青い空と薔薇が好き

  我が家のお庭の写真を載せています。
  コンデジですが、薔薇の写真は自分でも気に入っています。

バレンタインディー       ジムノペディを弾いて

2009-02-14 12:03:18 | 薔薇


すごい雨音で 目が覚めました


今日は バレンタインディー

夫婦の間で義理チョコなんて 変と思ったり
いい齢して この程度のウソもつけないなんて と思ったり・・・
葛藤(笑)の結果 なしにしました

これでも
きれいにラッピングした チョコレートを
心をこめて 贈ったこともアリマシタノヨ

私は 夫が職場からもらってきた 義理チョコを むしゃむしゃ
クスクス 笑いながら食べています



薔薇 時々懐かしくなります







ジャストジョーイです
(2008・6月撮影)






 ジムノペディを弾いて 



 鉛色の空が もう何日も続いている  
カーデガンを 羽織らないと 寒いくらいだ
梅雨は、どこか浮ついていた月子の気持ちに水を差していた
男からの電話も煩わしいような気がしてきた

男から最初に電話をもらったのは 春先だった
数えるくらいしか 話はしていないが
骨董品を集めるのが 男の趣味だという事も分かった
あなたの趣味は何? と 聞かれても 月子は真面目に答えたことがない
もしかしたら 瀬野さんかもしれないと思ってから
奥さんの顔が 浮かんでくるからだ
全く想像もつかない男からだったら 
もっと会話を楽しむことができたかもしれないと
そんな不純なことも思った
もともと 秘密を持つなんて出来ない性格なのだ
夫を裏切っている自覚はない
だから後ろめたさも全くなかった
でも男の妻はどうだろう 
夫が、自分以外の女に関心を持っていることを知ったら
かなり不愉快な思いをするに違いない
反対の立場を考えれば 一目瞭然だ
でも まだ瀬野さんと きまったわけではない

電話だ
「もしもし 僕です 毎日よく降りますね~ 
今 何をしていらっしゃいますか?」
「私 雨好きですから」 
雨は嫌いではないが こんなに続くと月子も うんざりだった
「ちょっと 出てこれませんか? 
すぐそこのスーパーの駐車場にいるんですが・・・」
「そんな気 全くありませんから 私 こそこそするの性にあわないんです 
だいいち あなたのお名前だって知らないんですから」
「名前を言ったら、あなたはきっとこないでしょう 
たった一回のチャンスもなくなってしまう」
前にも一度 同じセりフを聞いている
「私の知っている人なの」
「まあ」
「誰? 私 全く心当たりないんですけど…」
「瀬野さんなの?」
「……」
「瀬野さんなの? 驚いたわ どうしてあなたが私に?」
「あなたは魅力的な人だし 昔から憧れていましたから」
「あなたは町田の友達じゃない 随分大胆なんですね~」
「何だか人生 このまま終わってしまうのかと思ったら…
焦りですかね~ こういう気持ち分かりませんか」
「分からないこともないけど…だからって」 
受話器を持ったまま 月子は 視線を庭に移した
深い緑色した樹木の葉っぱが 雨にうたれて細かく震えていた
突然 漠然とした哀しみが月子を襲った と同時に
瀬野の寂しさが伝わってくるような気がした
若さが奪い取られていくのを実感してしまった寂しさだろうか
月子の気持ちが優しくなっていく
瀬野さんの彫りの深い顔 都会的でセンスのいい身なりが脳裏に浮かんだ 
でも その瀬野さんが どうして私なんかに

―4―

続きは明日



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