陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

ライフイベントで悩む労働者の生存戦略

2021-01-13 | 医療・健康・食品衛生・福祉

職場内で上司や先輩同僚たちから趣味は何ですかと聞かれたことはないですか。
あれはなにもオタク仲間めいた探り合いをしているのでも、個人のプライベートに興味をもってくれているのでもなく、その上司さんがたは労働衛生上の必要から、部下のストレス対処法や性格傾向を把握するために質問しているのです。私のようにプライベートを職場で知られたくない人間からしたら、そらもう恐ろしい質問なのですが(苦笑)。

私たちはストレスにぶちあたったときに回避行動をとる癖があります。
ある人は特定の場所へ出かけ、またある人は好きな食べ物か音楽を聴く、創作をする、ドライブをするなどなど。愚痴を延々と同僚や家族にぶちまける人もいるでしょう。しかし、聞く相手もストレスがたまり病んでしまうかもしれません。とくにHSPと言われる共感応力が高すぎるひとは、他人のストレスのサンドバッグにされ続けると精神的にズタボロにされ、あっというまに人間不信になります。

ストレスに直面した時の対処様式は二通りあります。「問題解決型」と「情動中心型」です。それぞれを掘り下げると。

【問題解決型対処様式】
1. 積極的問題解決
・原因を調べ解決しようとする
・過去の体験を参考例に検証する
・今できることはなにか冷静に考える

2. 解決のための相談
・信頼できる人に解決策を相談する
・関係者と話し合い、問題の解決を図る
・その問題に詳しい人に教えてもらう

3. 発想の転換
・「何とかなる」と希望をもつ
・その出来事の良い面だけを考える
・これも自分には良い経験だととらえる

【情動中心型対処様式】
1. 他者をまきこんだ情動発散
・問題の原因を誰かのせいにする
・問題に関係する人を責める
・無関係の人に八つ当たりする

2. 回避と抑制
・問題を先送りする
・事態が変わるのを時が過ぎるまで待つ
・何もせず我慢する

3. 気分の転換
 ・趣味や娯楽で気を紛らわす
 ・何か気持ちが落ち着くことをする
 ・旅行・外出など活動的にして気分転換


多くの人がおこなっているのは、情動中心型でしょう。
しかし、趣味や娯楽といえば聞こえはいいものの、アルコールやネット依存、ギャンブルにのめりこんだりするのは考えもの。買い物でストレス発散しても、外食で憂さ晴らししてもあとで浪費のために後悔し、よけいにストレスになります。ちなみに私は一度買い物や食事の付き添いで嫌な思いをした(無理やり奢らされた、無駄話で時間を奪われた)相手はストレスになるので二度と誘われても一緒に遊びません。ごめんなさい。

本来いいのは、問題解決型ですよね。
家庭内あるいは職場でのトラブルがあるのならば、自分の言動を見直すとともに関係者と協議し調整を図るべきなのです。ただし、相手の気分次第では問題がこじれたり、悩んで居る此方に全責任を被せられたり、余計に事態が悪化する恐れがあります。自分の困り具合を持ちかけるときに、どうすれば理解してもらえるかを練っておきましょう。被害者感情ばかりにとらわれるとかえって自己責任として丸め込まれかねないからです。

ストレスや疲労が極度に溜まると視野が狭くなり、思考回路が閉じて解決方法がこれしかないと思いがちになります。
たとえば、職場でマタハラに遭った、介護者への理解がない、病気になった、となると職場をいきおい辞めてしまいがち。しかし、自分だけ独りで悩まずにまずは信頼できる人に打ち明けることで解決策を示してもらえることがあります。信頼できる人は家庭や職場の人間関係とは利害のない第三者、たとえば外部のカウンセラーや産業保健医などが望ましいのですが。

昔だったら、地域内のお年寄りや熟年者がカウンセリングの役割を担ったはずですが。
最近は高齢者が多数派で年金問題もあって世代間対立が激しく、老若男女ひとしく互いをわかりあう習慣が薄れています。というか、もともとは人口の多かった若い世代や女性など弱者がケアする側として強いられ我慢していたにすぎないのですが。労働人口が減っているために、他人のメンタルケアに構う余裕がなくなってきたのです。日本はおもてなしの国とおわれていますが、はたしてサービス提供するのと、他者の心に寄り添うのが同じではないはずです。

ストレスがたまり極端な思考に陥ると、最悪の手段に陥りがちです。
会社を辞めればいい、病気や傷害を負ってしまえばいいと暴走しがち。もちろんひどい職場は我慢する必要はありませんが。仕事上の悩みでも、家庭内のトラブルでも本人が深刻に考えすぎているが、経験者からしたら簡単な解決法が見えているのかもしれません。

現代ではお悩み相談のネット上の掲示板やSNSなどもありますが、かえって料簡の狭い心ない人に傷つけられて生きる意欲をなくしたりすることもあります。とくに学校や医療機関、役所などのように、職場が専門性の高いプライドの高い人の集まりであるときは、職場の問題が外部に漏れにくく、陰湿ないじめやハラスメントが起こりがちになります。職場も家庭のトラブルもその人、その家庭、その会社や組織の属性だけの問題ではなく、誰もがこころを病みやすいという前提で対処法をこころがける意識改革がいま必要なのではないでしょうか。



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