落語と喫煙

2007-10-31 19:10:56 | Weblog
9月17日、島根安来市民会館で市主催の敬老会があり、三遊亭夢之助さんの独演会が催された。

会にはお年寄り247名が参加した。

市はあらかじめ手話通訳者を3名用意したが、このことは夢之助さんには知らせていなかった。

当日、夢之助さんが落語を始めると、横に立った女性が手話通訳を始めた。

5分後、夢之助さんが「落語は話し言葉でするもので、手話に変えられるものではない」と発言。

更に「この会場は聞こえる方が大半ですよね。手話の方がおられると気が散りますし、皆さんも散りますよね」と話し、

会場からは笑い声が聞こえた。

その後も「どうにかなりませんかね」「皆さんが良いとおっしゃるなら構いませんが。どうなんでしょうね」などと発言した。

通訳の女性は主催者側に促され、舞台の下に降りて手話を続けた。


聴覚障害者から知らされた県ろうあ連盟は夢之助さんや市、落語芸術協会に抗議文を送付。

夢之助さん側は謝罪文で、発言の真意について

「気も散漫になって話を間違えることでお客様に迷惑をかけてはいけないので、手話の方に、私の横でなく、後ろに立つか、座ってくれるのか……との思いで声をかけた」と説明したという。

夢之助さんは非常に反省しているという。

ちなみにこの日、会場に来ていた聴覚障害者は3名だった。

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この場合、夢之助氏には配慮が足りず、当然批判を受けるだろう。


しかし、彼の言っている事にも一理があり、

落語の独演会で真横に人が立たれたら演者はやりにくく、観客は観づらい。


例えばこれが、あるパーティーに於ける244名の喫煙者と3名の禁煙者であったとする。


理論的や倫理的にはひとりでも禁煙者がいる以上

このパーティー会場は禁煙にすべきである。

しかし、、事実上はどうか?


まず現状、禁煙会場にはなりえず、『イヤなら来るな』と言われるだろう。


事実、私自身が何度もそのような場面に遭遇した。(私は禁煙者である。)


喫煙に関し『イヤなら来るな』という人が

落語の場合『いやなら観るな』と言うのであれば理解する。筋が通っている。


また、落語に関し『聴覚障害者に配慮すべきだ』と言っている人が、

『3名の禁煙者に配慮し禁煙会場にすべきだ』と言うのであれば、

これもよく理解する。



私が不思議なのは、


この独演会のような事例の場合は弱者側に立ち、夢之助を厳しく糾弾する人が、


例えば喫煙の話などになると喫煙者が俄かに弱者であるかのごとく振る舞い、


禁煙者に有毒の紫煙を吸わせる事になんの躊躇も無いことだ。




私はそのような人を偽善者と呼んでいる。






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