遊工房・雑感

日頃のあれこれを綴る日記です

帚木 蓬生「逃亡」

2009-11-16 06:02:06 | 本と雑誌

やっと読み終えた

 

凄い

帚木 蓬生氏の本名は森山

この話の主人公は守田

そうか 氏は小説に出てくる次男の竜次だ

モデルはお父様だそうです

帚木 蓬生氏は1947年生まれ

この小説を書くために取材し励まされた話を何処でか

読んだ

今の私たちの年の親たちの世代は

みなこの「逃亡」の主人公とは繋がる世界を

行き抜き

殺されてきたんだわ

 

戦場でのことは

親というのは

どう子供に語ってるんだろう

親戚の特攻隊の生き残りのおじさんは

とても美化して語るけれど

死んでいった仲間に対して

その死を犬死にしたくない思いがいっぱいある

 

戦犯として逃げ回ったとき

また

巣鴨プリズンにいたとき

天皇にまつわる色々な見解がいろいろに語られた

すべて天皇の命令で

すべての武器は天皇のもので

そう信じ込まされそれを思考の頂点として

暮らしてたのは

酔っ払った父が天皇陛下というたびに

条件反射で「気をつけ」になって見せては

戦場では頂点に天皇がいたのは末端の兵士まで

身にしみこまされていたのだけれど

天皇の赤子?

嘘ばっかり

天皇には一般的な国民像は見えても

赤子なんてものが見えてるわけではなく

親というものは自分を犠牲にしても子を守るような

そういうものさえない

ホント

実は 無関係な存在 というのが本当のところか

 

戦犯として裁判に掛けられたものは

ずいぶんいい加減だったようで

最後のほうでは

その中で戦場で行ったことを考え

死んでいったもののことを考え

部下に責任を押し付け逃げおおせた上官

不正確な罪で刑死したもの

それらについて

考えたり話したりする箇所は

人間として

繰り返し読んで考えなくちゃと思う

 

極限状態ではきれいごと通りにはいかない

帚木 蓬生氏はお父様から聞かされた話から

この小説を書こうと決め

取材し書き上げたに違いなく

戦場から帰ってきた

父の悪口ばかり言ってる自分が情けない

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