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労使協定 その2 「労使協定って何?」

2016-12-04 | 仕事

前回は36協定でした。そして今回は「変形労働時間制」について書く予定でしたが、どうも解説に主軸が傾き過ぎていているという気がしたので、反省も込めて今回は視点を変えます。

私は、労使協定の解説をしたい訳ではなく、そういう法令に対して皆さん自身がどう理解し対応(対処)すべきかを考えて欲しいと思っています。なので、今回は「労使協定って何?」という観点で、できるだけ分かりやすい言葉を使って説明し、問題提起もしたいと思います。

まず最初に知っておいて欲しいのは、労使協定という言葉の意味をあまり理解していない(知らない)経営者は予想以上に多いという事実です。

実際に、私自身「36協定って何?」とか「変形労働時間?交代制じゃなくて?」などと尋ねる経営者や人事担当者を何人も見て来ました。

でもそれは、ある意味仕方がないとも思っています。

なぜなら、労使協定という言葉を知らなくても会社は設立できるし、最初は経営にも直接影響はしません。そもそも社長をはじめ役員になる人は労使協定の「使」の方、つまり「使用者」側に立つので、いわゆる労働法で守られる対象である「労働者」ではないからです。

労働法では、いわゆる会社側の立場の人たちのことを「使用者」と呼ぶことが多いので、使用者=経営者と理解すればよいでしょう。ちなみに「法人」という表現も登場しますが、これは法律上、会社も一個の人格とみなし「法の下の人」という意味の表現です。

話を戻します。

つまり、労働法のすべてを知らなくても使用者(経営者)になれるのです。それは、法律のことを何も知らなくても労働者になれるのと同じです。

何が言いたいかというと、労働法とはたとえ違反していても、知られない限り放置されるということです。(犯罪も同様です)

労働法制に関する取り締まり機関は、労働基準監督署というところですが、実は使用者が法律違反をしていないか、いろいろ調査しています。

しかし、会社の数があまりにも多く、いつも一つの会社に監視の目を光らせるわけには行かないので、法令違反があったとしてもその多くは放置されているのも現状です。(通報があれば別ですが)

しかも、前述のように労働法制をよく知らない経営者が多いので、そもそも違反かどうかなんて考えてもいないでしょう。(お金の工面の方が重要なので)

だからこそ、労働者が然るべき知識を持って対処すべきだと私は思うのです。そもそも労働法は労働者のための法律だからです。

多くの人が勘違いしがちなのは、「使用者>労働者」という力関係ですが、本当は違います。

実は、使用者と労働者は対等の立場です。

だから、労使”協定”と言います。共に争いやもめ事を避けるため、あらかじめ話し合い約束事を決めておくという意味です。

使用者が指示や命令を出せる範囲や、仕事の割り当てなどを明確に示したり、働く時間や場所に関する約束事を明確にしておくなど、互いの認識をすり合わせて双方が納得のいく環境で気持ちよく仕事をするために結ぶのが労使協定なのです。(労使協定の種類や内容については説明が膨大になるので割愛します)

ちなみに「労働契約」は、個人が使用者と交わし、その会社の労働者になることを意味しますが、その場合もやはり対等の立場で交わすものです。労働者は使用者に対して労働力(技術・知識・経験・時間など)を提供する代わりに、使用者は賃金を支払うという関係を結ぶという意味です。

さらには、法律も労使関係は対等という考えを前提にしています。しかしながら一般的には使用者=雇う側、労働者=雇われる側という関係上、どうしても使用者側の権限が増す構図になりやすいので、労働法では労働者側の保護という観点が強く反映され、「使用者は労働者に対し・・・してはならない」という趣旨の法令が多いのです。

私は、労働者こそ労働法についてもっと知るべきだと思っています。(特に若手の)

当然、使用者側もですが、会社を経営していると何かと考えなければいけないことは山ほどあるので、いっそ労働法のコンプライアンスは若い社員に任せたらどうかと思います。(中間管理職も忙しいので)

例えば、入社2・3年目くらいの将来を担うであろう若手社員を、経営者直属の「労働法コンプライアンス担当」というスタッフ機能を設けて、法律順守の職場創りに取り組むといったやり方があるのではないかと考えています。

労使協定の他にも、就業規則、給与規定、労働契約など、使用者と労働者の間には実に多くの約束事が必要です。

しかし、そういう事を知らずに何年も不当な扱いを受け続けて来た事にさえ気付かない、仮に気付いても「雇われいる身だから…」と戦おうとしない労働者が実に大勢いるのも事実です。

また一方では、経営は上手くても社員を不当に扱っている事にいつまでも気が付かず、さらには定着率が悪いにも関わらず「募集しても人が来ない」などとぼやく経営者もたくさん存在しています。

労使協定は、使用者と労働者が対等の立場で結ぶもの。だからこそ、労働法も労使が共に協力して知識を深め、遵守して行けるようになれば、もっと働きやすい環境になる会社は多いのではないかと、私は考えています。

皆さんはどうですか?