松岡農相の死に思う

2007-05-29 13:39:36 | 社会
松岡利勝農水相が自死して一夜が明けた。
まずは松岡氏のご冥福を心から祈りたい。


松岡氏にまつわる政治と金、今後の安倍政権に及ぼす影響、は
現在マスコミ各社が大音量で報じている所で、
私などが何か述べたところで退屈なだけであろう。


それよりも私は彼が『自死』という、その賛否は別として、
いわば、究極の「身の処し方」をした、その心境に興味を覚える。



松岡氏は熊本県阿蘇の農家に生まれ、鳥取大学農学部を卒業、
その後農水省に入省して以来、農水一筋でのし上がって来た男である。
政界における学閥の引き上げも無ければ、二世議員でもない。


このような徒手空拳でここまで来た男が
「なんとか還元水」や「林野庁談合汚職」などのスキャンダルで辞職こそすれ
自殺という道を選ぶというのは如何なる心境であろうか?


私自身、当初、彼の国会答弁を聴いていて甚だ不快を覚えたものの、
あくまで不正を認めない彼の鉄面皮ぶりにいささか驚嘆し、
雑草の如く生きた男というのは強いものだなぁ、と妙な感動を覚えたりした。



自死を思い立つ頃からの松岡の精神はもちろん正常なものとは言えず、
その心は私たちが外側から見るよりもずっと衰弱していたであろう。


松岡がその生い立ちから農相に上り詰めるまでの人生は、
いわゆる二世議員などの、敷かれたレールを緩やかに登る人生などからは
まず想像すら不可能な程の急勾配の階段を3段飛びで駆け上がるようなものであり、
彼はその過程の中で、数知れない絶体絶命の困難を『勝利』し続けてきたのではないか。


その松岡が今回、人生最大のピンチに直面し、
もう出る事も引く事もまったくできず完全に進退窮まった、その時、
松岡はその異常な精神状態の中で彼なりに見い出した、、
、、、いわば、、誤解を恐れずに言えば、、彼なりの、、『勝利』。


それが、、、『自死』なのではなかったか。



もちろん外側から見れば余りに身勝手な、
国民も納得できない、遺族も悔やみきれない出処進退ではある。



が、、松岡は、、彼の中では、、辞任であるとか、政界引退とかいう消極策ではなく、、、
、、「自死」という『積極的な最後の一手』を打ったつもりでいるのかも知れない。





とは言うものの、


あまりに哀しい、、漆黒の闇に吸い取られた叫び声を聞くような空しさ、、を覚えたことも併記しなければならない。






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