ナイフと傘、あるいは戦争

2008-08-31 16:34:09 | 社会







’08夏の伝言:御坊・紀央館高校が「平和学習」 「若い人は命を大切に」 /和歌山
◇「戦争してはいけない」と訴え--元中学校長の古久保さん
御坊市の県立紀央館高校が29日、市民文化会館で「平和学習」を開いた。
田辺市竜神村の元中学校長、古久保健さん(70)が戦時中、
山中に墜落した米軍爆撃機B29について講演。
「戦争はしてはいけない」との訴えに、全校生徒610人が静かに耳を傾けた。【山中尚登】

◇撃墜されたB29の米兵の死体に投げた石の音が忘れられない
旧竜神村で1945年5月5日、B29が旧日本軍の戦闘機に撃墜され、山中に墜落した。
古久保さんは当時、小学2年生。「戦闘機同士が撃ち合う大きな音がして、家から外へ出ると
煙を上げているB29を見た。その数分後、爆発音がして山中に墜落していった」と振り返った。

パラシュートで脱出した兵士がいて、古久保さんら住民はしばらく、防空壕(ごう)に避難した。
数時間後、墜落現場に行くとパラシュートが木に引っかかったまま、
つり下がって死んでいる米兵がいたという。

古久保さんら子どもたちは、死体に向けて石を投げつけた。「今でも石が死体に当たった時の
音が耳から離れません。本当に残酷なことをしたと思う。しかし、当時は当然のことだった」。
村はその後、戦死した米兵の慰霊碑を建立。毎年、慰霊祭を行っている。

古久保さんは「人を殺すような戦争は二度としてはいけない。口先で平和と言い合うだけでなく、
本心で気持ちを確かめ合わないとどうなるか分からない。
若い皆さんには命を大切にしてほしい」と話した。

お礼のあいさつをした同校人権委員長の芝竜也君(3年)は「最近、簡単に人を殺す事件や、
海外でも戦争、紛争などが起きて亡くなっている人がいます。古久保さんの講演で、
改めて命を大切にしていきたいと思いました」と応えた。


毎日新聞 2008年8月30日
http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20080830ddlk30040613000c.html






この話には大きな矛盾が在る。 


それは古久保健さんが

『戦争をしてはいけない』と『命を大切にして欲しい』を

同義の意味として話をしているからだ。


いみじくも芝竜也君が

『最近、簡単に人を殺す事件』が起きていると発言しているが、

例えば秋葉原の事件の場合、

全く無抵抗の、つまり争わなかった(戦争しなかった)人が7名亡くなった。


ここで例えば傘を持った人が犯人に気付き、

傘を持って犯人と争い(戦争し)、自身の命を守ったとしたら、

争った(戦争した)人は命を大切にしなかった、と言えるのだろうか?

このことの矛盾を古久保さんはどう説明するのだろうか?


戦争はしないが良いに決まっている。

しかし、避けきれぬナイフに立ち向かう事は、

命を大切にする行為であると私は思う。


古久保さんの発言の不思議さは、

米兵に石を投げる人や人を殺す人のみに、

、、、つまり加害者側、攻撃するほうにのみ比重を置いた論法で

『戦争』を語っていることだ。


戦争は加害者(攻撃する側)のみではない。

被害者(攻撃される側)があり、

攻撃される側が、攻撃された時に死なない為に争う事の是非を、

古久保さんは、何一つ語っていない。


命は大切にしなければならない。

争い(戦争)はしないほうが良い。


しかし、ナイフを持った人が襲い掛かってきた時、

私は傘を持って争うべきだと思う。


また、傘を持って時に構える事こそ、

犯人に犯行を躊躇わせる、

、、、つまり、争いを避ける、、戦争を回避する、

、、ひいては命を大切にする事になるのではないか、

と、私は思う。









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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
免疫システム (元祖 通りすがり)
2008-09-01 16:08:14
Pさん、こんにちは。


私は、国家における軍事組織は、生体における免疫システムに相当するものだと思っています。

免疫システムは、時に過剰反応(アレルギー反応)で自らに無用なダメージを与えてしまうこともあり、自己の正常細胞を異物だと誤認して攻撃する、自己免疫疾患を引き起すこともあります。

軍事組織もまた、時に独断専行で暴走することもあり、自国民に危害を加えてしまうリスクもあります。

かといって全くの非武装では、免疫システムなき生体と同じく、独立主権(生命)を保つことは出来ません。

いわゆる非武装中立論者は、武力による主権侵害を受けた時にどう対処するか、という具体論が全く欠落しているのが通例です。
が、評論家の森永卓郎氏は、その点について筋の通った?論法を展開しています。

かつて氏は、テレ朝の『TVタックル』において、次のような持論を述べています。
「もし日本が侵略されても、無抵抗で滅んていけばいいじゃないですか。この地球上に、あんなに立派な民族がいたと、語り継がれればそれでいい…」。

確かに筋は通ってますが…。
間違いなく語り継がれはするでしょうが、それは偉大な民族としてではなく、愚かな反面教師としてでしょうね。
返信する
立派な平和論だと思う。 (ボチボチかめ)
2008-09-02 00:48:07
>古久保健さんが

『戦争をしてはいけない』と『命を大切にして欲しい』を同義の意味として話をしているからだ。

賛成です。

Pさんが、ここで云われていることは

どんな評論家の平和論より、説得力があると思う。
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トホホマン (P@RAGAZZO)
2008-09-02 11:26:02
おはようございます、通りすがりさん。

なるほど免疫システムは言えてますね。
おっしゃるとおり軍隊は時として自国民を攻撃する事は
ミャンマーやパキスタンの軍事政権をあげるまでもありません。

しかし、だからといって軍隊をなくせというのでは、
事故を怖れて車をなくせ、DVを怖れて結婚をなくせ、
と言っているようなもので本末転倒ですね。

森永氏はひとりで滅びるべきです。
巻き添えは真っ平です。
彼はあれだけアメリカを批判していながら、
『他国から攻撃されたら逃げる。、、、アメリカに逃げる。』
と言っていましたから、、
あれはトホホマンですね(笑)
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ヤンバルキムラグモ (P@RAGAZZO)
2008-09-02 12:02:00
おはようございます、大姉。
ありがとうございます。

古久保さんの話のおかしさは、
彼は『“人を殺すような”戦争は二度としてはいけない』と言っているのであって、
『“人から殺される”戦争』に言及していない事です。

これは辛淑玉などの『殺されても殺すな』という
誠に噴飯ものの貴重な左翼の遺作、
例えて言えば絶滅危惧II類のヤンバルキムラグモhttp://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c9/Heptathela.kimurai.yanbaruensis.female.-.tanikawa.jpg
のウンチ
のような妄言に繋がる夢遊平和論ですね。(笑)
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