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日々ぼんやりと~ ヽ(*〇w〇)ノ

のんびり ゆっくり まったりと~♪

埠頭の倉庫 syusen

2006年08月13日 | 我々をさらけ出せ
完全に頭に血が上る。
オレが動く前に、誰かが先に動いた。
何か・・・真っ赤な丸い何かが放物線を描いて飛んでいく。
それはぐったりと椅子に座らされているうちの奴らに向かって・・・
ビシャーーーン!
水風船????
当たったそれはすぐに割れ、液体を撒き散らす。
オレは呆気に取られた。
それはむこうも同じだったようで、完全に呆けている。
続けて誰かが水風船を放る。
それらは全て、顔の腫れ上がった二人に命中した。
二人は水をかけられたからか、微かに身を捩る。
辺りに変な匂いが立ち込める。
これは・・・?まさかこの匂いは!?
「ヘッドは来ませんよ」
倉庫に声が響く。
いつの間にか馬鹿はサングラスを着けている。
よくとおる落ち着いた声。
全ての視線はこいつに注がれた。
その瞬間。
全てはこいつの世界に飲み込まれた。
「敵の手に落ちてしまうような弱い駒はうちには必要ありません。
 動けないようにして頂けるとは、全く手間が省けました」
何を言ってるんだ?こいつは??
「わたくし達は・・・なんといいますか・・・
 処理係です。・・・ゴミの始末に来ました。
 社会のゴミは・・・燃やさないとね?」
むこうもこの異様な雰囲気に飲まれている。
匂いに気が付いたのか、こいつの意味に気が付いたのか、
むこうもざわめき始めた。
この揮発性の匂いは・・・!
「関係のない方は帰ったほうが良いですよ
 危ないですから」
水風船を高く放りなげる。
かちゃん。
いつの間にか手にしていたジッポに火がともる。
水風船が落ちて・・・。
ジッポが低い放物線を描いて投げ込まれる。
水風船が落ちて、落ちて。地面に・・・。
そこに火が・・・。
ルゴァアオオオォォォォンンン!!!
火柱というものを始めて見た。
呆然とした。
頭が回らない。
紅が眼前を埋め尽くす。

気が付けば、ドクが水風船をむこうの奴らに投げつけている。
当たった奴は悲鳴を上げて逃げ回っている。
「さて、ダッシュで帰りますよ~ヽ(*○w○)ノ」
耳元で能天気な声がする。
「あ、??」
口が利けない。
紅い火柱を背にサングラスが立っている。
肩に担いでいるのは、捕まっていた一人なのか?
強引に腕を引っ張られる。
いつの間にか、ドクも一人担ぎ上げている。
オレ達は、すぐにその場をあとにした。


「あの火は迫力ありましたね~(*○w○)
 ほんとに、あんなリュックサック一個で消えるんですか~?
 確認したかったな~♪」
車中での会話は、そんな能天気なトーンで始まった。
「大丈夫だって!アレにはドライアイスの塊に硝酸メチ・・・」
「難しい話は結構です^^;
 じゃ、火事にはなりませんね~」
周防と呼ばれている奴の言葉を強引にさえぎって、こいつは笑った。
「何にもないところだもん。火だって上には届く訳もないし、
 燃えるもんは破壊神が投げたアレしかなかった訳だし」
周防はそう言って、それにしてもまるで別人だったよな~とオレに言った。
オレは今の言葉が気にかかり、
「ちょっと待て!?
 爆発したのはあそこだけか??
 皆殺しとかって!?
 じゃぁ、
 ドクがみんなにぶつけてたのは?」
「な~に言ってんの~!他のはみんな水!ちょっと匂いは入れたけどね♪
 破壊神が投げたのだけがガソリンとおいらの特殊ブレンドで~・・・」
「私さえ注意していれば危険なことは何もなかったんです^^」
周防の言葉を再び強引にさえぎり、こいつは言った。
「戦いの場において、イニシアチブとることは重要です^^
 さらに私の持論ですが、場を混乱させてしまえば、
 どんな軍であっても烏合の衆です^^
 実際火柱が上がったことにより、場が混乱し、
 始めに投げた水を、ガソリンと認識したことで、
 本当に殺しに来たと思わせることも出来ました。
 あとは、敵さんがわ~わ~しているうちに勝手に連れて来ちゃいました」
絶句した。
こいつが投げた物が人に当たっていれば、確実に死んでいる。
「それならそれで、なんで最初に全部説明してくれなかったんですか!」
こいつはしばらくみんなと顔を見合わせた後、
こう言った。
「だって、貴一さん。
 演技下手そうなんだもの^^;」
オレは激しい眩暈と頭痛に襲われた。