遊工房・雑感

日頃のあれこれを綴る日記です

父子

2009-12-10 10:51:07 | 本と雑誌

ここ数日あわただしくて

書こうと思ったことを書いてないので忘れそう

短編集「風花病棟」のなかの”震える月”の章

これは

泌尿器科の医師の話

ベトナムの学会で

ベトナムの医師と出会う

その人は父親が戦争中に命を救った人の

子息だったというめぐり合わせという話

 

この泌尿器科の医師の父親もまた

泌尿器科の医師で軍医だったのだけれど

同じ科の医師になったとはいえ

この父子は殆ど口も利かない

疎い間柄の父子だった

 

この

「風花病棟」の”百日紅”の章でも

疎い関係の父子が出てくる

双方とも

父親の死後

息子は父親の魂に触れる出来事に会い

父親との関係が出来てくる話だ

 

これで

思い出した

「チボー家の人々」の中にも

主人公の一人ジャックが

疎かった父親の死後 書斎の中で

なくなった父親を感じとめ受け止めていく話があった

 

私の中学校時代

図書館の

二大人気小説が

「赤毛のアン」と「チボー家の人々」だったので

この話は

私の世代の人は皆知ってる話と思ったが

昨日聞いてみたら

そうでもないらしい

もっとも皆私より人世代若いものな

 

父親と息子

これは

嫁姑とも一味違う

永遠のテーマに違いない

 

私は女子なのでよく分からないが

それでも

抵抗ある父との関係は

父の死後 変化し続けている

 

母というのは中なっ木にいた立場なのだけれど

だから

父というのはかわいそうという気はある

だいたい

お産の仰天する痛みを体験しないって

気の毒

と言ったら武蔵は何も理解しなかったけれど

 

父と言うのもこれは面白い存在なのだなあ

 

うちの父子はどうなるだろう?

 

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アルコール依存症

2009-12-07 05:55:36 | 本と雑誌

「風花病棟」の中の”かがやく”というのは

アルコール依存症の患者の話です

彼は22年間も入院していて

その間呑んでいないのですから退院を勧められるけれど

「死ねということですか」

と拒否する

今ではありえない話か

 

22年の前の13年の入退院歴はひどいもので

親族知人からは鼻つまみ者です

 

病院内では掃除に精を出し

殆ど清掃職員のよう

 

主治医と花壇をつくり

チューリップを植える話です

Tulip

何回も書きますが

私の父は酒乱でした

アルコール依存症の治療に行けば

母が呑んだくれの父に言ったら

大変なことになって

二度と勧められなかったことを思い出します

この主人公も

警察から回されて入院するのですものね

 

家族や知人が

依存者を

疎ましく思い排斥することはよく分かるのです

 

しかし

この本を読んで

私はなぜでしょうね

 

この患者は結局肝硬変から肝臓癌になって死んでいくのですが

死ぬ一週間前まで

モップで渡り廊下の掃除をするのです

 

医師は告知もせず

清掃作業にドクターストップをかけなかったことを

悔やむのですが

読者の私は 本人が癌と自覚もしていると思ったし

清掃作業を通して

生き抜いたということにしちゃうのです

 

同病の入院患者が

彼から教わったことをこう言います

「飲まん秘訣は、飲まん人の真似をすること、

腹を立てんこと、

呑みたくなったら水で満腹にすること、

暇を作らんこと」

凄いねえ

依存症からの脱出の知恵だ

こうも言ってる

「迷惑かけられたほうは

いつまでも覚えている。

こっちは忘れていても、向こうの信用を取り戻すには

年月がかかる・・・・」

そうなんだよなあ

アルコール依存症は周りの人を執念深くするよ

これも病的だな

私の周りには

もうすこし

アルコール依存症の人がいるのよ

付き合い方を考えなきゃ・・・

 

この主人公のように

死ぬまで働く

というのも凄く好き

 

動ける限りは動く!

おばさんも凄いもん

好き!

 

私の母は腎臓が悪く

透析が長かったけれど

最期が近くなった頃

椅子に腰掛けるのも疲れるようになって

床にまな板を置いて野菜を刻んで

料理してた

 

椅子に腰掛けて

高い位置にいるのはエネルギーが要るんだと

初めて知った

 

亡くなる朝も味噌汁を作り

病院に透析に行き

皆の使うテーブルを何時ものように拭き掃除をして

帰宅して

一人で死んじゃった

もうがりがりにやせてた

 

人が死ぬってことは生きるってことだな

と教わったと思い

この本を読んでも

それを思った

 

 

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「アフリカの瞳」続き

2009-12-04 12:28:28 | 本と雑誌

 

「アフリカの瞳」はエイズを巡って

製薬会社が国家権力と結びついて

エイズで苦しむ人々を食い物にし

実験台にした

それと闘う話なのだけれど

今インフルエンザが大流行となり

人々の健康を守り命を守るために

それぞれの分野の人が

奮闘していると思うけれど

実際は

何が起きているのか分からない

 

新薬の開発は

病人にとって切実に希望するものではあるけれど

治験薬の投与ということを考えても

まだ

認可されてない新薬

きっと今までにない効果があると予測して

自分に使って欲しい

とか

医療関係者につながりがあって

認可される前から新薬を使ってもらって

ラッキー

なんて話も聞いたこともあるような気がするが

アフリカで

エイズの新薬が動物実験も不十分なまま治験薬として

投与され副作用で苦しみあるいは命を落とす

というような事件を

織り交ぜながら

話が進んでいく

 

製薬会社はエイズと闘うのではなく

ビジネスチャンスとして動く

 

そうだろうなあと思う

 

患者の側にたって医療が行われるとは信じられないよなあ

民衆の力を無視しては何も出来ないという状態を作らなければ

何億何百億という金の前では

それに突き動かされる

 

「アフリカの瞳」の話の中では

学習センターの受講生たちが演劇を作る

自分たちの暮らしの問題を

取り上げたり

知恵を広げたり共有することに

演劇の力を借りるのだけれど

それを作り出す人々がなかなか面白いし出来上がった劇は

実際上演したらいいとおもった

 

みどりさんのブログでは

電気が自動的にお風呂を沸かす

そういう暮らししか知らない若者を育てていいのか

という記事があった

 

この劇のひとつに

土壌が流れてしまうのを

段々畑の手法で防ぐ

生ごみを集めて肥料にする話なども出てくる

 

飴の少ない地で水をどうするかなど

 

人間が自然に働きかけて

恵みを分けてもらう

そういう内容はいいなあと思った。

 

アフリカについて私は殆ど知らない

上に載せた歌は

「ン・コシシケレリ・アフリカ」

南アフリカ共和国 国歌の中の曲

その他タンザニア ザンビアでも国歌に取り入れているそうです

子供たちが高校生のときよく合唱した曲だ

 

アフリカのことも習ったのだろうか

そういえば

イギリス人が作った何タラ言う映画があったなあ

「遠い夜明け」だった

 

 

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アフリカの瞳

2009-12-03 10:27:30 | 本と雑誌

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この本の本筋ではないが

紙に記録はしないアフリカの人の記憶力の凄さについて

書いてあるところがあった。
そうだ!

視覚障害者の人の記憶力も凄い。

カーナビ付きの車に乗るようなって

私の唯一人より優れていたかもしれない方向探知能力が

枯渇しつつあることを思った。

赤羽にやがて到着するところ。

(ここまでは湘南新宿ラインの車中から携帯で書いた)

この本を読んで 

アフリカについて

何も知らない

エイズのことも

新型インフルエンザにまぎれて

忘れていた

 

日本のエコノミックアニマル振りについても

よく知らなかった自分を恥じている

続けて読んでいる

イケメンの夏生くんお奨めの

春江一也「上海クライシス」

これにも砂漠の話が出てきて

人間の暮らし

って

・・

色々考える

感覚は暮らしが作る

何年もお風呂に入らない暮らし

 

毎日二回はお風呂に入る暮らし

 

毎月1500万円お小遣いをもらっていた人の暮らし

 

どんな小説も

どこの視点で読むかが肝心で

頭がくらくらする

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「 聖灰の暗号」

2009-11-29 05:51:12 | 本と雑誌

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やっと読み終わった

ミステリー仕立てだかれど

私の関心は

ローマ教会とカタリ派の論争

私にはキリスト教の知識がないので

分かりにくいけれど

九州の人はキリシタンが迫害を受けても

信仰を守ったことを

関東に住む私たちよりも

身近な歴史と感じているのだろうか?

 

人にとって

自分のモラルは

何処から来てるか考えてみると

面白い

 

・高校の修学旅行中に

夜映画を見に行った

教師が黙認した

というこれはナツさんの話

一方

・ゆすらうめさんの話では映画は保護者同伴でないと駄目だったそうだ!

・映画といえば

私も高校生のとき辛気臭い試験勉強に飽きて

試験前はぱーっと映画でも見て

脳みそリフレッシュしたほうが

結果オーライだわ

職員室に新聞を見に行って

映画欄を見漁っていたら(新聞には何処で何の映画をやってるか書いてあった)

担任の先生

あらあらまあまあ

とあきれながらも叱りはしなかったのを思い出した

 

どういう風に

自分の中のモラルを築いてきたか

 

それは

本当に色々

 

道徳心の足りない私が

一番チリチリ守るのが時間

って

考えたら本当に変

 

ここ田舎の人は

どうやら

人様に後ろ指を刺されない

というのが基準のような気がする

人目をはばからない私には

違和感がある

 

いったい何を大事だと思って暮らしていくのか

しみじみ考えてる

 

とはいえ

道徳的な遊工房になるわけではないが

 

宗教というのとも縁がなく暮らしてる

と思い込んではいるけれど

多分血肉となっているものの考え方というものがあって

自力で何もかも分かるわけにも判断できるわけでもないとは

分かってはいる

 

それでも

教育とか子育てとか考えるときは

子の自律的な成長をうんと大事にしたいという思いは強く

それも

自分が育ってきたことと深く結びついてる

考え方だなと思った

私が育ったころは

戦後の民主主義教育が盛んな時期で

どの段階でも

かなり自由に教育を受けてきた

小学校ではクラスで犬を飼ってたし

中学では学校で飴をなめるのも早弁も

悪ではなく学校帰りに渋谷や自由が丘で映画も見た

高校では

空き時間に銀座まで出て行ったり

制服のまま新宿の風月堂でお茶しながら先輩たちの芸術論を聞いてたりした

 

後に

東京東部の学校には坊主頭を強制する学校

スカートの膝下何センチと測る物差しがあるような教育が

まかり通っていたのに仰天したし

一方では

中学生が

遠足の目的地決めから行程まで

生徒の手で運営させる教育も行われてたり

日本中が

千差万別の教育理念で教育が施されてきたことに

これが日本らしいのかもしれないと思った

 

わが子の通う学校には日本全国から子供が集まるので

中学校時代にどんな校則

隠れ校則があるか出し合っては

自分たちのおかれてた環境を相対化して見直すような授業があった

子供たちは

笑い転げながら概念砕きというのをやっていたわけだ

 

もうじきクリスマス

サンタなんか作って楽しむし

正月が来れば初詣に行くし

墓参り命の高齢者にはついていくし

 

宗教的には寛容極まりない

というか

信仰と縁がないだけかもしれないけれど

 

この小説に出てくる

カタリ派はなぜか九州で迫害を受け焼き殺されたキリシタンを思わせる

 

宗教戦争って  こういう私には理解するのが難しい

 

さて

今日はKINU洋画会

もう一枚

紬の人を描くのです

ルンルン

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「 聖灰の暗号」

2009-11-27 07:04:04 | 本と雑誌

まだ上巻の後半部分にしか差しかかってないのだけれど

 

面白い!

 

だんだんミステリーになってくるのだけれどね

これは日本人歴史学者が

南フランスで

キリスト教の異端として滅びたカタリ派の

探索をしていく話

 

歴史って

時の為政者が

都合のよいように作り出し

まあだいたいそういうものを習って育つのが私たちだ

 

何処まで本当か

何が隠されているのか

そりゃあ

色々面白い研究がなされ

読み物もいっぱいあって

だいたいそういうのは好き

 

梅原猛の怨霊封じから法隆寺を説いた話も面白かったし

 

歴史家はそうやって見えなかったものをあぶりだす仕事をしてる?

おおむね今の政治的信条を正当化するために

色々作り変えられるのが歴史でもあるけれど

だから

絶対的真実なんかないものだけれど

謎を暴くというのは

面白いなあ

私もミーハーだなあ

 

これが面白い一つ

 

もう一つは資料漁り

学者って探偵なのか

とは最近の感想だけれど

事実を探るのに資料を漁る

しかもフランスというところはそれらの資料が

想像を絶する配慮で保管されてると聞いた

 

主人公がある図書館に行く

そこで求める資料を探させてもらうのだけれど

たった一人の学者がそれを求めるならば

図書館としては存在意義があったと

館の職員が言う

 

図書館の財産的な意義をこう捉えるのね

国の文化の深みってそういう

いつ日の目を浴びるかもしれない資料への敬意に

現れてるのだなあと

ちょっと感心した

 

十字軍のことなんか

歴史の教科書に出てくる事柄の上面しか知らない

12121年 いちにいちに子供十字軍なんて

暗誦なんかして

その子供十字軍なんか

リアルにイメージできない

 

カタリ派のことなどは知らなかったし

 

帚木蓬生って九州出身よね

このあいだラジオで谷村新司が

九州には紀元ちょっとすぎには沢山の国があって

それは

いろいろなところから九州に上陸して

そのまま風習も携えて国を作って

という話をしていた

 

九州の人の背後には

関東人には計り知れない歴史が潜んでいる気がする

 

隠れキリシタンも多かったし

仏文学を学んでから精神科医になった小説家から

つむぎだされる小説という味わいも面白い

 

学習障害の子供の話も出てくるのよね

病院と学校の連携もたいしたものだわ

 

日本の学校も

学習障害に関しては

もう少し勉強するチャンスを先生に与えなければいけないと思うのよ

予算を削ったり

指導力を疑って行政が先生を萎縮させてどうするのよ

ひそかに怒ってるし

 

ともかく

この「 聖灰の暗号」

面白い

「ダビンチ・コード」の二番煎じかよ?!

と読み始めた人も多いようだけれど

みなさん

いやいやなかなか面白かったと仰ってますね

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帚木 蓬生「薔薇窓」

2009-11-20 06:28:39 | 本と雑誌

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2000年のパリ万博のときのパリが舞台

写真 フェティズム  恋愛妄想などがキーワードの

ミステリーだけれど

ミステリーの部分は

想定通り過ぎるなあ

私程度の読者の想定どおりではなあ

事件は連続誘拐事件なんだけれど

性的倒錯が作品としての写真にどう現れるかなどは面白かった

フェティズムが加虐

露出症は被虐

という話が出てきて なるほど と思った

主人公は伯爵夫人の恋愛妄想の対象になって

ストーキングされ続けるのだけれど

それが事件の解決の大団円のかげにうやむやに遠ざけられ

ちょっと消化不良

 

万博の日本館に関わる

日本人の美術商が出てくるが

美術品であれ人物であれ

価値判断についてあれこれのやり方について

主人公とやり取りがあるところは面白い

途中でバカな日本のお偉方が視察に来るのだけれど

日本人が外側でものごとを判断する

権威に弱い

とかという話は

フランスの底深い文化の厚みと比較されて

よく聞く話だけれど

私はフランスに詳しくないからわからない

朧に思い出すのは

フランスでも決まりきった 自分でアレンジしない

陳腐な趣味を自嘲する話が出てくる小説があったなあ

 

この小説全体では

浮世絵 刀の鍔などがでてくるし

フランス側は印象派の絵画がでてくるし

日本側は印象派を大いにもてはやしたし

いまだに日本の油絵って印象派の影響下にあるし

 

そこらのこともちらちら思いを馳せる種が散らばってる

 

写真はこのころ特別広がりつつあった高等趣味だったのね

 

私が子供の頃も 写真部 なんてあって

カメラなんか買ってもらえはしない階層の娘(私)には

縁のない部活だったけれど

ここ数年だわ

デジカメなんか誰でも持ってて

誰でもカメラマンなんて

 

今だって本格的には奥の深い趣味には違いないけれど

 

この話の中で

事件の解決には

写真に撮られた映像の違和感

これが真実を暴露してるところが面白い

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「薔薇窓」

2009-11-19 04:04:46 | 本と雑誌

Nagatoro2

この絵は記事とは関係ないのです

花てぼさんちに長瀞の紅葉の絵が載ってるから

張り合って

冬の長瀞の絵を載せたくなった

長瀞は

私の通った小学校の高学年で行く遠足地で

ここは地球のへそです

って

岩石のことを習う場所でした

比較的近くにも住んだし

何回か遊んだところで花てぼさんの写真は

この反対側へ振り向いた写真のような気もする

↓が花てぼさんの撮った写真です

1258410445

並べたほうが分かるから

並べちゃった

 

表題の本が今読んでる本です

相変わらず帚木 蓬生さんの本

著者は

今は精神科医だけれど

元はフランス文学をやった人なのですよね

フランスの精神科医が主人公の19世紀終わるころの話

ナダールの写真館がでてくるよ

ミステリーですからね

まだ半ばまで読んだところで

展開は読めるような読めないような

 

これまた分厚い本なので

満足です

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帚木 蓬生「逃亡」

2009-11-16 06:02:06 | 本と雑誌

やっと読み終えた

 

凄い

帚木 蓬生氏の本名は森山

この話の主人公は守田

そうか 氏は小説に出てくる次男の竜次だ

モデルはお父様だそうです

帚木 蓬生氏は1947年生まれ

この小説を書くために取材し励まされた話を何処でか

読んだ

今の私たちの年の親たちの世代は

みなこの「逃亡」の主人公とは繋がる世界を

行き抜き

殺されてきたんだわ

 

戦場でのことは

親というのは

どう子供に語ってるんだろう

親戚の特攻隊の生き残りのおじさんは

とても美化して語るけれど

死んでいった仲間に対して

その死を犬死にしたくない思いがいっぱいある

 

戦犯として逃げ回ったとき

また

巣鴨プリズンにいたとき

天皇にまつわる色々な見解がいろいろに語られた

すべて天皇の命令で

すべての武器は天皇のもので

そう信じ込まされそれを思考の頂点として

暮らしてたのは

酔っ払った父が天皇陛下というたびに

条件反射で「気をつけ」になって見せては

戦場では頂点に天皇がいたのは末端の兵士まで

身にしみこまされていたのだけれど

天皇の赤子?

嘘ばっかり

天皇には一般的な国民像は見えても

赤子なんてものが見えてるわけではなく

親というものは自分を犠牲にしても子を守るような

そういうものさえない

ホント

実は 無関係な存在 というのが本当のところか

 

戦犯として裁判に掛けられたものは

ずいぶんいい加減だったようで

最後のほうでは

その中で戦場で行ったことを考え

死んでいったもののことを考え

部下に責任を押し付け逃げおおせた上官

不正確な罪で刑死したもの

それらについて

考えたり話したりする箇所は

人間として

繰り返し読んで考えなくちゃと思う

 

極限状態ではきれいごと通りにはいかない

帚木 蓬生氏はお父様から聞かされた話から

この小説を書こうと決め

取材し書き上げたに違いなく

戦場から帰ってきた

父の悪口ばかり言ってる自分が情けない

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「逃亡」

2009-11-15 07:07:50 | 本と雑誌

分厚いのでまだ読み終われませんが

この本は是非お読みいただきたい

主人公は憲兵だったので戦犯として追われ

逃亡しているのです

戦犯という言葉をもう一回深く考えています

私の父も自分は明らかになれば戦犯だといっては

飲んだくれて暴れました

今覚えば

復員してからどんな思いでいたのでしょう

ただの兵士ですから

憲兵とは違うでしょうが

上官の命令で捕虜を殺害している

その苦しみのことなんか知りませんでした

私には恐ろしいお父さんでしかなかったのですから

 

天皇が国民の苦しみをともに苦しみ

という「お言葉」を述べ 全国を行幸 人民を励まし慰めるているという記事を

主人公とともに水戸の海岸で隠れ住んで

藻塩を作り畑を作って暮らしていた熊谷という人が

唾棄するように怒り狂う

この「お言葉」のなかの人民には 戦犯とされて死刑にされたり逃げ回っているものは

含まれていない

(その天皇の命令をもっとも忠実に実行し戦果を挙げたりしたことが

 罪なのです)

 

戦勝国側に差し出して罪をかぶせてる

 

責任を取るものが取らずに・・

そうなると下々に降りてくる

 

私の父の事件も上のほうの途中の誰かが責任を取って

死刑になったりしてるかもしれない

物語にも出てくる

上官は死刑を甘受し 実行犯は罪に問われなかった話が出てくる

 

戦争は人殺しだもの

そこに投入された人も

内地で逃げ惑った人も

とんでもない時を生き抜き

あるいは殺されてきた

 

私はこの物語に出てくる

主人公の子供の善一だと思った

 

是非図書館に行って借りてきてお読みください

 

さて 本日はKINU洋画会

婦人像を描く

という課題の日で

出かけます

 

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