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陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

会社に半沢直樹や花咲舞は存在しない

2025-05-27 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

2024年4月から6月の日テレ系土曜ドラマの「花咲舞は黙っていない」。
半沢直樹シリーズで有名な池井戸潤原作の、銀行を舞台にした企業ドラマです。数年前に原作小説を読んだことはあり、新聞にも連載されていた記憶があります。

毎回観ていたわけではなくて、しっかり観終えたのは最終回のみ。
やはり予定調和といいますか、組織の不正にかかわり不当な利益を貪っていて、大臣とも癒着していた部長や頭取が、ヒロインたちの暗躍によって悪事を暴かれてしまいます。

なお、このドラマ内では別作品ながら半沢直樹は登場するのですが。
他局のドラマだったせいなのか演じたのは、あの堺直人ではありませんでした。そこもあってか、あまり話題性としてはイマイチだったようです。

昔ながらの勧善懲悪、組織の組織の闇を暴くヒーローたちはカッコいいもの。
すべてのサラリーマンの憧れですよね。

でも、実際はどうでしょう。
入社して間もない若い、しかも女性社員が、会社の陰謀に立ち向かっていく、というのはほぼ実現不可能ではあります。もちろん、ドラマの中では協力者が現れるのですけども。違法とまでいかずとも、他人のミスを細かく指摘してあげつらうようなことを平気でする社員は周囲から嫌われますし、要注意人物扱いされてしまいます。

内部告発の窓口はあったとしても、利用した途端、不利益をこうむるのはたいがい訴えた側。
外部の、行政機関などに異議申し立てしたとしても、在籍していれば立場が危うくなりますし、身を切る覚悟が必要です。

自分が望んで入社した企業が、誇り高いと思っていたその仕事が。
実は誰かを貶め、不利益を生じさせ、さらに法律に違反するものであったとしたら。しかし、その仕事をしなければ自分は糧を得ることができない。しかも、その不正に加担したとして責任をとらされねばならず、上司や同僚、経営者たちは見て見ぬふりか、逃げてしまう。

私にもかつて同じようなことがあって。
経営陣に法に抵触することを訴え、是正を望みました。また社内でも同意を集めていたはずなのですが、いざとなると、梯子を外されたかたちで、私だけが批判を浴びパワハラに近い言動を浴びせられつづけました。体調を崩した私は離職せざるを得なくなったことがあります。行政にも相談したのですが、証拠を隠蔽されてしまいました。

私が離職したあとで、不正を行っていた経営陣は退いたと聞きましたが。
結局、新しい体制になっても、社内の人が長い物には巻かれろ体質で、ブラック企業の労働を容認しつづけていたので、私が戻っても無駄だったと知りました。

その職務についてはやりがいを感じていて、同僚たちの不利益にも声をあげ、善処したつもりでした。私に会社の不満を明かしてくれた数人が突然に退職したり、労災に近いかたちで会社で倒れたりして離職を余儀なくされたのです。私が辞めるときも有休の消化を認めなかったり、休職を阻もうとしたり、私物を処分されたり、必要な書類を送ってこずにこちらの紛失扱いにしたりと、とにかく散々な嫌がらせを受けたわけです。

小説でも、半沢直樹は左遷させられたり、中小企業へ出向させられたりもして辛酸をなめます。知り合いが責任の重さに耐えかねて命を絶ったというエピソードもあります。運よく命ながらえても、ゾンビのような思いで会社にすがりついているか、退職しても心身のトラブルをきたして満足に働けない状態にまでなっているか。

半沢直樹や花咲舞のような正義感は存在しない。
かつてそうであった人は、自分の生活のために、清濁併せ呑むことを選ばざるを得なかったのでしょう。だからこそ、こうした胸のすく企業ドラマやら法廷劇とやらが流行るんでしょうね。

現代では組織の不正といえば、SNSで投稿して注目を集めるという方法もありますが。
下手に書けば、営業妨害と目されない可能性もありますし、慎重を要するものです。ブラック企業に損害を受けたならば、私たちにできることは、その業界の商品やサービスを金輪際買わない、関わらないことぐらいなのでしょう。悲しいですよね。


(2024.06.16)





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