最近の世界の動きや日本の国の動き、さらに人として行動する様式に大きな変化が出てき
ていることに関して杞憂をいだいています。
米国での中間選挙の結果、北朝鮮の次期指導者の事実的な指名、尖閣諸島に関する中国の
領土主張と実力行使、さらに北方領土に関してのロシア大統領の訪問、法務大臣の不適切な
発言、指導力のない総理大臣等、事例を挙げたらきりがないほど出てくるこの頃です。
巷の中では一向に良くならない日本経済のなかで、国民は何も発しずただ無気力に生きて
いる感じがします。地球規模でみれば現代人がほんの少しの期間の中で地球環境を破壊し、
今現在もその傾向は続いています。
誰もが本来あるべき姿を分かっていても、自分が所属する組織等の現実の世界の中では、
自分たちを守ることが第一の正義であって、エゴイズムそのものに従った行動をとっている
のが実情です。
いつから人間はこのような行動をとるようになったのかと考えてみると、社会が豊かにな
ってきたころからだと思います。さらに、これらはすべてが人間の欲にその端を発している
ことが分かります。
人間として学びそして発展したいという正しい欲は大切ですが、往々にして人間は自分だ
けが良ければよいという欲に支配されてしまいます。また人間には、生・老・病・死をはじ
め愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、求不得苦、五蘊盛苦のさまざまな人生苦がありますが、
これらから脱却する救いの考え方として四諦の教えがあります。
四諦の教えとは、苦諦:苦という真理、集諦:苦の原因という真理、滅諦:苦の滅という
真理、道諦:苦の滅を実現する道という真理の4つを指しますが、これらの「苦」を滅する
方法として釈尊は八つの正しい道を解き明かしました。これが、正見・正思・正語・正行・
正命・正精進・正念・正定の方法です。
全ての人間に仏教を学べとは言いませんが、人間の心の中を冷静に分析しそれを少しでも
良くする教えが仏教であると思っています。確かにこの世の中は綺麗事では生きていけない
ことは十分承知しています。
先日、ベトナムで日本が原子力発電のプロジェクトを受注できたのも米国のアジア戦略の
一環としての結果であるように、真の実力でなく裏での取引による結果なのです。多くの物
事は表の綺麗な世界で行われているのではなく、その多くは裏でいろいろな力が動いている
のです。
しかし、個人的に、また人として正しいやり方で対応することが、最終的に正しいことだ
と小さな子供でも分かることが今の世の中で出来ていないのが事実です。
どのようにしたらよいか分かりませんが、最低限自分自身は釈尊の教えに少しでも近づき、
モーツァルトのように全ての泥臭さを知った上での本当の清らかな音楽のように生きたいと
思うこの頃です。
自分を含めてですが、最近の日本人は魂が抜けてしまっている様で情けなくなります。し
かしこれが凡夫の人生なのかも知れません。 合掌