『小谷博泰の百首~ときとして異界~を読む』
吉岡生夫(¥1.000.- 発行:ブイツーソリューション)
新書版くらいのコンパクトな歌書が届いた。
吉岡生夫は昨年『まじない歌の世界~もしくは幸福論~』を出版している。
私はこれによって「まじない歌」を知ることになり、当時連載していた
「評論月評」でも取り上げた。
その吉岡さんが今回出版したのが『小谷博泰の百首~ときとして異界~を読む』である。
小谷博泰さんは最近、第14歌集『時をとぶ町』(発行:飯塚書店)を
出されたばかりだが、これは今年の1月に出された『河口域の精霊たち』に
次いで今年2冊目の歌集である。
吉岡さんも小谷さんも実に精力的、意欲的な表現者である。
『時をとぶ町』を読んで特に思ったが、小谷さんの短歌は
「色彩豊かにして透明でクール」。
吉岡さんの本書は小谷博泰の短歌を丹念に読み解き
詳細にすっきりと解説している。
読み物として面白そうなのは
小谷さんの短歌と吉岡さんの文章がほどよく大きな活字で
バランスよく書かれているからだ。
小谷博泰の短歌を理解するには手っ取り早い本である。
読者は吉岡生夫と小谷博泰の両者に興味をもつことだろう。