近頃お気に入りの一句
すいつちよや路地に無音の救急車 保資
この句を読んで、えーっと思いましたね。
救急車を呼んだ(来てもらった)ことがあります。
この句は、そのときのことを過不足なく再現しているのです。
119番へ電話、「症状、意識はありますか、歩けますか、救急車はすでに向かっています」などの応答、簡単に持ち物を準備して、自宅前で待つ。
救急車のピーポー音が聞こえてきました。
近づいてきたなと思ったら、ピーポー音が消えました。
無音の救急車が家の前の路地に進入して来ます。
「向かっています」
「わかりました。すぐ向かいます。」とは言わず、「向かっています。」で通話を終わるのです。
通報者への応答として、マニュアル化されているものと思われますが。
夜の11時半ぐらいでした。
6月だったので、虫の音はありませんでしたが。
消防車も同じですが、現場に近づくと混乱を避けるために、無音にするようです。
句の読み方としては、
救急車が到着して・・・・しかし、なかなか走り出さない救急車を近所で見ているという読みもありと思います。
救急車は病院から来ているわけではないので、行先(受け入れ先)の病院が決まらないと出発できないのです。
ある時、消防車が家の前に止まっていたこともありました。
明け方、三時か四時ごろ、なんとなく外が騒がしいので、出てみたら家の前の路地に消防車が止まっていたこともありました。
近所で出火、ボヤ程度でしたが。
生きていれば、いろいろなことがあります。
鍵持たずゆく満月の出る方へ 坂西敦子
満月は、月の出を見るところに価値があるのです。
東の空が開いていて、月の出が自分の家から見えれば問題ないのですが、現代、そういうところに住む人はすくない。
写真機をごつごつ構へ柿の秋 奥坂まや
秋になると、おらほの周遊コースでも写真機機材をかかえた人をよく見かけます。
総額、いくらぐらいかかっているのか、聞いたらおこられるか?
写真機、カメラではダメですね。
とある俳句入門書に、「日本語は、漢字、平仮名、片仮名の順で『重さ』を持っている。」とありました。
広縁にリュック下ろすや添水鳴る 芙美
「添水」なんと読むのか? 調べました。
『添水(そうず)、別名を「鹿威し(ししおどし)」「ばったんこ」などという。元来は田畑を荒らす鳥獣を威す、いわば案山子の音響版であった。
ほとんどの歳時記で、案山子の項目の隣に置かれているのは、その故だろう。が、いまでは日本庭園の風流味をかもし出すための小道具的な存在となった。』
とありました。
ハイキングの一場面と思われます。広縁、おおきな寺の庭で休憩。
「カン」という音で「鹿威し」に気づいた。見回すと、広縁から離れた山際にあった。
というところでしょうか。
病院の遠く明るく秋の暮 岸本尚毅
こういう景色ありますね。田舎の市民病院など、田んぼのなかに建てられた大きな病院。
冷奴水を自慢に出されたり 野村喜舟
これについては、後日。
参考の一句
ケーナより音が羽搏き山開 井上 宰子
バス広場アルプホルンに山開く 今日水
丹沢の山開き、大倉バス停横の「神奈川県立戸川公園」広場で行われます。
近詠
理科室の書道部照らす夕陽かな 今日水
理科室の書道部照らす秋夕焼(ゆやけ) 今日水
理科室の書道部窓へ秋夕焼 今日水