『遠い夜明け』 

2008-08-09 14:13:31 | シネマ





『遠い夜明け』   
出演: ケビン・クライン, デンゼル・ワシントン 監督: リチャード・アッテンボロー



1970年台、アパルトヘイト政策下にあった南アフリカ。
新聞編集長のドナルド・ウッズは
白人憎悪の扇動者として政府に軟禁されていた医学生スティーブ・ピコを紙面に載せたことをきっかけに
ピコや他の黒人解放運動家たちと交流を深め、
やがてピコの思想に感化され、また友情を感じていく。

やがてピコはある事をきっかけに政府に拘留され死亡する。
政府の死亡理由は「ハンガーストライキ」という発表だった。
しかし、ウッズは特別の方法を使ってピコの遺体を検死し、拷問により惨殺された事を知る。
ウッズは憤慨しピコの事実や南アの現状を告発したいと思うようになり、イギリスへの亡命を企てる。



南アのアパルトヘイト政策の事は何となくぼんやりと知ってはいたが、
なかなか痛ましい白人至上主義の選民思想であり、
映画の最後のテロップにおいても政治犯とされた黒人達の理不尽な死亡事実が延々と流される。


アパルトヘイトというのは人種隔離政策のことで、
人種差別は間違っているという国際世論の中で、
人種差別をしないと罰せられる、というナカナカすごい政策で、
住居や公共施設の隔離はもちろんのこと、異人種間の結婚はおろか恋愛でさえ処罰された。

面白いのは、日本は南アの重要な貿易国であったため、
日本人は“名誉白人”として白人との同席を認められていたらしい。


この映画はむろん人道的な立場から南アのアパルトヘイトを批判する構成になっているが、
現状の南アにおいては一部の黒人主導金融機関などで、
黒人は3%、白人15%、有色人種28%の利息を取るという逆差別現象も起きており、
人種差別の根深さを考えさせられる。


私は人種差別反対などと大声を上げたりするのは恥ずかしいし、
自分自身が差別行為を全くしたことがない、或いはしないかというと、
いささか自信が無い。

しかし、私は、
「差別反対」を唱える多くの人々が、
実生活では平気で差別の言動を行っている事を知っている。





★★★★☆







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