ミートホープ事件に思う

2007-06-24 13:20:08 | 社会
ミートホープである。


この会社は今から30年ほど前、代表の田中稔氏が37歳の時に室蘭市で創業、
04年、苫小牧市汐見町に新工場を設立した。



年商は16億5000万円ほどで、約100人の従業員を抱えるという。



地元ではトップクラスの食肉加工会社で、
おそらく苫小牧市の名士でもあったであろう。


従業員の面倒見の良い人で、現場(工場)にも自ら入ってあれこれ指示していたというから、
良く言えば『率先垂範トップダウン型』の典型で、
陰画として『裸の王様』とも言える。




この人の記者会見の様子を見ていると、
例えばホリエモンや折口氏、或いは村上ファンドの村上氏らとは違い、
キラキラした眩さやエリート感をまったく感じさせない、
むしろ鈍臭いのろまな牛を思わせる。




おそらく、この田中という人物は、
こんな風にネチネチぐりぐり大汗をかきながら、
法すれすれの、或いは法を破って、
これまで少しずつ人生を歩んできたのであろう。




彼のやった事は、
素人の私が見ても驚くような杜撰な悪事で、
順法精神のかけらも無い、
まったく弁解弁護の余地の無い、あっけらかんとした底抜けの犯罪である。




しかし、、どうもその、、

この男の泥縄式の、すぐばれるような、

挙句には息子にまでたしなめられるような、見苦しい記者会見を見ていると、、

この田中稔という男の、苦難に満ち満ちていたであろう30年ほどの半生が、、

、、その、“諦めきれない未練がましい馬鹿な言い訳”に重複して映し出されているようで、、

、、、その、、切なくなってしまうのである。





彼は滅亡するであろう。





彼には、


その『己の滅亡』という暗黒の闇が、


背後から自身を飲み込もうと、低い唸りを上げて迫りつつある事を、


全身の毛が逆立ってしまうほどに、ひしひしと感じられるのではないだろうか?






どこぞの暢気なコメンテーターが
『さっさと謝っておけばこんな事にはならなかった。息子から諭されるなんてカッコ悪い!』
と言っていたが、本当にそうだろうか?




田中氏がさっさと謝罪したらこの事件は糾弾されなかったのであろうか?



私にはそうは思えない。
田中氏はこの事件が発覚した瞬間に、『己の滅亡』が頭をよぎったのだと思う。


彼は自分のやった事を“社会が決して許さない”事を瞬時に悟った。




彼は『滅亡の淵』から何とか逃れたいと、
その淵に残っていた“折れるに決まっている細い枯れ枝”を掴んだだけの事だ。



「カッコ悪い」などは、
滅亡の淵に居る者にとっては意味の無い価値観だろう。





北海道という全国でも最も厳しい経済環境の中で


“泥の中でもがくような半生”を送ったであろう田中稔氏の一連の記者会見を見て


私は彼の罪を憎みつつも





、、、、、、、、、一抹の『哀しみ』を覚えずにはいられない、、、












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4 コメント

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本音の言葉 (P@RAGAZZO)
2007-06-25 10:54:55
おそファイさん、コメントありがとうございます。

マスコミを見てもネットのブログを読んでも、
建前だけのキレイゴトばかりの中、
おそファイさんの『本音の言葉』は貴重であり痺れます。

こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
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Unknown (おそファイ)
2007-06-25 09:38:40
どーも!
はじめまして、おそファイです!

まったく、そのとおりです。
ファイ(φ)が思ってるそのとおりのことを
お書かきになられている。

Pの視点=φの視点

その事件がそこにただあったわけではない。

“泥の中でもがくような半生”

私もPさん?のようにそこまで、
それを想起できる人間になりたい。

そう、彼の罪を憎みつつも、、、、

今後ともよろしくお願いいたします。


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そうですね、、 (P@RAGAZZO)
2007-06-24 15:16:59
商人さん、コメントありがとう。
そうですね、、古いのかも知れません。
であるからこそ想起したメンタリティなのかも知れませんが、、、
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あまりに古い (商人)
2007-06-24 14:21:24
羊頭狗肉は何千年前からあった。悪事を
するなら、もう少し今様な事件であって
欲しい。とにかく、早く刑務所へ行って
反省することだ。
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