集中している時に現れる”もう一人の自分”
(ある会社の面接で)「なぜ、前職を辞めたのですか?」
私は、これまで転職を経験するたびに何度もこの質問に答えてきましたが、正直いって仕事を辞めた理由は一つではありません。
というか、そもそも辞めた理由などどうにでもなると思っているので、その場のインスピレーションでそれらしい答え方をしていたというのが正直なところです。もちろん全くの出鱈目ではありませんが、間違いなく尾びれ背びれは付けていていたように記憶しています。
でも、その都度「もし、あのまま続けていたら、今頃どうなっていたのかな?」という問いが頭の中を走るのも本当で、辞めた理由を答えながら、実はそのことを想像しているのです。
何だか、左脳で質問に答えながら、右脳で”辞めなかった自分”を想像しているような・・・
私は、面接を決してナメている訳ではありませんが、質問されことに真摯に答えようとすればするほど、つまり相手が何を知りたがっているのかを考えれば考えるほど、自分の内面と向き合わざるを得ない状況になって、想像力が増す感覚を体験してきました。
質問を聴いている端から、その回答にふさわしい記憶とは別の”そうでない自分”を瞬時に想像して、そうでない自分と、本当の今の自分を対比させて俯瞰している、”もう一人の自分”が、相手の知りたい事(要点)は何かな~?などと考えて回答を選択しているのです。
そうなっている時は、明らかに”もう一人の自分”が優位になっているという感覚があります。
かと言って、いわゆる多重人格とは明らかに違うと思う(その経験はないが…)し、自分の側面の一部とも少し違う気がしていて、それは、いわゆるゾーンに入るような感覚で、面接時に限らず、1on1の時や少人数で深く話し込んだりする時にも同じ様な感覚が発動します。
つまり、話に集中している時に発動するのです。もちろん、自分の興味が薄い話題や嫌いな相手には発動しません。
その”もう一人の自分”は、確かに自分の中に存在していて、当然ながら経験則も知識量も語彙力も同じはずです。
でも、普段の自分よりは明らかに視野が広く思慮深く落ち着いています。そして決定的に違うのは”物事を決めつけない観点”を持っているのです。
私は自他ともに認める直観型人間です。なので普段の私は、先入観やインスピレーションで物事を捉える傾向が強く、ある事象の展開を、直観と経験値だけを頼りに予想し過ぎる面があります。
そのため、思い込みが仇になる事も多く、思いもよらない失敗やトラブルを起こしては後で尻拭いをした経験も山ほどあります。
しかし、”もう一人の自分”の存在を意識するようになってからは、大きなトラブルにはならないような気がしていて、今となっては、集中すべき時とそうでない時の使い方も慣れてきたように思います。
今思えば、いつから気づいたのかは定かではありませんが、相談業務に就いてからはより明確に認識するようになりました。
もう一人の自分の正体
では、”もう一人の自分”とは一体誰なのか?
その存在に気づいた頃は、もともと自分の中にある側面の一部だと思っていました。
しかし、普段の自分の状態でも、自身が持つ色んな側面を意識することはできるし、心の中で違う側面の自分と対話することもあります。それは、私に限らず恐らく多くの人が似たような体験しているのではないでしょうか。
しかし、この”もう一人の自分”は明らかにそういう側面の一部ではないのです。
今となっては、私はこのように理解しています。
もう一人の自分は、「成長させていただいた自分」である。と。
これまで様々なことを経験し、多くの失敗や迷惑を重ねてきた一方で、そんな私を受容し理解し、適切な方向に導いてくれた人たちとの出会いも数えきれないほど経験してきました。
家族や友人はもちろん、上司、部下、同僚、先輩、後輩に限らず、顧客や競合他社の担当者、さらには宗教家や霊能者まで、公私にわたり立場を超えて出会ってきた多くの人々に教えられ、気づかされ、鍛えられ、そして叱られてきたお蔭で成長させていただいた自分が、まさに”もう一人の自分”だと思っています。
自分自身、強運の持ち主だと確信しているほど、人との出会いには恵まれてきたことに、感謝しかありません。
しかし、未だ集中している時にしか発動しないというところが、未熟な証拠。
本来なら、すでに程度達観している年齢とキャリアだと思いますが、今は普段の直感型の自分が優位になっているのは事実です。
恐らく、”もう一人の自分”と普段の自分が、丁度よい塩梅で重なり合うのが理想的だとは思いますが、それにはもう少し時間がかかると思います。
私は、仕事は人を成長させ、自分も他人も共に幸せにすると思っています。
これからも、仕事を通して成長させてもらいたいと思うと同時に、少しでも誰かの成長に寄与できる自分でありたいと思っています。
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