新緑の5月の今頃の季節は、とても清々しく気持ちがゆったりとします。寒くもなく暑く
もなくまた、漂う風にも自然な香りがあり、過ごすのにとても良い時期です。個人的に好き
な季節ですが、一年中このような状況だと刺激が少なくなり、凡夫のような怠け者は堕落し
てしまうのだと思います。
適度に刺激があり、常に少しのストレスを感じながら生きて行くことが、充実した人生を
歩めるのではないかと思います。ストレスは体に良くないと言われていますが、全くストレ
スがないと、それこそ自然の季節の移り変わりに鈍感になり、人としての感性を磨く機会が
なくなり、大きな問題につながるような気がします。適度な刺激によるストレスの中で生き
て行くことが重要だと思います。
一般的に優しい人と厳しい人に分けられますが、皆さんは自分をどちらのタイプだと思い
ますか?
人間が地球上に誕生した時は、過酷な自然の中で生き抜かなければならない環境であった
ので、自ずと厳しい生き方になったと思われます。しかし、少しずつ自分の周りに仲間と認
められる人間が出来てくると、厳しい心の中にそれらの仲間と共に生きて行く必要があるこ
とから、自然と優しさの心が出来上がってきたのではないかと思います。
それでは現代の人間の特徴はどのようでしょうか。現代人はまず自分が中心であり、古代
人のような仲間意識が失われている気がしてなりません。社会の中のビジネスでは、自分あ
るいは自分の会社が伸びることが最重要課題であり、そのためには他の競争相手を蹴落とし
てでも勝たなければなりません。
これはちょうど自然界の野生動物と同じ行動様式になることと等しいものです。人間とし
て野生動物と同じような行動様式で良いのでしょうか?特に今の時代の日本人は、仲間とい
う意識がなくなりつつあります。運命共同体という意識が少なくなってきているのです。
他の人間と共に生きるという意識を持たずに生きることができるのが今の社会です。今の
流行の言葉でいえば「無縁社会」です。他の人間と関わりを持たずにも今の世の中で生きて
行くことが出来ること自体とても不思議です。
言葉を替えて言えば、表面的な付き合いをしていれば、十分に生きて行ける社会なのです。
このような状態だと人としての本当の苦しみや哀しみを理解することが少なくなってしまい
ます。だからと言って、個人の深い部分にまで入り込んで行動しろとはいいませんが、単な
る表面ではなく表面の下にあるちょっとした個人の思いや考え方に対して刺激を与えるよう
な関係を持てるような社会にすべきだと思うのです。
そのためには個人として真実に基づいた発言や意見をぶつけ合う必要があります。このよ
うな行動により喧嘩になるかもしれませんし、当然気分を害することもあるかと思いますが、
この過程は絶対に必要だと思います。
早い段階でこの点に気づき、それぞれの立場のなかで行動を起こさないと、今の社会はさ
らに表面的なコミュニケーションで終わってしまう偽りの構造の上に成り立つ社会となって
しまい、いつか根元から日本の国が崩壊してしまうのではないと危機感を持っています。
これだけお節介になるのは確実に歳をとった証拠だと思いますが、気がかりでなりません。
今の日本の社会の中で人間の本来の生き方をして行くために必要なのは、厳しさでなく優し
さであると思います。離れてしまった人間を再度集めるには、優しさがないと動きません。
人間は本来皆弱いので優しさに飢えているはずですが、このようなことを表に出すと甘え
るのではないと一喝されてしまうのが落ちです。しかし、皆優しさに飢えているのです。正
直に自分の心を出すことに戸惑いを持っている人が多いのは、それだけ物質的・物理的な環
境が整っていて、見かけ上幸せな社会であるからです。
人間としての心や魂の面ではカラカラに乾いた状態であるのが今の日本国民の現状です。
全ての人がこの現状を理解し、まず優しさで対応し仲間意識が整った段階で、成長すべき方
向を提示し、次の段階で厳しさを出しながら仲間と行動することが重要だと思います。
今の時期、リーダーシップを持った人材が必要ですが、厳しさを全面に出す前に優しさで
対応した後に次の段階で厳しさを出す順番で対応してほしいと思います。 合掌
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