高校に入学したばかりのタカユキ、
35歳のサラリーマンのヤマグチさん、
定年を一年後に控えたアサダさんという
全く関わりのない3人の95年から2000年の、
それぞれの5月1日を切り取って見えてくるものとは。
人や家族の成長と老い、喜びと悲しみ、そして苦悩。
世の流れには逆らうことは到底できないけど、
流れに身を任せているだけでは成長もしないし、
前にも進まず、生きている証にもならない。
私の年齢的には一人娘を持つヤマグチさんの
日常ひとつひとつが身に沁みましたね。
「コトコトと弱火で煮込む鍋から、
カレーのにおいがたちのぼってくる。
懐かしい。カレーのにおいは特別だ。
一日の仕事を終えて我が家に帰り着き、
玄関の外にうっすらと漂うそのにおいを嗅いで、
ああ今夜はカレーなんだなあ、
と微笑み交じりにうなずくときの気持ちは、独特のものだった。
ほかのどんな料理のときとも違う。
なにがどう違うのかはうまく説明できないけど、
とにかくカレーは『我が家』なんだと、思う」
う~ん、確かに。
カレーってそれぞれの家庭の味がありますもんね。
こういう文章と表現は重松さんの上手いところですね。
35歳のサラリーマンのヤマグチさん、
定年を一年後に控えたアサダさんという
全く関わりのない3人の95年から2000年の、
それぞれの5月1日を切り取って見えてくるものとは。
人や家族の成長と老い、喜びと悲しみ、そして苦悩。
世の流れには逆らうことは到底できないけど、
流れに身を任せているだけでは成長もしないし、
前にも進まず、生きている証にもならない。
私の年齢的には一人娘を持つヤマグチさんの
日常ひとつひとつが身に沁みましたね。
「コトコトと弱火で煮込む鍋から、
カレーのにおいがたちのぼってくる。
懐かしい。カレーのにおいは特別だ。
一日の仕事を終えて我が家に帰り着き、
玄関の外にうっすらと漂うそのにおいを嗅いで、
ああ今夜はカレーなんだなあ、
と微笑み交じりにうなずくときの気持ちは、独特のものだった。
ほかのどんな料理のときとも違う。
なにがどう違うのかはうまく説明できないけど、
とにかくカレーは『我が家』なんだと、思う」
う~ん、確かに。
カレーってそれぞれの家庭の味がありますもんね。
こういう文章と表現は重松さんの上手いところですね。