脱線する。
Netflixで『流転の地球』を観る。
2019年中華人民共和国製作のSFである。
じつに強引な設定だが、おもしろい。
内容は太陽の膨張で、300年後に太陽系が消滅することがわかり、
地球丸ごと2500年をかけて別の星系に引越すという大胆なアイデアに基づくドラマである。
こういう途方もないアイデアは、それを裏付ける科学的な背景がないと荒唐無稽な映画になってしまう。
映画はその科学的な背景はすっとばして展開される。
それでも荒唐無稽な感じを観る者に与えないのは不思議だ。
2時間ほどけっこう集中して観てしまった。
あとで調べてみると原作はあの『三体』の劉慈欣で、
「さまよえる地球」という短編の映画化。
とすると原作は『三体』同様科学的な背景をきっちり押さえているのだろう。
地球自体を移動して危機を脱するというアイデアは、
東宝の特撮映画『妖星ゴラス』(監督/本多猪四郎 1962年)にある。
地球に接近する黒色矮星ゴラスから逃れために〈重水素ならびに三重水素を利用したロケット推進装置を南極に設置し、
100日間で地球を40万キロメートル移動させて軌道を変える〉
という「地球移動計画」を実施するSF映画で、ワタシは封切りで観た。
11歳のころである。
『流転の地球』は、この地球を動かす推進装置の規模を拡大したものだ。
木星に接近した地球が木星の引力で衝突の危機にさらされる。
そのときに自己犠牲というテーマが顔を出すのがなんとも残念ではある。
しかし空いっぱいに広がる木星の姿は圧巻である。
続編も今年制作されたようだ。