陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

AIが事務職を失業させるのか?!

2023-12-29 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

2023年8月ごろ、あるニュースサイトで。
AIのせいで事務職の25%は失業する可能性があるとの記事が。この話題はべつだん珍しくもなく、数年前から言われていたもの。その当時は、絵を描くだとか、文章を書くといった、クリエイティブ作業こそ生き残る、むしろそれこそが人間らしい仕事だ、とお墨付きがあったものでしたが、さて今やいかに。

AIの性能強化で、定型業務が多い事務職の大半が仕事を失うかもしれません。それは私自身も事務職なので認めます。でも、すぐさま失業するかとか、現業のほうが強いと言われたらそれも疑問符があります。

まず、現状、事務系職種で奪われる恐れがあるのは、公務や大組織で細分化されすぎた一般事務系統の職種、経理や人事の補助といった、おそらくは非正規職でしのいでいる業務でしょう。いずれは部門縮小することをふまえて、契約社員や派遣で雇い入れているわけですから。

中小企業でひとり事務職のような場合は、経理の入出金業務はすでにデジタル化の波でだいぶ楽になっていますし。廃止予定の手形なども電子決済に置き換わっていくでしょう。総務の社会保険手続きなども電子申請を利用すれば大幅な時間短縮になります。

なので、書類作成作業としては減るでしょうが、正社員の、それも責任者ポジションのひとり事務職の椅子が空くのかといえば、そうでもなくて。なにせ総務ならば、従業員の労働安全衛生面のヒアリングをしたり、環境整備のための清掃や設備点検作業もあります。

AIができるのは、あくまでもデバイスありきの、メンタルが通わない、定型業務です。人間が生身で行う作業は代替できません。お掃除ロボットを導入するコストはどうでしょうか? 多くの中小企業は掃除を業務の片手間に行わせていますので、自動化はしないでしょう。

AIが奪いやすいのはお役所の窓口のような受付業務でしょう。
しかし、これも、いずれ無人レジの万引きと同様の問題が生じます。ユーザーが適切な申請をしているかを監視する人間がいないと、公的手続きでも不正が生じかねませんし。かつ、マイナ保険証をめぐるトラブルのように、ヒューマンエラーあるいはハッキングなどによって、業務が滞りパニック状態になる可能性もありえなくはありません。

「事務職の25%は失業する」とありますから。
この4分の1といいますが、いわゆる、税務署で年末調整時だとか、コロナ給付金の時期だとか、期間限定で雇われているような受付事務にすぎないのではないでしょうか。あと、図書館のカウンターとかもそうですね。

ただ、人間の雇用を守りたい職場ならば、あえてAIの導入をしないことも考えらえますが、非効率になるので、従業員各自の月給が減ってしまう可能性もあるかもしれません。

いずれにせよ、おおむね、事務職の未来は明るくはありませんが。
だからといいまして、女性の大半が失業してしまい、やはり男性が大黒柱でいたほうがいいのだ、などという昭和めいた家庭像の価値観は古いと言えましょう。

もともと事務職に限らずに、女性はケアする存在として職場での振る舞いを求められていますので。AIが苦手とするきめ細やかなコミュニケーション能力が高ければ、職種を移動しても採用されやすい傾向があるからです。

AIに高学歴者が好みそうなホワイトカラー職が奪われるであろうことは事実ですが、では高学歴者ほど失業しやすいかと言いましたらそうでもなく。むしろ商品の包装検品のような単純作業にも高難易度職種者がクラスチェンジされやすくなって、そうした現業専門でスキルがないまま50代を迎えてしまったような人のほうが職を奪われやすいといえるのかもしれません。

営業もそうですが事務系の職種というのは、基本、人と接する職務ですし経営の中枢にいる部門ですから、例えばその勤め先が廃業に鳴っても転職スキルがつきやすく、自分で独立もできる下地作りができます。ただ箱詰めだけして、その業界だけの商品知識しかない場合は、つぶしが利かなくなるのでは、というのが私の考え。要するに上位互換ですね。

商品の梱包や検品をする人でも、品質に配慮した企画ができる人材や、生産管理との連携、販売促進のツール開発など利益を生み出す提案ができるレベルならば重宝されましょうが、ただ上層部の言いなりでなんとなくやっつけ作業で数だけこなしているような働き方をしているひとだと、AIの導入いかんにかかわらず、十年後の働き方が変わってくるのではないでしょうか。50代ぐらいでの入社組でこちらには残業代に文句を言い、経営者がいるときだけ媚びを売ってうわべだけの評価を得ている人をみていると、私はそれを反面教師にして生きねばなるまいな、とつくづく気を引き締めるわけです。

AIに人事評価をさせたら、経営幹部層のえこひいきもなくなって、むしろかなりオープンな職場になり、ほんとうに頑張っている人が報われるのではと思う次第です。まあ、バックオフィス部門の職場内での評価ガいまいちなのは以前からなので致し方ありませんが。

事務職どころか、むしろわがままな経営者やパワハラ上司をAIに置換してくれ、と言いたくなる社員さんも今日び、多いのではないでしょうかね(苦笑)。

(2023/08/27)







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