今朝の散歩での話だ。
ちょうど小学校の登校時の時間であったのか、
3人5人とかたまった数組の子ども達が、大声をあげ、或いは俯いて黙ったまま、
少し元気を失った秋桜がまばらに咲くいつもの散歩のあぜ道を駆けたり歩いたりしていた。
その中で女児がひとり混じった4,5年生くらいの4名のグループが目に留まった。
彼らはその中でひときわ体の小さな男の子に全員のランドセルを持たせ、
一番大きな男児は手に細い枝のようなものを持ち、
まるで奴隷の監視人のようなにやけ面で、この小さな彼を時々つつきからかっていた。
他のふたりは幾分気が引けるのか、眉を垂らしたまま無理に笑っているような奇妙な顔をして、
それでもこの監視人に相槌を打ちながら連なって歩いていた。
すると突然、、、
この奴隷役であった小さな彼が奇声を上げた。
彼は『ムギュアーーー!!!』と叫び、
両手に持っていた赤と青のランドセルを地面に叩きつけ、
右肩に担いでいた黒いランドセルを脇の田んぼに投げ捨て、
そのまま回れ右をして学校とは逆の方向に歩き始めた。
3名の子ども達は一瞬唖然として口を開け、
それから女の子がこの奴隷役の男児を追って駆けていった。
監視役ともうひとりは顔を見合わせていたが、
すぐに女児を追ってとぼとぼ歩き始めた。
女児が奴隷役の子に追いつき何か言葉をかけると、
この男児は大声で泣き始め、今度は自分のランドセルを放り投げ、
さらに走って逃げ、女児がこれを追い、他のふたりも駆けた。
少し先の小さな橋のところでこの小さな男児は捕まり、
3名は真剣な顔をして切迫した様子でこれを説得しているようであった。
やがて小さな男児は泣き止み、
悲しみの顔から変化し、少し怒色を表していたものの渋々納得したようで、
また、4名で学校に向かって歩き始めた。
赤と青のランドセルはそれぞれの持ち主が、
黒いランドセルは、ふたつとも枝を持った大きな男児が背負っていた。
ふと見上げると、
どんよりと曇っていた寒空(さむぞら)に雲の切れ間が見え、
プリズムのようなキラキラとした冬の光が
弱りかけた秋桜に細い輝きを与えていた。
今日は晴れるのかもしれない。。。