が刻まれる。
浄土宗・浄土真宗では上から「南・無・阿弥・陀・仏」の
文字が刻まれる。
禅宗では下から「地・水・火・風・空」の漢字五文字が
刻まれる。
また宗派を問わず種子を彫ることも多い。
日蓮正宗では必ず上から「妙・法・蓮・華・経」の
五字を刻む。
同時に種字や文字のない五輪塔も多く存在する。

翻って津金寺の五輪塔群は
種子や文字のないタイプが多いのが特徴である。

しかし多くの庶民は
「土饅頭」が主であり
五輪塔をつくれたのは、それなりの階層・階級で
あったのには変わりはない。

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