すき間風

スーパーで学生時代の恋人を見かけた。
偶然に、なぜか何回も見かける。
いつの間にか結婚し、私の知らない女の子はその人の妻になり、その人の傍を歩いてる。そんな光景を、私は何度も見かけた。
私は何をしに、スーパーへ来たんだっけ。
私の目的はなんだっけ。
そういう時、私はからっぽのような気がする。
あの人を想像してみた。
でも涙が前みたいに出ない。
確実に、日々忘れている。それにまた腹がたって
思わずスーパーの袋を投げつけた。
つけていたネックレスもひきちぎった。

生産していない、何にも創りあげていない、役立たずの、モノに思える。
変わってゆく人達を、溶け合って違う何かを、新しい何かを創り出してる人達と、意味もなく何の貢献もしていないヒトの姿のまま息をしている私。
消えていなくなれと思うことが、時々ある。

腹立たしい。
ガムを噛めばジンジン痛い歯も
あの人を忘れて涙が出ない私も
腹立たしい私の意味がわからない腹立たしい私も。