高尾山麓日誌

東京、高尾山麓付近に暮らす日常から、高尾山の状況や、高尾山・八王子周辺地域で気付いたこと、周辺鉄道情報などを掲載

黄変したネガフィルムスキャン画像を Photoshop CS4を使って修正する (3)

2017-09-20 00:48:52 | カメラ
[お知らせ]
現在は以下のサイトで、新しい補正法を公開しておりますので、そちらの利用をお勧めします。
https://yasuo-ssi.hatenablog.com/entry/2021/04/26/000000
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 今回は、トーンカーブ補正です。ちなみに Photoshop Elements では、R, G, Bのチャンネル別のトーンカーブ補正ができないらしいので、これは Photoshop が必要なようです。なお、桐生彩希氏の『デジタル写真の色を極める!「写真の学校」』雷鳥社, 2013 によると、レベル補正でできることは、Photoshop上級者になるとトーンカーブ補正ですべてできるのだそうです。従ってレベル補正とはトーンカーブ補正の一部機能を初心者向けにわかりやすくして搭載した機能、と言えそうです。Photoshop Elementsから機能が省かれているのもそのためでしょう。
 ただ、桐生氏によれば、トーンカーブをいじると、色と同時にコントラストも意図せずして変化しがちであるが、レベル補正だと意図しないコントラストの変化がおきにくいそうです。コントラストを変化させずにトーンカーブで思い切って色を補正するにはかなり複雑なカーブ補正が必要となり、初中級者では難しいようです。

 まずトーンカーブの説明ですが Abobe の公式ブログに詳細な説明がありますので、それをご参照下さい。
村上良日, 2017,「全ての基本「トーンカーブ」の見方とつくり方」,『連載 / 思い通りに修正しよう!Photoshopの使い方〝詳細〟解説』
https://blogs.adobe.com/creativestation/photo-retouch-details-tone-curve

 結局レベル補正はトーンカーブ補正データを一次元的に操作できるようにしたものだったわけですが、トーンカーブではこの色の入力と出力の比率を複雑に変化させることができる、というわけです。ですが複雑に変化させることができる分、いじっているうちによく分からなくなってしまうということもたびたびです。まあ、その時は分からなくなってしまった補正レイヤーをオフにするか、廃棄すれば良いわけですが...
 
 で、問題のサンプル画像のブルーチャンネルを見てみましょうか。

 左上がブルー要素、右下がその補色のイェロー要素の領域になります。そして左半分はブルー値が小さめの(=より暗い)ドットで、左に行くほどブルー要素が暗くなり、右半分はブルーの値が高め(明るめ)のドット、右に行くほどブルー要素が明るくなります(厳密にいうと各ドットがブルーチャンネルのブルー 0 ~イェロー 255の間のどの値を持っているかという分布図です。もちろん各ドットはブルーチャンネル以外にもグリーンチャンネル、レッドチャンネルの値を持っていますので、一番左端が「真っ青」のドットとは必ずしも言えません。左端には「真っ黒」なドット等も含まれます)。ブルー系のドット数に比べてイェロー系のドット数が多く全体として黄色かぶりが強いことが分かります。ちなみに最もブルーが暗い値は 0、最もブルーが明るい値には 255 が与えられています。明るさの中間が 125です。
 そして、あるドットにおいて、他のチャンネル要素(R,G)よりもブルーの値が大きいと、人の眼からはブルーがかって見え、逆に他のチャンネル要素よりもブルーの値が小さいと、人の眼からはイェローがかって見えます。実際にブルーがかって見えるかイェローがかって見えるかは、ブルー要素の絶対的な値で決まるのではなく、そのドットが持っているB値と、GやRの値との相対的な関係で決まります。例えば、仮にRGBのそれぞれの値が(0,0,10)だとすると、それはブルーがかった黒であり、またRGBが(10,10,0)だとイェローがかった黒になります。またRGBが(245,245,255)だとブルーがかった白であり、(255,255,245)だとイェローがかった白ということになります。ちなみにRGBの値が同一だと、グレースケール上のニュートラルな色になるわけです。

 で、この対角線を全体的に左上方向に動かすと、それぞれの全体に青っぽくなり、逆に右下方向に動かすと黄色っぽくなるという仕組みです。

 ではそれぞれ、ブルー側に引き上げた例、イェロー側に引き下げた例を見てみましょう。
まずオリジナルです。


 トーンカーブを対角線から一律に25引き上げた例

 トーンカーブ (といっても例では直線になっていますが) が全体的に対角線より左上に来ています。つまり全領域でブルー方向に寄っていることを表しています。

 トーンカーブを対角線から一律に25引き下げた例

 トーンカーブが全体的に対角線より右下に来ています。つまり全領域でイェロー方向に寄っていることを表しています。

 各色域を通るトーンカーブが対角線より上に行けば、その色域のブルー要素を強めたことになり、対角線より下に来ればイェロー要素を強めたことになります。

 ブルーチャンネルのトーンカーブの傾斜を寝かせた例

 これはブルーチャンネルの暗い側(左側)をややブルーよりに出力する一方、明るい側(右側)をややイェローよりに出力しています。

 ブルーチャンネルのトーンカーブの傾斜を立てた例

 こちらは逆に暗い側をよりイェローに、明るい側をよりブルーに出力しています。

 以上の変化は、トーンカーブを直線的に変化させただけですが、トーンカーブをコントロールポイントを付加して曲線状に湾曲させることもできます。ちなみにホワイトバランス調整は、各色チャンネルのトーンカーブを、調整点を準拠として、直線上または、単純に湾曲化させ(コントロールポイント1点)ハイコントラスト化したりローコントラスト化したりすることで実現しています。ホワイトバランス調整以上に追い込みたい時は、トーンカーブを曲線状にどう湾曲化するかがキモになります。

 また色チャンネルをハイコントラスト化する方が良いのかローコントラスト化する方が良いのかは、各ドットの分布の仕方によっても異なり一概には言えません。このサンプルの場合、トーンカーブの傾斜を寝かせた例では、空の黄変が強まっているように見えます。これは、黄変の鋭いピークの色域に関しては、トーンカーブが対角線の下に来ています。従って、イェロー要素が強まってしまっているためだと分かります。このあたりを、ドットの分布をにらみながら、どうチャンネルをいじって、ドット分布の不均衡をチャンネル調整でごまかすか、という勝負になります。

 ちなみに、トーンカーブ補正を選択するには、背景レイヤーが選択され、補正の種類が選べる画面になっている状態で、レベル補正の右隣のアイコンをクリックします。



 トーンカーブの操作方法自体は例えばこちらのサイトをご覧下さい。CS6を使って説明していると思いますが、基本的にはCS4でも同じです。

御園生大地, 2013, 「トーンカーブ」で自由自在に色調補正 1-2 (Photoshop 色調補正ゼミナール)
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8400.html
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8418.html

 で、こんなS字を作ってみました。

上のトーンカーブを立てた例に似ていますが、こちらの方が若干ナチュラル?レベル補正一本よりはましなような気がします。


 また、これはトーンカーブ補正のみならず補正レイヤー全体に言えることですが、レイヤーの補正効果量を、レイヤーパネルの不透明度や塗りをから調整することができます。


これも操作方法はこちらをご覧下さい

御園生大地, 2013, レイヤーを使いこなす! (Photoshop 色調補正ゼミナール)
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8829.html

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▼目次
「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/01fd817e2d0eeaca52a2fdf6e7ac43c6
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5c335015f3aaa1dba0b11b68e23bc37c
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7eb3ade773bf9fa853aae3cabe78ed89
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/595b996085188af62b61d36f32ffbf7f
(5)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/9455b06232b4345c5ae241b93da61946
(6)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7a78b75bd7c6573696beafe9a1a5e4fa
(7)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/484e49d09744a96456e94bdeae470845
(8)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/abef48879db7dce35dfd7dbf272456e7

Photoshopを使った黄変・退色写真補正テクニック - 追加
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/ef04ce814b541a51232f1eac14e8999d

黄変・褪色フィルム補正の実例
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5023fba39d042f036c0ffdc59a5e08b5
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/42e0c21e67b82108dcec221e91d930a8
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/08f729dff54952fa07cb2e7a34f87eb4
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/f31fcb5a8cc8950854a7c8735ff2f727