禁煙タクシーとヒトラー

2007-05-13 18:02:47 | 社会
禁煙タクシーの普及に付いて、
中日新聞の常務が書いた論説が波紋を呼んでいるらしい。

その全文はオリジナルがもう削除されているようなので、
コピーを最下部に掲載してる。
暇な方は読んでください。


要点は4っつ。

①喫煙者にとって喫煙は至福の時である。

②「車内がタバコくさい」と言うが、臭いのはお互い様だ。臭いで癌にはならない。

③タクシーは個別選択的な乗り物であるから運転手や同乗者の同意を得れば問題ない。

④ヒトラーもムッソリーニもフランコも禁煙主義であり、ルーズベルト、チャーチル、マッカーサーは喫煙者だった。




①について、

あ、そう。



②について、

タクシーの中が「タバコくさい」という状況では、
タバコ煙濃度が10~100μg/?になっているはずなので、
24時間以内の死亡リスクは1~10%増加することになる。
これはフォルムアルデヒドやダイオキシンなどの化学物質汚染の環境基準を数百倍上回るレベルであり(禁煙学会)、
「お互い様」などはお門違いの反論である。



③について、

確かに個別選択権がある。
しかし、現実に、
お客さんが少なくて困っているドライバーや同乗した部下が、
この論説を書いた中日新聞の『常務』に、
「煙草吸っていいか?」と聞かれて、断われると思う?



④について、

ダカラナンダヨ?
こんなもん『誰がしたか?』の問題ではなくて『何をしたか?』の問題じゃないの?
例えば、ヒトラーは世界に先駆けてアスベストの使用制限を行ったが、
アスベストの使用制限をする人は疎まれるべき人物なのかね?




私は煙草を吸いたい人は吸えばよいと思う。
ただ、他人に迷惑をかけないように吸うべきで、
タクシーに乗る客が『臭いからやめてください』と迷惑がっているのであれば、
素直にやめれば良いのではないか。

喫煙車、禁煙車と分けるのは反対ではない。


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【論説全文】

2007年4月29日中日新聞15面 4月を送る 中日新聞常務・編集担当 小出宣昭

 世をあげて禁煙の時代だが、私は今も、たばこのみである。中日新聞では少数民族「スー族」(吸う族)と呼ばれ、
細々と伝統の香りを守り続けている。
 うまいコーヒーを飲み、ぷかりと煙をくゆらすときが、多数民族「スワン族」(吸わん族)の方々には申し訳ないが、
至福の瞬間なのだ。時間が止まり、精神の静寂が訪れる。
 たばこは、吸うよりも、ふーっと吐き出すときが落ち着きをもたらす。禅の呼吸とよく似ている。五臓六腑が空っぽ
になるまで息を吐くと、後は自然に空気が入ってくる。この繰り返しによる落ち着き。「無一物無尽蔵」と禅はいう。
 こんな心境にご理解をいただき、スー族とスワン族の静かな共存を願っていたのだが、がぜん、
とんがった事態が起きた。五月から名古屋のタクシーをすべて禁煙にするというのだ。
 いやはや。少数民族は多数民族の決定に従うほか術はないが、その決め方にいささかの薄っぺらさを
感じるがゆえに、スー族としての反論を書きとどめる。
 名古屋タクシー協会によると、全車一斉の禁煙に踏み切った理由は、時代の流れに加え、女性や高齢者から「車内
がたばこくさい」との苦情が増えたからという。私は、他の理由はともかく「くさい」というのはなんとも容認できない。
 私たち日本人は、かつて朝鮮半島の人々を「ニンニクくさい」といい、欧米人を「バタくさい」といって世界から
友人を失ってしまった。自分たちが「魚くさい」「醤油くさい」と思われていることも知らずに、である。
世の中、においはお互いさまなのだ。
 たばこくさいと非難する女性は、厚化粧のくさみをご自覚だろうか。たばこの煙が健康を害することはあっても、
たばこのにおいで肺がんになることはない。子供のいじめの「くさい」と同じではないか。
 タクシーは公共交通機関といっても、あくまで個別選択的な乗り物である。車内でのたばこは運転手さんや
同乗者の同意を得れば不特定多数の人々に迷惑をかけることはありえない。まさに私的空間なのだ。
 そこへ禁煙の論理を持ち込むなら、なぜ、禁煙車を7割、喫煙車を3割など喫煙率に応じた選択肢を与えない
のだろう。全車禁煙という一律主義に、スー族は本能的な危険を感じる。
 世界で初めて国家的禁煙運動を始めたのは、ヒトラーである。「たばこは赤色人種が白人にかけた呪いである」
と断じた彼は、ドイツ民族の純粋性を守るために徹底した禁煙を求めた(健康帝国ナチス、R・N・プロクター著、
草思社)。同時代の独裁者、ムッソリーニもフランコも禁煙主義であり、彼らに対抗したルーズベルト(紙巻き)、
チャーチル(葉巻)、マッカーサー(パイプ)はいずれもたばこのみだった。
 禁煙は、下手をするとナチスのように他者の存在を認めない原理主義に陥ってしまう。
スー族はいま、それを憂えているのだ。



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