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遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う

「遊行七恵の日々是遊行」の姉妹編です。
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大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ―ジェンダーレスな まなざし― 4

2022-08-18 15:52:53 | 展覧会
一枚絵を集めよう


若き船人 青海波をバックに水兵さんかな。男女の差異の分からない船人。


うっとりした目を空へ向ける。

「少年倶楽部」で活躍していた頃の表紙絵
☆が☆表現。五線星形は戦後に出てくるそうです。



立て看板のお嬢さん。モダンなスタイルだけど定着しなかったのよね…



ソファでくつろぐ。
ソファはパラの文様が入ったシートカバー。クッションもモダン。



パラソルさしてお散歩

むかしながらの八つ橋ではなく、近代的な整備をうけての八つ橋。花しょうぶが可愛い。


「乙女の日」着物も帯もモダン。90年前のおしゃれ



梅見の日。床几でくつろぐ。まだ少し肌寒いのでケットも。
白梅の下の娘さん。



影遊びをする。ウサギが浮かび上がる。器用だなあ。わたしは狐しかできない。
羽織は源氏香の文様。



肉筆画 八百屋お七

「八百屋お七が恋をした」という詩を思い出す。


「さらば故郷」と「新さらば故郷」
弥生美術館創始者の鹿野弁護士の立身は郷里を後にして、懸命に学び・働いたことから開いた。
心にはいつも華宵の描いた「さらば故郷」の哀愁に満ちた絵が活きていた。
やがて月日は巡り、華宵との運命的な出会いの後に、華宵から明るい「新さらば故郷」を描いてもらった鹿野弁護士。
華宵と鹿野弁護士との感動的な物語が弥生美術館を生み出す原動力だった。


今は亡き華宵も鹿野弁護士も、本当にありがとうございます。

因みに弥生美術館オープンの日に田中角栄がこの絵に会うために飛んできたと久世光彦が記している。
角栄も鹿野少年もみんな志を持って立身したが、その郷里を離れるときにはこの絵が胸にあったのだ。

大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ―ジェンダーレスな まなざし― 3

2022-08-17 14:36:02 | 展覧会
今回は異国趣味と幻想的な作品を。


この絵は一時チケットにも選ばれていた。


月の女神。足元にはウサギが駆ける。
被り物の感じなどを見ると「狂つた一頁」の幻想のワンシーンを思い出させる。
時代に多少ずれはあっても、同時代の人の共有する何かがある。


エキゾチックな美、オリエンタルな美は、この時代特に好まれたようだが、極東の少女たちもその潮流の中にいた。
送り手の華宵にこうしたセンスがあったことが幸いを齎した。

埃及美人



影まで美しい。

熱国の朝の歓び。睡蓮の池






華宵は浅草オペラに通い詰めたそうだが、この時代のNeuer Tanzには憧ればかりがある。
バタフライダンス


胡蝶の夢と言うなかれ。



孔雀の舞


こちらは白孔雀


20世紀は新しいダンスが生まれた世紀だったのを強く感じる。



モダンチャイナ







そしてサロメ。


セダ・バラのサロメ
華宵は浅草電気館で上映された「サロメ」を目の当たりにする。

映画は1918年の制作。翌年には日本で上映されているのか。


この左下の絵はサロメの舞を描いたもの。
便箋としてかつて弥生美術館で販売されていた。

最後に津村順天堂「中将湯」広告絵

現在奈良博で開催中の「中将姫と當麻曼荼羅」展にも少しばかり華宵の描いた中将湯のビラが出ていた。



大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ―ジェンダーレスな まなざし― 2

2022-08-16 16:49:14 | 展覧会
続いて美少年編。


泳ぐ少年の美と言うものも華宵は多く描いてます。
やはり愛媛の人だから海への親しみがあるからかな。

「日本少年」表紙絵












ときめくなあ。

月下の小勇士

やはりこれですよ。


ドキドキする。

暴れっぷりにも


ふてぶてしい美。


好き。





大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ―ジェンダーレスな まなざし― 1

2022-08-16 16:20:26 | 展覧会
弥生美術館で昨年開催された「大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ―ジェンダーレスな まなざし―」展は撮影可能なありがたい展覧会だった。
にも拘らず一年経ってからこうして撮影したものを挙げようと今、している。
わたしに心のゆとりがなかったのだと思ってください。
これを見て当時を思い出す方もあれば、記憶としてとどめておこうとする方もおられるかもしれない。
撮ったわたし本人がどちらにも当たるのだから、やっぱり挙げる価値はあるのだと思う。
作品群は全て弥生美術館蔵。
思えば去年は友の会会員になって30年だったかな。
凄い歳月の流れなんだけど、一年に四回の特別展、夢二美術館も含めてだから年に十回くらいしかコレクションを見てないので、まあ30年程度ではまだまだまだまだ。この先も弥生美術館友の会会員であり続けようと思っています。 
とりあえず複数回に分けて挙げてゆきます。


見出しに挙げた帽子少女たち、本当にかっこいい。
レトロでモダンなファッション、本当に憧れる。

華宵の描いた綺麗な少女たちとその想いとが示される。








ピックアップする。いずれもペア。
少し「エス」ぽいかな。


スーツの娘の汗を拭く。ああ、良いものを見ました。

ターキーこと水之江瀧子を思わせる男装の麗人風。

こちらはひとり。










少女たちの心の在り方に、見栄えだけでない美を感じ取り、言葉に絵に表現する華宵。







銘仙の羽織も愛らしい。



「少女畫報」表紙絵




こちらはもう少し幼い少女向けかな。
「少女の國」表紙絵




そして少女ではなく成熟した一人の女性としての
「婦人世界」表紙絵





装甲騎兵ボトムズを思い出す

2022-08-16 14:20:03 | 展覧会
2020年の暮れから2021年初に都内のマルイでボトムズの原画展などが開催された。
撮影可能だったので喜んで撮ったはいいが、なんにも挙げないままここまで来てしまった。
それを今になって挙げることにした。
装甲騎兵ボトムズは1983年から1984年にかけて52話分が放送された。
この本放送の評価が高く、以後30年ばかりの間に続編OVAや外伝などが制作されている。
ただしわたしはこの本放送以外はみていない。

この作品から厭戦的な主人公をと言うものを初めてじっくり目の当たりにした。
「おれは疲れていた」
主人公キリコ・キュービィーのいつものセリフである。
しかも第一話でいきなり上官や同僚から連絡を切られている。
驚いた。しかもそこでかれはとんでもないものを発見する。
それが後に彼の唯一愛する人となる「フィアナ」である。
その名前はキリコがつけたもので、何故その名を選んだかは後発作品で謎解きがされているらしい。

「クメン編」はカンボジアの内戦をモデルに描いたものだった。
映画「キリング・フィールド」より早くにカンボジアの悲惨な状況を世に知らしめた作品でもある。
わたしなどはこの作品と更に先行する高階良子「ナーギの塔」で初めてクメール・ルージュとポル・ポト派による無惨な所業を知ったのだった。
まだ子供だった者にとっては、こうしたことから知識が広がるわけだ。




キリコの設定資料 




続編などが制作されているため、設定資料もいい。



この頃は作画監督による表現の違いなども楽しみの一つだった。
今でいう「作画崩壊」とはまた違うものなのだ。





本放送エンディング「いつもあなたが」のセル原画か






リアルな表現を突き詰めたロボット、その資料








わたしなどもかっこいいなとよく思った。




後にカメラでこれに似たものを使うことになった時、秘かにドキドキした。

スコープドッグ、カッコいいなあ。











本放送ラストシーン。涙ぐみながら二人の幸せを願ったものだ…


気の毒なイプシロン


どこまでもたいへんなキリコ
ロッチナとはこの後も色々と縁がある…


働け働け


OP「炎のさだめ」のTETSUが織田哲郎だとわたしが知ったのは実に25年後だった。
今も脳裏に活きている。


フィアナの美しくも悲しい横顔。

軍の秘密兵器であるPS、素体。まだ意識が定まる前の状態でキリコを見て・認識してしまう。


サンサ編「ふたり」で和やかな時を過ごすキリコとフィアナ。作画監督は京都の谷口守泰。



ワインを飲んでむせるキリコに驚くフィアナ。初めてワインを飲んだキリコ。
めったに笑顔を見せることのないキリコのこの表情にフィアナだけでなく、わたしたちも嬉しくなった。

後の作品群







ところで「赫奕たる異端」のタイトルは野坂昭如「赫奕たる逆光 私説三島由紀夫」から採ったのだと思うが、教団がらみの話ということを思うと、ピッタリのいいタイトルだ。
しかしながらここでフィアナが絶命することを思うとせつないので、わたしはやはり見たくはない。

今も折々に思い出す名作。
手元にあるロマンアルバムには高荷義之さん作画のかっこいいピンナップがついている。
この絵を見たのが先か、「気分はもう戦争」を読んだのが先か、今となっては判然としない。