高尾山麓日誌

東京、高尾山麓付近に暮らす日常から、高尾山の状況や、高尾山・八王子周辺地域で気付いたこと、周辺鉄道情報などを掲載

黄変したネガフィルムスキャン画像を Photoshop CS4を使って修正する (4)

2017-09-22 19:20:24 | カメラ
[お知らせ]
現在は以下のサイトで、新しい補正法を公開しておりますので、そちらの利用をお勧めします。
https://yasuo-ssi.hatenablog.com/entry/2021/04/26/000000
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 今回はホワイトバランスです。といっても今回はあまりオリジナルな話が盛り込めません。

 ホワイト (またはグレー、ブラック) バランスとは、本来色がついていなかったものが色のバランスの偏りのため色がついてしまったものを、ある基準点を中心に色のバランスをとり戻す機能です。そのためには、画像上に真っ白 (または真っ黒、真っ灰色) の基準点が存在しなければなりません。もしなければ調整は不可能です。

 前に述べたように、レベル補正のパネルでもトーンカーブ補正のパネルでもどちらからでも調整が可能です。

レベル補正パネル


トーンカーブ補正パネル


 このパネル上で、ホワイト、グレー、ブラックのどれを基準としたいか、スポイトマークのアイコンを選択し、それから画像編集画面で、基準となるべきホワイト、または、グレー、ブラックの点をクリックすると、自動的にそれに合わせて画像を調整してくれます。一般にはグレー点で合わせるのが合わせやすいと思いますが、それも画像によるでしょう。

こちらはトーンカーブ補正パネル上でクリックした例

右のパネルにトーンカーブをどのようの湾曲させたかが、それぞれのチャンネル色別に表示されています。

こちらはレベル補正パネル上でクリックした例


これらのケースの場合、空の部分をグレー基準点としてクリックしていますが、ちょっとずれただけで大きく色調が変わってしまうので注意が必要です。

 なお、桐生彩希氏の受け売りですが、ブラックやホワイトを基準点とするときは色の飽和をなるべく避けるため、R,G,Bが255, 255, 255または0, 0, 0を基準点とするのではなく余裕を見る (ブラックなら 250, 250, 250、ホワイトなら10, 10, 10など) とよりよい結果が得られるそうです。この調整は先のパネルのホワイト、ブラックスポイトのアイコンをダブルクリックすると、調整パネルのウィンドウが開くのでそこで指定します。もちろんグレーの調整点の調整も可能です。


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▼目次
「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/01fd817e2d0eeaca52a2fdf6e7ac43c6
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5c335015f3aaa1dba0b11b68e23bc37c
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7eb3ade773bf9fa853aae3cabe78ed89
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/595b996085188af62b61d36f32ffbf7f
(5)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/9455b06232b4345c5ae241b93da61946
(6)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7a78b75bd7c6573696beafe9a1a5e4fa
(7)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/484e49d09744a96456e94bdeae470845
(8)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/abef48879db7dce35dfd7dbf272456e7

Photoshopを使った黄変・退色写真補正テクニック - 追加
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/ef04ce814b541a51232f1eac14e8999d

黄変・褪色フィルム補正の実例
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5023fba39d042f036c0ffdc59a5e08b5
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/42e0c21e67b82108dcec221e91d930a8
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/08f729dff54952fa07cb2e7a34f87eb4
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/f31fcb5a8cc8950854a7c8735ff2f727


黄変したネガフィルムスキャン画像を Photoshop CS4を使って修正する (3)

2017-09-20 00:48:52 | カメラ
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現在は以下のサイトで、新しい補正法を公開しておりますので、そちらの利用をお勧めします。
https://yasuo-ssi.hatenablog.com/entry/2021/04/26/000000
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 今回は、トーンカーブ補正です。ちなみに Photoshop Elements では、R, G, Bのチャンネル別のトーンカーブ補正ができないらしいので、これは Photoshop が必要なようです。なお、桐生彩希氏の『デジタル写真の色を極める!「写真の学校」』雷鳥社, 2013 によると、レベル補正でできることは、Photoshop上級者になるとトーンカーブ補正ですべてできるのだそうです。従ってレベル補正とはトーンカーブ補正の一部機能を初心者向けにわかりやすくして搭載した機能、と言えそうです。Photoshop Elementsから機能が省かれているのもそのためでしょう。
 ただ、桐生氏によれば、トーンカーブをいじると、色と同時にコントラストも意図せずして変化しがちであるが、レベル補正だと意図しないコントラストの変化がおきにくいそうです。コントラストを変化させずにトーンカーブで思い切って色を補正するにはかなり複雑なカーブ補正が必要となり、初中級者では難しいようです。

 まずトーンカーブの説明ですが Abobe の公式ブログに詳細な説明がありますので、それをご参照下さい。
村上良日, 2017,「全ての基本「トーンカーブ」の見方とつくり方」,『連載 / 思い通りに修正しよう!Photoshopの使い方〝詳細〟解説』
https://blogs.adobe.com/creativestation/photo-retouch-details-tone-curve

 結局レベル補正はトーンカーブ補正データを一次元的に操作できるようにしたものだったわけですが、トーンカーブではこの色の入力と出力の比率を複雑に変化させることができる、というわけです。ですが複雑に変化させることができる分、いじっているうちによく分からなくなってしまうということもたびたびです。まあ、その時は分からなくなってしまった補正レイヤーをオフにするか、廃棄すれば良いわけですが...
 
 で、問題のサンプル画像のブルーチャンネルを見てみましょうか。

 左上がブルー要素、右下がその補色のイェロー要素の領域になります。そして左半分はブルー値が小さめの(=より暗い)ドットで、左に行くほどブルー要素が暗くなり、右半分はブルーの値が高め(明るめ)のドット、右に行くほどブルー要素が明るくなります(厳密にいうと各ドットがブルーチャンネルのブルー 0 ~イェロー 255の間のどの値を持っているかという分布図です。もちろん各ドットはブルーチャンネル以外にもグリーンチャンネル、レッドチャンネルの値を持っていますので、一番左端が「真っ青」のドットとは必ずしも言えません。左端には「真っ黒」なドット等も含まれます)。ブルー系のドット数に比べてイェロー系のドット数が多く全体として黄色かぶりが強いことが分かります。ちなみに最もブルーが暗い値は 0、最もブルーが明るい値には 255 が与えられています。明るさの中間が 125です。
 そして、あるドットにおいて、他のチャンネル要素(R,G)よりもブルーの値が大きいと、人の眼からはブルーがかって見え、逆に他のチャンネル要素よりもブルーの値が小さいと、人の眼からはイェローがかって見えます。実際にブルーがかって見えるかイェローがかって見えるかは、ブルー要素の絶対的な値で決まるのではなく、そのドットが持っているB値と、GやRの値との相対的な関係で決まります。例えば、仮にRGBのそれぞれの値が(0,0,10)だとすると、それはブルーがかった黒であり、またRGBが(10,10,0)だとイェローがかった黒になります。またRGBが(245,245,255)だとブルーがかった白であり、(255,255,245)だとイェローがかった白ということになります。ちなみにRGBの値が同一だと、グレースケール上のニュートラルな色になるわけです。

 で、この対角線を全体的に左上方向に動かすと、それぞれの全体に青っぽくなり、逆に右下方向に動かすと黄色っぽくなるという仕組みです。

 ではそれぞれ、ブルー側に引き上げた例、イェロー側に引き下げた例を見てみましょう。
まずオリジナルです。


 トーンカーブを対角線から一律に25引き上げた例

 トーンカーブ (といっても例では直線になっていますが) が全体的に対角線より左上に来ています。つまり全領域でブルー方向に寄っていることを表しています。

 トーンカーブを対角線から一律に25引き下げた例

 トーンカーブが全体的に対角線より右下に来ています。つまり全領域でイェロー方向に寄っていることを表しています。

 各色域を通るトーンカーブが対角線より上に行けば、その色域のブルー要素を強めたことになり、対角線より下に来ればイェロー要素を強めたことになります。

 ブルーチャンネルのトーンカーブの傾斜を寝かせた例

 これはブルーチャンネルの暗い側(左側)をややブルーよりに出力する一方、明るい側(右側)をややイェローよりに出力しています。

 ブルーチャンネルのトーンカーブの傾斜を立てた例

 こちらは逆に暗い側をよりイェローに、明るい側をよりブルーに出力しています。

 以上の変化は、トーンカーブを直線的に変化させただけですが、トーンカーブをコントロールポイントを付加して曲線状に湾曲させることもできます。ちなみにホワイトバランス調整は、各色チャンネルのトーンカーブを、調整点を準拠として、直線上または、単純に湾曲化させ(コントロールポイント1点)ハイコントラスト化したりローコントラスト化したりすることで実現しています。ホワイトバランス調整以上に追い込みたい時は、トーンカーブを曲線状にどう湾曲化するかがキモになります。

 また色チャンネルをハイコントラスト化する方が良いのかローコントラスト化する方が良いのかは、各ドットの分布の仕方によっても異なり一概には言えません。このサンプルの場合、トーンカーブの傾斜を寝かせた例では、空の黄変が強まっているように見えます。これは、黄変の鋭いピークの色域に関しては、トーンカーブが対角線の下に来ています。従って、イェロー要素が強まってしまっているためだと分かります。このあたりを、ドットの分布をにらみながら、どうチャンネルをいじって、ドット分布の不均衡をチャンネル調整でごまかすか、という勝負になります。

 ちなみに、トーンカーブ補正を選択するには、背景レイヤーが選択され、補正の種類が選べる画面になっている状態で、レベル補正の右隣のアイコンをクリックします。



 トーンカーブの操作方法自体は例えばこちらのサイトをご覧下さい。CS6を使って説明していると思いますが、基本的にはCS4でも同じです。

御園生大地, 2013, 「トーンカーブ」で自由自在に色調補正 1-2 (Photoshop 色調補正ゼミナール)
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8400.html
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8418.html

 で、こんなS字を作ってみました。

上のトーンカーブを立てた例に似ていますが、こちらの方が若干ナチュラル?レベル補正一本よりはましなような気がします。


 また、これはトーンカーブ補正のみならず補正レイヤー全体に言えることですが、レイヤーの補正効果量を、レイヤーパネルの不透明度や塗りをから調整することができます。


これも操作方法はこちらをご覧下さい

御園生大地, 2013, レイヤーを使いこなす! (Photoshop 色調補正ゼミナール)
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8829.html

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▼目次
「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/01fd817e2d0eeaca52a2fdf6e7ac43c6
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5c335015f3aaa1dba0b11b68e23bc37c
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7eb3ade773bf9fa853aae3cabe78ed89
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/595b996085188af62b61d36f32ffbf7f
(5)
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(7)
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(8)
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Photoshopを使った黄変・退色写真補正テクニック - 追加
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/ef04ce814b541a51232f1eac14e8999d

黄変・褪色フィルム補正の実例
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5023fba39d042f036c0ffdc59a5e08b5
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/42e0c21e67b82108dcec221e91d930a8
(3)
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(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/f31fcb5a8cc8950854a7c8735ff2f727

黄変したネガフィルムスキャン画像を Photoshop CS4を使って修正する (2)

2017-09-17 22:51:36 | カメラ
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現在は以下のサイトで、新しい補正法を公開しておりますので、そちらの利用をお勧めします。
https://yasuo-ssi.hatenablog.com/entry/2021/04/26/000000
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で、まず今回ですが、そもそも黄変自体をどう修正するか、という話題です。これについては基本的な考え方は、すでに前回紹介したサイトでも解説されている内容です。

まず、取り上げるサンプル画像を紹介します。



これは、フィルムの内部が黄色くなっている、というかフィルムの周辺部から黄色みが脱色されているというのか、典型的なフィルム黄変パターンですね。しかもフィルムに傷もありますが、傷のごまかし方はここではパスします。

で、とりあえず、この黄変を取る手段としては、主に四つあります。

1. ホワイト (グレー、ブラック) バランスの補正

2. レベル補正

3. トーンカーブ補正

4. 特定色域の選択

5. カラーバランス

です。ただし、1.のホワイトバランスの調整はレベル補正のパネルでもトーンカーブ補正のパネルでもできますので、2. → 3. と説明して 1.の説明に行きます。

●レベル補正


 そもそもレベル補正とは何かというと、画像の明暗や色のチャンネルのレベルを調製して明暗のレベルや色の偏りのレベルを決める機能です。上の画像がレベル補正のパネルですが、チャンネルが「RGB」になっているとき (つまりRed, Green, Blueのチャンネルを混ぜ合わせた状態)、これは明暗の調製ができます。ちなみにレベル補正の機能は Photoshop だけではなく、 Photoshop Elements でも使えるようです。

 このヒストグラムの一番左が0、右が255となっていますが、これは左から右に掛けて画像の最も明るいドットから暗いドットまでをさし、縦に波状に伸びているヒストグラムはそれぞれの明るさを持つ点が、いくつ分布しているかを示します。このうち真ん中のグレーのスライダーはちょうど基準となるグレー点決めるスライダーであり、右に寄せると画像全体が暗くなり、左に寄せると画像全体が明るくなります。白と黒のスライダーは、それぞれ白と黒の階調の飽和点を設定するスライダーであり、白と黒のスライダーを内側に寄せると、その外側の点はどれも等しく真っ白もしくは真っ黒になってしまいます。つまり階調が少なくなるとともにメリハリがはっきりした画像になります。単純に白を内側に持ってくると全体は白っぽく、黒を内側に持ってくると全体が黒っぽくなり、白と黒のスライダーを同じ量内側に寄せると、全体の明暗は変わりませんが、階調が少なくなって黒白はっきりした画像となります。



 一方、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各チャンネルは色調を調整するチャンネルでレッドではレッドとその補色であるシアン、グリーンはグリーンとその補色であるマゼンタ、ブルーはブルーとその補色であるイェローの色バランスを調整するチャンネルで、いずれも左(0)寄りはその色が強まり、右(255)寄りはその補色に偏ります。
 考え方は上でRGB統合チャンネルと同じですが、RGB統合チャンネルの場合、両端が黒 (左) と白 (右)だったのが、それぞれのカラーチャンネルの場合は、チャンネルの色 (左) と その補色 (右) にくる形になります。

※ヒストグラムの読み方を詳しく説明したものにこんなページがありました

御園生大地, 2013, 「レベル補正」を使ったプロフェッショナルな色調補正 (Photoshop 色調補正ゼミナール)
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8342.html


 とりあえず、レベル補正の画面に入ってみましょう。下がPhotoshopで元原稿を読み込んだところです。

 これで、右側の色調補正パネルから、レベル補正 (矢印で指しているアイコン) のアイコンをクリックしてみましょう。すると色調補正のパネルが、様々な補正を選べるアイコンが並んでいる状態から※、レベル補正のヒストグラムが現れた状態になります。で、とりあえずイェローを取るなら、その補色であるブルーチャンネルをいじれば良い... と考えるなら、チャンネルをRGBからブルーに選択し、ブルーとイェローの境界スライダー(灰色の△のスライダー)、もしくはイェローの飽和点スライダー(白の△スライダー)をブルーが多くなる左に移動してみましょう。

 このときブルーとイェローの境界点スライダーを動かそうが、イェローの飽和点スライダーを動かそうが、見た目は同じように青くなりますが、イェローの飽和点スライダーを左に動かした方が階調が荒くなってしまいますので、できれば境界点スライダーを動かした方が階調が維持されます。

※なお、色調補正のパネルが、様々な補正を選べるアイコンが並んでいる状態は背景レイヤーが選択されている時のみに限られます。この状態に戻したいときは、下のレイヤーパネルのレイヤータブで「背景」が選択されている状態になっているかどうかご確認下さい。



 すると空の黄色みはある程度薄らいだとしても、他の部分が青っぽくなって不自然になってしまいました。これには、二つの原因があります。そもそも黄変自体が不均等に発生していることが一つです。それに、そもそも本来青のドットが抜けてしまって黄色っぽくなってしまっています。それなのに、その青のドット自体を補完しているわけではなく、全体を青に傾けて青のドットがなくなってしまったことをごまかそうとしているので、なかなか自然な色合いにならないことが、二つ目の原因です。


 で、そもそも何が自然なヒストグラム分布かというと、RGB 統合チャンネルのヒストグラム分布の形と、R(レッド), G(グリーン), B(ブルー)、それぞれのカラーチャンネルの大まかな分布の形が、おおむね一致していることです。もちろん被写体が何かにもよりますが、様々なものが映り込む風景写真は、R, G, Bそれぞれのヒストグラムの形は、もちろん多少異なりますが、大体同じようなパターンの形になります。それが特定のカラーチャンネルだけ大きく形が異なっている (サンプルの写真がその典型ですが、ブルーチャンネルだけヒストグラムの形が大きく異なっています) のは、カラーバランスが大きく崩れていると考えて間違いありません。

 自然なRGBヒストグラムの分布は、各チャンネルほど、多少形が違うのはもちろんですが、ある程度形が似ているのが自然、と考える理由は、上でブルーチャンネルの値の違いが必ずしも青ドットと黄色ドットの数を意味しないと書いたように、各ドットはブルー以外にレッド、グリーンチャンネルの値を持ちます。例えば、真っ黒なドットはR,G,Bの値は (0, 0, 0)ですし、真っ白なドットは R, G, Bが(255, 255, 255)です。もちろん、RGBの値が全く同じということはありません。全く同じならグレースケール画像になってしまいます。とはいえ、暗い色はR, G, Bとも低い値をもちがちであり、明るい色は R, G, Bとも高い値をもちがちです。ですので、各色チャンネルのヒストグラムは、山の形は多少違いはあるけれども、大体似た形になる傾向にあるのです。

 今回のサンプル画像のR, G, Bチャンネルを分解したグレースケール画像を参考に掲げます。

 ブルーチャンネルだけ不自然に全体的に薄くなっており、また特に周辺も薄くなっています。まさにこれはブルーチャンネルだけ特に色が抜けてしまっていることを如実に表しています。つまり上のブルーチャンネルのヒストグラム分布の異常とは、このことなのです(下記色チャンネル別ヒストグラム参照)。


 この対策としては、後に述べるレイヤーマスクを活用して補正範囲を限定するか、ブルーチャンネル以外も動かすか、あるいはその併用か、ということになります。で、ブルーチャンネル以外も動かすには闇雲に動かすより、これも後述するホワイトバランスの調整で行った方がどちらかと言えば良いでしょう。

 また、自動カラー補正でごまかせるのは、それぞれのカラーチャンネルの偏りを多少左右に動かすだけでごまかせる程度にしか、それぞれの色のドット抜けが発生していない限りにおいてだと言えそうです。

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「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
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Photoshopを使った黄変・退色写真補正テクニック - 追加
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黄変・褪色フィルム補正の実例
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黄変したネガフィルムスキャン画像を Photoshop CS4を使って修正する (1)

2017-09-17 21:07:00 | カメラ
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 2年ほど前、昔の鉄道写真のネガフィルムを一挙にスキャンしてファイルにしてみたところ、結構黄変しています。どうもネガフィルムのオレンジベースがポジフィルムより変退色に弱いのか、あるいはポリエステルのスリーブが悪さしているのかよく分かりません。スキャン結果が黄変していると言うことは、ネガフィルム自体はその補色である青色に変化しているということなのか、それとも一定の色素が抜けた結果をスキャナのホワイトバランスのオート調整によって、変な方向に補正を掛けた結果、結果的に黄色く変化したのか、よく分かりません。ともあれ、何とか補正をしたいところです。

 ネットで検索してみると、黄変フィルムの補正について論じたサイトがいくつかヒットしますが、なぜか、そういうことを熱く語っているのは鉄ちゃんが多い(笑)。ともあれ結構組織的に論じているサイトとして、

鈴木写真変電所
http://www.filmscan-print-s.com/
 このサイト主は趣味が高じて、フィルムスキャンを仕事にされた方のようですが...

碧海電子鉄道
http://www.ne.jp/asahi/hekkai/rail/index.htm
 このページの権現港というところにフィルム補正の記事があります

「思い出の写真の色が、、、ネガは知らず知らずに色が変わる???」(銀塩大好き)
http://d.hatena.ne.jp/sacano-hidetoshi_19/20131113/1384358769
 このページはデジタル補正の話ではなく、ネガフィルムプリンターにおける退色ネガの補正プリントの話ですが参考になります。ブログ主は小平にあるアクティブスタジオという、アナログプリントを維持している写真スタジオです。

「古い写真の色あせ3通り 傾向と対策」 生産性向上委員会
http://tech-review.click/typical-damage-of-aged-negative-film
 こちらのブログで紹介されている「簡単な補正で綺麗に修正することが難しいレベルの退色」をある程度補正していくことを、ここでは目指します。


などがヒットしましたが、私も備忘録的に Photoshop CS4を使ったネガフィルム黄変補正の方法をメモっておきたいと思います。

なぜ中途半端に Photoshop CS4なのか、というと、それまで2-3バージョンごとにバージョンアップしていたのですが、CS5以降直前のバージョンしかバージョンを認めなくなったため、バージョンアップをやめてしまったからです。さらにCCになって確実に毎年アドビ税を取るようになりましたが... 逆にCS6と手順が違うところもありますが、それも含めて備忘録ということで。

で、このネガフィルム黄変に関して問題なのは、

1. スキャン画像が黄変している

ということ自体が問題なのもさることながら

2. 黄変にむらがある

ということが問題です。
たぶんこの2は、フィルム保管スリーブへのフィルムの接触の仕方で黄変にむらが出てしまった結果ではないかと思いますが...

 そもそもなぜネガカラーフィルムのスキャン画像が黄変するのか、という問題があります。RGBチャンネルを別々に見てみると、たいていはB(ブルー)チャンネルのデータがかなり薄くなっていることが見て取れます。厳密に言うと0 (ブルー)寄りの値を持ったピクセルが減って、255 (補色であるイェロー)寄りの値を持ったピクセルが増えています。Bチャンネルをグレースケールに転換した画像を見れば、画像がRやBチャンネルより全体的に薄くなっている、ということです。
 で、ここからは全く、私の憶測ですが、ネガフィルムはベースはオレンジです。そしてブルーデータは補色であるイェローで記録されており、一方イェローデータはブルーで記録されています。しかしイェローの色はオレンジと近く、オレンジのベースが退色するとそれにつられてブルーの補色イェローの記録も消えがちになるのではないでしょうか。それがブルーデータが消失しがちな原因ではないでしょうか。一方、イェローデータは補色のブルーで記録されますが、オレンジとは遠い関係なので残りやすい。するとBチャンネルのデータはイェロー寄りのデータが多く残り、ブルー寄りのデータが消えがちになる。その入力情報をスキャナが自動でホワイトバランスを取ったときに黄変した画像という形でデータとして記録する、そういうことなのではないかと考えています。

1. に関しては、フィルムの変退色の度合い、あるいは色素ごとの変退色のバランスが大きく崩れていない限り、ホワイトバランスの調整や、自動カラー補正、自動トーン補正でかなり救済可能です。また均一に変色しているなら、自動カラー補正が使えなくてもホワイトバランスの補正やトーンカーブ、レベル補正等を使えば、特定の色素の要素がほとんど消えていない限り、見た目はかなり補正が可能です。

ただ、2. はやっかいで、自動補正で補正することは全く不可能ということになります。そのため補正マスクをフル活用して、特定部分だけに色補正を掛けるとともに、補正も一挙にはなかなかできず補正のためのレイヤーを複数重ねて少しずつ補正を積み重ねていくことが重要だと思います。

というわけで、解説も色補正の仕方とマスクのかけ方に大きく二つに分けて解説したいと思います。

で、本論に行く前に、序論としてPhotoshopにおける色補正の基本的な考え方を説明したいと思います。

Photoshopにおける画像の修正には、次のようなレイヤー構造を意識する必要があります。


 まず Photoshopのレイヤーには、補正(調整)レイヤーと画像(塗りつぶし)レイヤーの2種類があります。画像(塗りつぶし)レイヤーとは、通常の画像データが描かれているレイヤーで、アニメのセル画のようなイメージです。それに対し、補正(調整)レイヤーは、画像をどのように補正・調整するかが定義されているだけのレイヤーであり、画像データは含まれていません。
 一番下にオリジナルの画像が背景としてあるとすると、その画像を補正するには、補正(調整)レイヤーをその画像の上に重ねていくイメージです。編集画面上は画像が変化したように見えますが、オリジナルの画像に、補正レイヤーの効果が掛け合わされて表示されていますので、オリジナルの画像データ自体は失われておらず、そのまま維持されています。ですので、非破壊的な(= 元のデータを維持したままの)編集が可能なわけです。
 この補正(調整)レイヤーは複数重ねることができます。その場合でも、オリジナル画像データ自体は破壊されずに残り、オリジナルの画像に各レイヤーの補正効果を加算したものが、結果画像として表示されるわけです。
 但し、レイヤーを統合してしまうと、各補正レイヤーの効果が元の画像データに反映され、元の画像データは新たに変化したデータと置き換わることになります。

※レイヤーのイメージはこちらの図の方がわかりやすいかもしれません
adobe 「レイヤーの作成」 (Photoshop Elements ユーザーガイド)
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop-elements/using/creating-layers.html

 このようなレイヤー構造を取るメリットは、万一補正を失敗してとんでもない結果になったとしても、オリジナルの画像データは破壊されないので、失敗した補正レイヤーを削除してしまえば、原状復帰ができるからです。

 また、一時的に補正レイヤーの効果(の表示)をOnにしたりOffにしたりできますので、その補正が適切かどうかすぐ確認できます。下がレイヤーパネルの On Offの切り替えアイコンです。クリックして目のアイコンを消すと Off 目のアイコンを表示させると On です。



 で、最終的に結果がOKとなれば、背景を含めてレイヤーを統合(=「画像の統合」)、つまり背景データにすべての効果を反映させて、背景レイヤーのみにしたところで、TIF形式等で保存すれば、画像編集完了となります。

 さらに、この各補正(調整)レイヤーについて説明すると、それぞれの補正レイヤーは実は二枚のレイヤーが組み合わさったものです。つまり補正効果を指定したレイヤーと、そのレイヤー効果を画像のどこでは無効にし、どこでは有効にするのかを指定した、レイヤーマスクが張り合わさった形になっています。マスクがかかっていない部分だけ画像補正が有効になるのです。なお、レイヤーマスクを付け加えなければ、全面に一様に補正効果がかかります。

※レイヤーマスクは Photoshop Elements でも使えるようです。



 背景画像の上で、ここは補正効果をOFFにするよ、という場所を指定できるのです。これが先に述べた黄変にむらがある場合に、どこだけに補正を掛けるかを指定するときに使えるのです。

 で、さらに言うとこのレイヤーマスクですが最大2枚重ねることが、理論的にできるはずです。ただ、同じ種類のレイヤーマスクを2枚重ねることはできず、マスクを重ねる場合は別々の種類でなければなりません。すなわち、ピクセルマスクとベクトルマスクなら併用できますが、ピクセルマスクを2枚重ねることはできない、ということになっています。



 ピクセルマスクとはラスターデータ、つまりドット状のデータとしてマスク範囲を指定したマスクです。ベクトルマスクはドットではなく、一定の計算式を使ってマスク範囲を指定したマスクで、拡大、縮小してもぎざぎざが目立ちません。

ただ、ピクセルマスクとベクトルマスクは重ねることができるはずなのですが、筆者は今のところうまく重ねる操作が分かっていません。

 なお、このレイヤーマスクは補正レイヤーだけではなく、通常の画像(塗りつぶし)レイヤーにも適用できます。その場合は、マスクされた部分の画像が表示されなくなる(透明化する)ので、その部分はその下に重ねられた画像レイヤーの画像や背景が透過して見えることになります。この場合はPhotoshopのクリッピングマスクとほぼ等機能になりますが、クリッピングマスクの場合は黒塗りの部分が表示されるのに対し、レイヤーマスクは黒塗りの部分が表示されず透明化する、という違いになります。

クリッピングマスクの説明についてはadobeの以下のオンラインヘルプをご覧下さい
「クリッピングマスクによるレイヤーの表示」
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/using/revealing-layers-clipping-masks.html
「クリッピングマスク」
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop-elements/using/clipping-masks.html

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▼目次
「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/01fd817e2d0eeaca52a2fdf6e7ac43c6
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5c335015f3aaa1dba0b11b68e23bc37c
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7eb3ade773bf9fa853aae3cabe78ed89
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/595b996085188af62b61d36f32ffbf7f
(5)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/9455b06232b4345c5ae241b93da61946
(6)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7a78b75bd7c6573696beafe9a1a5e4fa
(7)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/484e49d09744a96456e94bdeae470845
(8)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/abef48879db7dce35dfd7dbf272456e7

Photoshopを使った黄変・退色写真補正テクニック - 追加
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/ef04ce814b541a51232f1eac14e8999d

黄変・褪色フィルム補正の実例
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5023fba39d042f036c0ffdc59a5e08b5
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/42e0c21e67b82108dcec221e91d930a8
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/08f729dff54952fa07cb2e7a34f87eb4
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/f31fcb5a8cc8950854a7c8735ff2f727