2000年のパリ万博のときのパリが舞台
写真 フェティズム 恋愛妄想などがキーワードの
ミステリーだけれど
ミステリーの部分は
想定通り過ぎるなあ
私程度の読者の想定どおりではなあ
事件は連続誘拐事件なんだけれど
性的倒錯が作品としての写真にどう現れるかなどは面白かった
フェティズムが加虐
露出症は被虐
という話が出てきて なるほど と思った
主人公は伯爵夫人の恋愛妄想の対象になって
ストーキングされ続けるのだけれど
それが事件の解決の大団円のかげにうやむやに遠ざけられ
ちょっと消化不良
万博の日本館に関わる
日本人の美術商が出てくるが
美術品であれ人物であれ
価値判断についてあれこれのやり方について
主人公とやり取りがあるところは面白い
途中でバカな日本のお偉方が視察に来るのだけれど
日本人が外側でものごとを判断する
権威に弱い
とかという話は
フランスの底深い文化の厚みと比較されて
よく聞く話だけれど
私はフランスに詳しくないからわからない
朧に思い出すのは
フランスでも決まりきった 自分でアレンジしない
陳腐な趣味を自嘲する話が出てくる小説があったなあ
この小説全体では
浮世絵 刀の鍔などがでてくるし
フランス側は印象派の絵画がでてくるし
日本側は印象派を大いにもてはやしたし
いまだに日本の油絵って印象派の影響下にあるし
そこらのこともちらちら思いを馳せる種が散らばってる
写真はこのころ特別広がりつつあった高等趣味だったのね
私が子供の頃も 写真部 なんてあって
カメラなんか買ってもらえはしない階層の娘(私)には
縁のない部活だったけれど
ここ数年だわ
デジカメなんか誰でも持ってて
誰でもカメラマンなんて
今だって本格的には奥の深い趣味には違いないけれど
この話の中で
事件の解決には
写真に撮られた映像の違和感
これが真実を暴露してるところが面白い