姫宮神社という、なんともエモいお宮に詣でたのは2020年夏のことでした。
当時はコロナショック初年。東京五輪も延期され、世間は外出制限令が出て、街中はすっかりがらんどう。あれらすでに3年、コロナ患者は以前よりもうなぎのぼりだけども、制限はほぼなく、人びとは自由に経済活動を謳歌しています。
成人の日ふくむ今年お初の三連休、その最終日。
満月が明るくて星が薄らいでみえるほどのこの夜明け。朝五時起きで明日から仕事か、と溜息まじりにつぶやいた私は、家事をかたづけたあと、出来ごころで列車に飛び乗っていました。その日は温かい冬の陽気で、動くにはもってこいの日。
駅から歩いて10分弱の距離にあるこの神社。
朝8時ぐらいには人手がひとりか、ふたりぐらい。なぜか男性のみでした。以前訪れた時よりも、お茶席があったり、水桶に花を浮かべていたりとなんだか美しくなっています。なんだか素敵なロケーション。参拝者が増えてきたせいでしょうか。写真を撮ってみましたが、以前よりも色あいが明るくなっている、ような。たとえていうならば、硬派なNHK歴史番組だったのが、歴史秘話ヒストリアみたいなテイストにイメチェンした感じ。前はもっと古寂びた感があったような。建設会社ののぼりがあったので、リフォームしたんでしょうね。繁盛してるようでよかったです。おめでたや。
この神社、アニメ神無月の巫女の主演声優さん──川澄綾子さんと下屋則子さんのお二人がツーショットをとった画像がSNSで流れたことで有名になったのでしょう。ちなみにこのおふたりが撮影したのは、神無月の巫女関連ではなく、当時、某アニメ制作会社の劇場版アニメの宣伝もかねてだったようですが。この界隈、もうすっかりアニメの聖地になったのか、近くの百貨店でワンピースの企画グッズ販売をやっていたりしています。まさかこのご当地県が、こんなにオタク御用達の穴場になるとは。
神無月の巫女の聖地巡礼といえば、月の社の原形ともいうべき出雲大社なのでしょうが。
なぜか、ネット上でここが聖地巡礼の地とも紹介されていたりもします。公式が語ったわけでもないのでしょうが。でも、境内が女性客向けを狙った雰囲気にしているので(その出会いを求めて男性がうろついていたのか?)、意外と百合ファンの穴場スピリチュアスポットになっていたりするんでしょうか?
以前訪れたときにお願いしたのは、仕事での良縁。
姫宮神社じたいは、本殿の横にある小さな分社といった感じなのですけども。ご利益は夫婦円満、恋愛成就、らしい。道具を奉納するらしい筆塚も健在でした。この神社詣でをしたあと、個人事業上も兼業会社員就業先も、すったもんだのトラブル続きのすえ、今はたしかに落ち着いています。かつて、私はこの最寄り駅のトイレでなんども体調を崩して自宅に引き返したことがありましたから。ひょっとしたら、この神社の御祈願のおかげだったのかも。そう思った私は、お礼参りもかねて、ふたたび足を運ぶことにしたわけです。
そういえば、本日は大安なのでしたね。
ある本に、気分が塞いでしまう日はむしろ動き回らずに、活力が乗って運がよくなった時期にこそ動き出せ、とありました。不安にかられるとあちこ出かけて消費して荷物は増えるが部屋は片付かず、投げた仕事がそのまま残るという日々だった私には、突き刺さる言葉。昨日までにあらまし経理上の目途をつけたらできた、この遊び時間なのでした。
この日は戎さんの日だったせいか、商店街に屋台が開店準備をしていました。
まだ朝早くだったせいか人出は少なかったようですが、昼頃になっても、かつてのほどの盛況はなかったように感じられました。コンビニの商品価格や店員さんの顔つきにも、生活の厳しさが漂っています。
朝8時の出発で、正午ごろの帰宅。
途中、図書館と本屋に立ち寄って、街に長居はしませんでした。じつは、この駅近く、仕事上でかなりの嫌などす黒い経験があったので、早く通り過ぎたかったからです。正味、4時間ほどの小旅行でしたが、ここ最近、会社と自宅、空き家との往復ばかりで、気が滅入っていた私の現実逃避の時間としてはちょうどいい分量です。
明日からは通常通りの勤め人およびアフター+週末だけの個人事業主。
まる一日オタク気分で過ごせる冬休みも、連休の初日中日も終わってしまいました。この連休は庭木の剪定作業と確定申告作業でほぼ一日半はつぶれてしまったので、最終日だけ異世界トリップできてよかったですね。生活圏や労働圏とは無関係になった場所は、たとえ地図上にはあろうとも、私にとってはもはや異国のようなもの、なのです。
列車はたまに乗って景色を楽しむぐらいがちょうどよいのであって。
かつてのように通勤で毎日重いからだを駅まで運んで、くたびれて帰ってくる生活を続けていたら、いまの職場も長くは勤められなかっただろうと。いい仕事に巡り合えたことにとても感謝しています。
アニメの神無月の巫女でも、姫子が村を逃げ出そうとするその無人駅で、千歌音が迎えにきた、という場面があります。あれも思い出すたびに、私はこの鄙びたJRの列車に乗りたくなるわけですよ。いったん外へ飛び出しちゃう、けれども、放浪癖にならずに、定時に戻る。待ってくれている家も、同居人も、仕事の明日も義務も残っているからです。誰も代わりにやってくれるわけではなく、自分の責任で終えなくてはいけないものだから。いつまでも、華やかな清らかなお社のなかで、うつつを抜かした気分ではいられないのです。
神様にお願いしたから大丈夫ではなくて。
どんな運命にだって、神様にだって負けっこない!と言い切った、あの二次元の彼女たちみたいな、悲しい定めをうちやぶって生き抜く、そんな力をこれからも維持していきたい、自分にそう発破をかけたかったわけですね。
(2023/01/09)
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