転職者の体験談を聞くと、不満として多いのが中途入社日にあまり歓迎されなかった──というもの。
教育担当者が不在だったり、入社日を覚えられていなかったり、必要なデスクや備品が支給されなかったり。あるいはロッカーが空いていなかったり、とか。とくに、人の出入りが激しい会社だと、ああまた新入りが来たか、面倒見るのがしんどいな…とうんざりした気持ちになっていたりする。そんな空気感を覚えて、初日から逃げたくなることもあるのでしょう。
転職歴が多い私の場合、振り返ってみても、初日にいきなりがっかりするような出来事は思い当たらないです。
ただ、ある医療機関に勤めたときに、直属の上司にあたる女性に、「採用したけど、うちには来ないかと思っていた」と真顔で言われて驚いたことがあります。
来てくれてありがとうの意味なのか、あんた、それでもここで勤めたいの、の意なのか。よくわからなかったのですが。まあ、しばらくしてからわかりましたけど(苦笑)
初日で帰りたいと思ったほどの酷い職場はなかったですが。
まあ、早ければひと月ぐらいで内輪の事情がいろいろ見えてきますよね。人間関係ですとか、経営状態ですとか、業界の先行きですとか。最初はこんないい職場はない! 前職よりも素敵! 働きやすくて最高! と感激していても、どうしても粗が出てきてしまうのです。
数箇月たっても制服が支給されなかったり、会社で作成してくれるはずのネーム印がなかったり、ロッカーの氏名プレートがなかったり、スケジュールボードに名前の欄がない等は確かにありました。
試用期間だから、様子見されていたのでしょう。もちろん、こちらだって会社を様子見の期間ですから、むしろ会社のモノなんてすぐに支給してくれないほうがいいんです。そういうのを用意する総務部のひとの忙しさも自分が経験済みで知っていますから。
面接から採用の内定が出て入社日までは、会社もあなたも期待に胸が膨らみます。
あくまでこちらは外側のひと。でも、一歩、足を踏み入れたならば表面上は、お客さんからしたら、ウチの顔。でも、どこかよそ者の感がある。雑に扱われてもしかたがないといえば、そうなんですね。ただ、さすがにタイムカードを用意されていなかったのは困りましたけども。出退勤の時刻は、自分で手元に控えておくしかないですね。
中途入社組はとくに新卒社員のように、入社してすぐも大切にされません。
即戦力があたりまえだと思われているからですね。就職氷河期の私は正社員になれたのはアラサーの中途入社からでしたが、来年入社予定の新卒内定者が蝶よ花よと大事にもてなされて、懇親会を催されたり、逃げられないように気遣われているのを見まして、大企業でなくとも新卒と転職組とは扱いがこんなに違うのか…と気づいてしまったことがあります。とはいえ、その会社では年下の先輩にはよくしていただきました。
入社したては右も左もわからないものなので、とりあえず波風を立てないように、言われた業務は言われた以上に成果を出して信頼をかちとってこそはじめて大事になされるんですよね。とくに自分が中年期になってしまったら、もう最初から可愛がってはくれないと覚悟しておいたほうがいいわけです。
( 2021/09/05)